コース別管理の導入に伴い留意すべき事項について
子会社にてコース別管理(総合職・一般職)を導入したいと考えておりますが、導入に際して
留意すべき事項をご教示いただきたく、ご質問させていただきます。
(現状)
職群や系列という考え方は採っておらず、業務の内容、担当業務や補助的業務等の違いに関係なく、
1つの職群(または系列)として採用しております。
職責に対する処遇差は、業務の内容や責任度合等により昇進に掛る年数に差をつけております。
これから賃金改定等をする上で1つのみの職群管理であれば、全従業員の賃金を改定しなければならず融通が利かないため、業務の内容に応じたコース別管理(総合職・一般職)を導入したいと思っております。
※組合はありません。
(ご質問)
1つの職群で採用している従業員に対して、コース別管理の導入に伴って所謂一般職とする場合に、
留意すべき事項はどのようなことがあるのでしょうか。
例えば、
・現在の賃金水準を維持する必要や導入しなかった場合に受け取ることができたであろう退職金の水準を
維持する必要等があると思いますが、他にもあるでしょうか。
・上記項目の水準を保たない場合は合理的な理由により、ご本人に誠実に対応し同意を得るつもりですが、
同意が得られなかった場合にはどのように対応すべきかでしょうか。(やむを得ず、総合職とせざるを得ない?)
・また、当該会社には組合がないですが、全従業員に対して一人一人説明する必要はありますでしょうか。
(上記の認識に誤りがあれば、その旨もご指摘いただけると幸いです。)
等々、コース別管理を導入することによって一般職扱いとされる方に対して留意すべき事項をご教示願います。
投稿日:2013/10/02 11:38 ID:QA-0056347
- ATR7さん
- 兵庫県/輸送機器・自動車(企業規模 10001人以上)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
文面のようなコース変更によって最も注意しなければならない点は、ご認識の通り処遇に関わる事柄になります。
賃金(昇降給の件も含む)や退職金の取り扱いは勿論ですが、それ以外の重要な労働条件(労働時間や休日・休暇等)でもコースを分けることによって現行よりも当人にとって不利な内容となる場合には、労働条件の不利益変更としまして原則当人の同意を得ることが求められます。勿論、就業規則の改正手続きが必要な事はいうまでもありません。
そして、仮に当人の同意が得られなかった場合ですが、労働契約法第10条では「変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」と定められています。
従いまして、具体的な基準まではございませんが、労使間で真摯に協議された上で、不利益自体が微少であったり代替・調整措置等による不利益の緩和が行われたりする場合ですと、個別の同意が無くとも変更が認められる可能性は高くなるものといえます。逆に、不利益変更を気にされる余り当人の希望を認めてばかりですと、結局形だけの制度変更となってしまいますので、そうした事態は避ける必要がございます。
こうした事態に備える為にも、制度変更に関しましては社内説明会を必ず実施し全従業員へ説明されることが不可欠といえます。
あと不利益変更の件以外ですと、コース変更によって将来のキャリア形成がどのように進んでいくかについても、きちんとした説明が必要になります。
法的には前者の件が重要ですが、実際に多くの社員にとりまして気になるのは後者の件といえます。逆に、しっかりとしたキャリア形成が可能になるといった未来図が見えてくれば、多少の不利益ならば納得するケースも多くなりますので、社内モチベーションを高めるようなコース設定内容を検討されるべきといえます。
投稿日:2013/10/02 12:27 ID:QA-0056348
相談者より
ご回答ありがとうございました。
実施の際には、明確な基準を設けるとともに従業員への周知に気を配って対応いたします。
大変参考になりました。
投稿日:2013/10/24 11:38 ID:QA-0056601大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
労基法施行規則の定めに基づいて選出された労働者代表との協議が必要
ご相談の間口が広すぎて、 的確な助言は難しいと感じますが、 感じた点を、 出来るだけコンパクトに述べてみます。 「 総合職・一般職 」 という任用面、 職務面、 処遇面などにおける差異は、 発生史的には、 男女雇用機会均等法により労働者に対する男女差別が禁止され、 職掌区分に衣替えしたものです。 女性労働者の活用、 管理職への登用、 役員への就任と、 建前と実態間の差は縮小してきましたが、 男女区分の実態残渣は、 随所に色濃く残っています。 そこで、 先ず、 ご説明にもある、 コース別管理導入の 「 合理的理由 」 が見えません。 どのような理由なのでしょうか? 一般的な制度変更は、 「 目的の設定 」 ⇒ 「 現状の分析 」 ⇒ 「 問題点の抽出 」 ⇒ 「 制度の設計 」 ⇒ 「 実施上の問題点 」 ⇒ 「 解決方法の策定 」 という一連のプロセスを踏みますが、 本事案は、 労働条件に全面的に係わる変更であり、 労組がなくても、 労基法上の 「 労働者の過半数を代表する者 」 との協議体制が欠かせません。 この過半数代表者ですが、 御社の従業員規模、 事業所の分散度などは分りませんが、 労基法施行規則の定めに基づいて選出された者でなければなりません。 当然、 一人ではなく、 複数の代表者が必要です。
投稿日:2013/10/02 13:41 ID:QA-0056349
相談者より
抽象的なご質問になり失礼いたしました。
ご回答いただきましたとおり、一つ一つのプロセスを経て労働者代表と協議したいと存じます。
ありがとうございました。
投稿日:2013/10/24 13:12 ID:QA-0056602参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
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