2種類の懲戒処分について
会社に対して損害を与え、諭旨解雇以上がほぼ確定している従業員に対して、まずは停職処分を発令し、損害額の弁済方法などを本人とご家族と協議しながら決着がつき次第、諭旨解雇または懲戒解雇に切り替えるというようなことは可能でしょうか?(二重制裁に当たらないでしょうか?)
まずは停職処分を発令する意図は、弁済方法の決着には時間を要しそうな状況であること、出勤することによる周囲の従業員への悪影響防止と、停職期間中を無給にしたいという理由です。
ご回答よろしくお願いいたします。
投稿日:2013/05/06 18:53 ID:QA-0054391
- *****さん
- 三重県/販売・小売(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、停職処分が御社就業規則上の懲戒(制裁)として行われるのであれば、その後同じ事由で懲戒解雇とされる場合は二重制裁となる為出来ません。諭旨解雇の場合も懲戒解雇を減免する措置ですので同様に出来ないものといえます。どうしても停職処分を採られた上で辞めさせたいのであれば、少なくとも普通解雇とされる事が求められます。
一方で、損害に至る行為の調査等で単に自宅待機を指示する場合ですと、制裁措置ではございませんので懲戒解雇または諭旨解雇とする事も理論上は可能になるものといえます。但し、この場合は通常会社都合の休業になりますので、原則として労働基準法上の休業手当の補償が求められます。
ちなみに損害の弁済に関しましては懲戒解雇してからでも行う事は可能です。但し、懲戒解雇自体が有効であるか否かは別問題ですし、解雇問題で最も重要な事はこうした解雇措置の有効性の判断となります。会社に対する損害が悪質かつ重大なもので無い限り、停職措置の有無に関わらず懲戒解雇自体を巡って労使間トラブルになる可能性がございますので、いずれにしましても解雇に関しましては慎重な対応をされる事をお勧めいたします。
投稿日:2013/05/06 20:04 ID:QA-0054392
相談者より
丁重にご回答いただき誠にありがとうございます。大変参考になりました。またアドバイスまでいただき重ねてお礼を申し上げます。慎重に対応したいと思います。
投稿日:2013/05/06 20:19 ID:QA-0054393大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
二重処罰とその例外
原則として一事不再理といいまして、一つの出来事に対して二重処罰は禁止されています。
ただし、裁判例から、出勤停止が、懲戒処分を決定するためのものであれば、二重処罰とはならない可能性があります。
この場合は、主筋停止期間は、会社都合の休業扱いとなります。
本文のケースでは、
就業規則にのっとって、停職処分とし、その間無給、新たに諭旨解雇、懲戒解雇であれば、二重制裁となりますが、
諭旨解雇か懲戒解雇処分か決定するために、自宅待機を命じ、その間休業手当を支払うことであれば、二重処罰とはならない可能性が大きいです。
以上
投稿日:2013/05/06 20:26 ID:QA-0054394
相談者より
ご回答ありがとうございます。やはり二重制裁となるのですね。実行する前に相談しておいてよかったです。
投稿日:2013/05/06 21:08 ID:QA-0054396大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「 休職 」 を命じられるかどうかがポイント
二重制裁を避けながら、 懲戒処分とはならない 「 休職 」 を選択する方法もありますが、 御社の就業規則における休職の定めによります。 多くの場合、 「 起訴 」 も休職事由とされていますが、 この段階では、 本人は、 「 推定無罪 」 の状態であり、 休職命令は制裁とはなりません。 この起訴事由があり、 更に、 「 その他、 上記諸事項に準じる事由 」 の記載があれば、 期間を定めて、 無給の休職を命じることが可能でしょう。 そうでなければ、 社内で懲罰委員会を立上げ、 可及的速やかに、 諭旨解雇または懲戒解雇を決定するのと並行して、 損害賠償の求償を行うことになります。 その際には、 一般民事と違い、 被用者に対する 「 責任制限法理 」 と 「 身元保証 」 のチェックが必要です。
投稿日:2013/05/06 22:24 ID:QA-0054398
相談者より
ご回答ありがとうございます。起訴による無休の休職を命じるという手段があるのですね。公になることで他への影響を防ぎたいということから、刑事起訴をちらつかせながらご家族と相談して行きたいと考えておりますので、ご家族の対応次第では検討したいと存じます。また就業規則に定めた身元保証の有効期限がきれてしまっていることも弱いところです。大変勉強になりました。重ねてお礼申し上げます。
投稿日:2013/05/07 00:47 ID:QA-0054401大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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