労働条件と就業規則の差異
弊社は正社員採用の際に試用期間を設けております。試用期間と本採用の違いは給与にあり、試用期間中は年棒÷14、本採用の際は年棒÷12(弊社は年棒制ボーナス無しです)です。
この度、7月10日付採用の者が本採用となったのですが、その際に問題が起きてしまいました。
労働条件には「試用期間2ヶ月」と記載しておりましたので、本人は9月10日から本採用と思っておりましたが、社内規定では本採用になった月の翌月、つまり10月1日より本採用給与となることになっております。
さらに、就業規則では「試用期間3ヶ月」と記載している状態です。
これは説明不足も原因なのですが、こういった場合はどの規定が優先なのか、どのように取り扱ったらよいのか等お教えいただきたく思います。
投稿日:2006/09/30 08:28 ID:QA-0006189
- *****さん
- 東京都/HRビジネス(企業規模 6~10人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
労働条件における各規定の優先順位ですが、
「労働基準法」>「労働協約」>「就業規則」>「労働契約」
の順となります。
但し、これは下位の規定が労働者にとって不利になる場合に適用されるものですので、下位の規定(労働契約)で労働者に有利な労働条件を定めている場合には、上位の規定(就業規則)でそれ以下の条件となっている場合でも労働契約の取り決めに従わなければなりません。
従いまして、本件の場合は「試用期間2ヶ月」と取り決めた労働契約(労働条件の提示)の内容が有効となり、就業規則等を理由にこれを変更することは出来ません。
また、当社の社内規定(恐らくは賃金規定)についてですが、このような労働条件を定めた規定も原則「就業規則の一部」とみなされます。
当該本採用給与の規定内容に関しましては、給与が「当月末締めの翌月払い」になっており、かつそれが「本採用給与の支給開始月」を示すものと明記されていれば問題ないのですが、そうでなく事案通りのみの規定となっているとすれば、本来「本採用時から直ちに本採用給与の支給となる」のが処遇として当然ですので、このような規定内容は合理性に欠け問題があるといわざるをえません。
本件の場合、問題の本質は「労働者への説明不足」というよりも、「御社規定における整合性・合理性の不備」及び、「人事担当における労働条件に関する理解不足」にあると考えられますので、今一度就業規則及びそれと一体となる全ての諸規定を見直されることをお勧めいたします。
大変厳しいことを申し上げましたが、このような採用時の混乱を招いている会社は現実に多くございますのでご考慮頂ければ幸いです。
投稿日:2006/09/30 13:45 ID:QA-0006192
相談者より
投稿日:2006/09/30 13:45 ID:QA-0032565大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
契約条件と社内規程の差異
■民法において契約は、「申込みの意思表示」と「承諾の意思表示」の合致があれば成立するとされています。(契約書の作成は原則として契約の成立要件ではありません)。今回のご相談では、二箇所で不一致が発生しています。一つは「本採用年棒の適用時期」、二つ目は、「試用期間」について間違いです。
■本採用給与の適用開始時期や3カ月の試用期間を定めた社内規程は、「申込みの意思表示」と「承諾の意思表示」の時点において、明示されなかったか(本採用になった時点で、本採用年棒が適用されると解釈するのが相当)、あるいは誤って、短縮表示(3カ月⇒2カ月)されたものと推定致します。然し、これらは「心裡留保」「虚偽表示」「錯誤」など、民法上の契約の無効や取消を主張できる条件には適合しないでしょう。
■結論としては、採用時の提示条件どおり、9月10日における本採用の実施と本採用年俸の支給開始をしてあげる共に、今後に向けて、不一致が生じないための措置をご検討されるようお勧め致します。
投稿日:2006/09/30 14:40 ID:QA-0006193
相談者より
投稿日:2006/09/30 14:40 ID:QA-0032566大変参考になった
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