複数の組合支部が混在する事業場における労使協定
当社は、全国に多数の事業場をもつ機械メーカーXです。社員のうち組合員はほぼ全員が「X労働組合」(連合系)に入っています。各地に事業場があるため、X労働組合も各事業場ごとに「支部」をもち、各地の事業場と支部が個別に36協定等の労使協定を締結しています。
全社規模など、一定以上の職制改正等は中央の本社とX労働組合本部が労使交渉をおこないますが、単一事業場に係る問題などでは各地の事業場と各支部が労使交渉を行う形になっています。
さて関東地区の事業場Aは、工場を併設した事業場で、X労働組合A支部があります。
また同じく関東地区の事業場Bは、設計中心の事業場で工場がなく、ここにもX労働組合B支部があります。事業場AとBはわりあい近傍にあり、電車で1時間程度です。
このたび、会社の施策として事業場Aの一部と事業場Bの一部を統合し、事業場Cを設置することになりました。事業場CはB地区に設置されます(Aの一部の社員がB地区に転勤してくる形)。また、事業場Cの労使協定は、B地区にあることを理由に、B支部と締結する予定です(内容は、事業場B-B支部間の協定と同じもの)。
この際、転勤してくるAの組合員が、転勤にあわせて組合上の籍もB支部籍に変更されれば問題ないのですが、事情があってA支部が、対象者についてB支部籍への変更を認めないという立場を取っています。
また実際には、事業場AとA支部、事業場BとB支部の間でそれぞれ締結されている労使協定は、時間外労働の限度時間や出張時の一時帰国の条件等が異なっており、事業場CがB支部と労使協定(事業場Bと同様のもの)を結ぶと、B地区に転勤してきた事業場Aの組合員はこれまでの協定とは違う労働条件や時間管理を受けることになります。
事業場Cという単位でみると、組合員はB支部の籍の者が多数(過半数)であり、労使協定とくに36協定としては過半数組合であるB支部とだけ協定を結び、その協定でA支部籍の組合員も時間管理すれば法的にはよいのかと考えますが(A支部およびA支部組合員は不満かもしれませんが)、正しいでしょうか?
組合員の不満が強いのであれば、A支部ともB支部とも協定を結べばよいのかもしれませんが、管理が煩雑になりすぎるのでできればそれはやりたくありません。
ちなみに、事業場Cが逆にA支部と協定を結ぶことも可能ではありますが、A支部が過半数ではなくなるのでかえって不合理になると思われます。またB支部籍の組合員をA支部籍に変えることについても今度はB支部が反対すると思われます。
投稿日:2011/05/20 14:03 ID:QA-0044036
- *****さん
- 神奈川県/建設・設備・プラント(企業規模 10001人以上)
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ご利用頂き有難うございます。
36協定等の法令で定められている労使協定につきましては、事業所における過半数の労働者が加入している労働組合との間で締結する事が義務付けられています。
従いまして、文面のケースですと、事業場Cでは「組合員はB支部の籍の者が多数(過半数)」である事からも、当然にB支部の組合との間で締結する必要がございます。このB支部の組合との間で締結された労使協定のみが有効となりますので、ご認識の通りで大丈夫です。
また、「転勤してくるAの組合員が、事情があってA支部が対象者についてB支部籍への変更を認めない」というのは組合側の都合ですので、協定内容について不満があっても直ちに何らかの具体的な措置をしなければならないというわけではございません。
但し、御社の労働者であることには変わりませんので、A支部から該当者の労働条件に関し団体交渉の要求があれば誠実に応じる義務が生じます。その際、交渉の結果において要求内容を受け入れなくとも、その事のみで直ちに違法とはなりえません。
投稿日:2011/05/20 22:34 ID:QA-0044042
相談者より
よくわかりました。ありがとうございました。
投稿日:2011/05/24 09:59 ID:QA-0044126参考になった
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