残業と休日出勤の人事考課での取り扱い
以前から、当社の製造部門では残業や休日出勤要請への協力度合いを考課時にコンピテンシーの一つの「チームワーク」として考課をしておりました。
私は人事部門で考課や考課者訓練を担当しておりますが従業員の健康保護の観点から、残業と休日出勤の協力度合いを人事考課時に考慮することに自体に反対の立場を取っております。
もちろん当社も36協定、就業規則記載がございますので従業員に特段の拒否する理由がない場合は時間外・休日出勤労働の義務を負うのでしょうが、人事考課は別と考えております。
その理由は
人事考課の際に考慮してしまうと
・長時間労働や休日返上の労働を推奨していることになりうる
・有給休暇を考課対象としない(根拠:労働基準法附則第136条)こととの矛盾
法律や判例を探しても見当たらず、明確な答えを見つけられないでおります。
違法性があるか否か等、お教えいただければ幸いです。また勘違いがあればご指摘ください。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2016/05/20 16:48 ID:QA-0066133
- taku3yさん
- 新潟県/食品(企業規模 1001~3000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
評価要素としての妥当性が欠如
「チームワークへの積極性」を評価要素とするのは重要ですが、残業や休日出勤命令への協力度をその要素とするのは筋違いです。業務効率の向上による時間外や休日労働の縮減姿勢なら話は別です。ご指摘の問題は、違法・合法ではなく、評価要素として妥当性が欠如しており、考課規定の改訂が必要だと考えます。
投稿日:2016/05/20 21:01 ID:QA-0066138
相談者より
ご回答ありがとうございました。
まだまだ労働集約的な製造環境で、頭数が生産高に大きく影響する状況のため、ご質問のような評価が生まれてしまっております。
問題提起し、あるべき姿にしていきます。
投稿日:2016/05/24 14:01 ID:QA-0066175大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、時間外労働や休日労働に関しましては、労働基準法で禁止されている事柄になります。
その上で、36協定を締結する等特定の場合に関しては例外的に認められるというものですので、そうした労働をより多くされる事について人事考課でプラスの評価対象とする措置に関しましては労働基準法の主旨に反するものと考えられます。
おっしゃる通り、明確に違法性を問われるとまでは言い切れませんが、昨今の長時間労働抑制への行政対応の流れからしましても、今後訴訟等において違法措置として判断される可能性は十分にございます。それ故、そのような時流に反するような措置は避けるのが妥当というのが私共の見解になります。
投稿日:2016/05/20 22:25 ID:QA-0066140
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ご指摘の通り36協定が「例外的な」時間外勤務の協定であることですっきりしました。
逆説的にいうと残業や休日出勤を前提としていること自体に問題があるとも認識しました。
投稿日:2016/05/24 14:03 ID:QA-0066176大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
コンピテンシー
お持ちの疑問はきわめて理にかなっており、逆に休日出勤を奨励し、評価するという現在の考課は明らかにおかしいと思います。36協定は残業や休出を自由に強制できる制度ではありません。そもそも法定労働時間という縛りを例外的に外す措置を定めるもので、当然ですが濫用はできません。
そもそもコンピテンシーという概念は、評価点や会社にとって好ましい行為という意味ではなく、成果を再現し続けられる能力です。チームワークをコンピテンシーで評価するのであれば、チームワークによる生産性につながる行動基準・様式をもっと論理的に明確化する必要があります。休出したことでチームワークが促進されるというのは、相当行為と結果の相関に無理がないでしょうか。コンピテンシーは重要な考課基準ですが、単なる評価方法として用いるのは本来の主旨ではありません。
問題提起をされるのは非常に重要だと思います。
投稿日:2016/05/20 23:04 ID:QA-0066144
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ご指摘のコンピテンシーとの相関関係は正にその通りと納得しました。
コンピテンシー上の「チームワーク」の定義を見ても残業や休日出勤が定義と相関関係が希薄であると思います。
悪習として根付いてしまってますので根気強く直していきます。
投稿日:2016/05/24 14:30 ID:QA-0066177大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
休日にかかった深夜残業 いつもお世話様です。さて、質問さ... [2008/06/24]
-
みなし残業について 質問ですが、当社では 月30時間... [2009/05/15]
-
半日勤務時の残業について みなし残業導入時の残業について質... [2017/02/28]
-
みなし残業について
みなし労働について みなし残業を導入する事で、使用者... [2020/06/27]
-
法定内残業をみなし残業に含むことはできますか 午前休を取得して、残業した場合の... [2018/08/03]
-
時短勤務者の残業時間 育休を取っていた方が時短で復帰し... [2017/06/07]
-
就業規則に無い残業規定 就業規則に残業について規定されて... [2021/06/06]
-
残業時間について 36協定で45時間までみなし残業... [2016/06/03]
-
みなし残業手当と休日手当について 質問ですが、弊社では、みなし残業... [2007/10/23]
-
残業代について 残業代について、相談させていただ... [2011/05/12]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
育成型人事考課を目指すためのリスト
成果主義人事考課の目的は報酬決定のためであり、成果に対して報いる制度です。一方、育成型人事考課は「成果をあげられる社員の育成」を目的としており、仕事ぶりとこれから強化したい方向性を確認し、共有する人事考課です。
ここでは育成型人事考課を目指すための項目をリスト化しました。
傷病休暇規定
年次有給休暇とは別に、傷病を理由として休暇を取れる傷病休暇を就業規則に盛り込むための文面です。
就業規則届
労働基準監督署に届出するための就業規則届です。是非ご利用ください。
自己申告書・自己評価シート(人事考課用)
人事考課における自己申告書・自己評価シートの書式文例です。サンプルとして質問例がついています。
自分自身で人事考課のシートを作成することで、上司からの評価と比較できるので、過大評価や過小評価の抑制につながります。また自分自身の成果を客観視することが可能です。