遅刻を理由とする賃金のカットの可否について
	いつもお世話になります。
 
 遅刻をする社員に対して何かを課したいのですが
 「ノーワーク・ノーペイの原則」では、
 時間を後ろにずらして同じ時間働かれてしまうと、
 遅刻しても、何も影響しないので効果がありません。
 
 「ノーワーク・ノーペイの原則」は労働基準法第91条に
 当てはまらないと認識していますが
 遅刻者に対し、「ノーワーク・ノーペイの原則」と、
 労働基準法第91条の範囲内での減給による制裁を両方かけることは出来ますでしょうか。
 
 労働基準法第91条の範囲を上限とし、遅刻した時間と同時間を減給するとした場合、
 月内で1回だけ4時間遅刻し、4時間働いた社員に対し、
 「ノーワーク・ノーペイの原則」で4時間を控除し、
 さらに、遅刻した4時間分の減給を行うことで
 その日、0時間となる為、欠勤と同等の扱いをすることは可能でしょうか。    
投稿日:2016/05/26 11:21 ID:QA-0066193
- *****さん
 - 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 1~5人)
 
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
                ご利用頂き有難うございます。
 
 ご相談の件ですが、「ノーワーク・ノーペイの原則」と、労働基準法第91条の範囲内での減給による制裁を両方かけること自体は可能といえます。
 
 しかしながら、たった1回の遅刻で制裁減給の上限である平均賃金の半額分を減給する措置につきましては、余りに過重な制裁内容といえるでしょう。そのような措置は有効性に疑問が生じますので、避けるべきです。
 
 そもそも遅刻に関して制裁を科す必要性がある場合とは、いわゆる遅刻の常習であるはずです。従いまして、まずは注意・指導で対応されるべきですし、その上で複数の注意・指導を行っても改善されない場合に制裁適用を検討されるのが妥当といえます。
 
 ちなみに、遅刻をしてきた者に残業をさせて労働時間の帳尻を合わせる義務はございませんので、賃金が減っても定時で帰宅させる事で差し支えございません。                
投稿日:2016/05/26 20:09 ID:QA-0066206
プロフェッショナルからの回答
勤怠管理
                ノーワークノーペイについてはご認識通りですが、根本の部分
 >時間を後ろにずらして同じ時間働かれてしまうと、
 >遅刻しても、何も影響しない
 ここが違うように思われます。
 
 勤務時間は会社との労働契約に基づいて行うものであって、遅刻したのでその分を後ろにずらせて勝手に働くということ自体が間違いです。ただ実際多くの現場で、こうしたことは見過ごされたり、人手不足慢性化でシフトも自由勝手にスタッフが決め、そのまま看過されることはあるでしょう。しかしこれは勤怠管理側の手落ちで、本来は決まった時間で勤務をする。その上で残業が必要だと上長が判断した場合のみ、本人に残業を命じるという原則は曲げるべきではありません。
 
 スタッフによる勝手なシフト組みを放置した場合、結果として過重労働の責任を会社側が負うことになります。本来の主旨に沿った管理を実現すればご提示のような法的に無理筋の施策は不要と思います。                
投稿日:2016/05/26 22:37 ID:QA-0066211
プロフェッショナルからの回答
減給処分の前に、まずは譴責処分にて対応を。
                 まず、ご指摘の『「「ノーワーク・ノーペイの原則」では、時間を後ろにずらして同じ時間働かれてしまうと、遅刻しても、何も影響しないので効果がありません。」という部分については、労基法の労働時間の原則のご認識がずれているようです。ついては、以下に詳細を付します(裁量労働制を適用していないという前提で説明いたします)。
  労働時間の始業時刻と終業時刻は特定されて、その各時刻が、会社の就業規則に定められ、また、当該始業から就業までの時間を一日の所定労働時間としても、同様に定められます。
  今般の事例では、所定労働時間内で遅刻が発生しているため、所定労働時間内では不足が生じている以上、例え、遅刻して就業した時間から所定労働時間と同時間を勤務しても、遅刻した分の時間は所定外労働にかかるため、当該遅刻分は、結果として賃金控除の対象となります。
    次に、遅刻者に対する減給措置として、『「ノーワーク・ノーペイの原則」で4時間を控除し、さらに、遅刻した4時間分の減給を行うことでその日、0時間となる為、欠勤と同等の扱いをすること』が可能であるかについては以下の通りです。
    労基法第91条は、就業規則で、労働者に対する減給の制裁を定める場合、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払い期における労働の総額の10分の1を超えてはならないとされております。
  従いまして、貴社の減給の制裁は4時間分の控除であるため、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えておらず、適法な処理ではあります。
  しかしながら、遅刻は、懲戒事由の分類では職務懈怠に位置づけされ、これらは、それ自体は債務不履行にあたりますが、就業に関する規律に反したり、職場秩序を乱したと認められた場合に初めて懲戒事由に該当する性格のものであります。
  例えば、今回の遅刻がある程度常習性が高いのであれば、注意・指導を行い、始末書を取る等の譴責処分を行い、昇給・賞与・昇格等の考課・査定上において不利な取扱いとなるのが通常の処理であります。減給制裁は、こうした譴責でも改善されない場合の次なる措置であるといえます。                
投稿日:2016/05/30 15:45 ID:QA-0066230
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