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正社員登用制度ありと言いながら実施せず・・

契約社員募集時に「正社員登用制度あり」と言って応募者を採用しました。
採用時、応募者からの登用制度についての質問に対して
・1年以上勤務経過後
・毎年○月に実施
・所属長の推薦が必須
・試験もあり厳しい選抜になる。
などと具体的に答えております。

雇用契約は、1年単位で、再契約については、基準などには触れず、再契約は最大で4年未満(具体的に「○○年○○月以降は契約しない、」と契約書面に記載)にて終了とし、口頭でも説明しております。

その後、同じ内容で再契約しておりますが、不況の影響でこの間は正社員登用制度を実施しておりません。
この状態で、契約終了になった場合、「正社員登用制度あり、」と言って募集しておきながら、採用されてみると実際には制度の運用がなく登用もなかったことについて不備を突かれるのではないかと、懸念しております。
実際、正社員になることを期待して応募、採用された方もおられますので、申し訳ないことではあるのですが、リーマンショック、震災と不況脱出のチャンスが都度崩れており、止むを得ない経営環境です。
勿論、意図的な行為では決してありません。

元々、登用を約束して募集したわけではありませんので、問題は無いかとも思いますが、債務不履行や不法行為になることはないのか、教えてください。

よろしくお願いします。

投稿日:2011/05/19 16:11 ID:QA-0044013

アリさんさん
東京都/商社(専門)(企業規模 101~300人)

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プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答4

プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

お答えいたします

ご利用頂き有難うございます。

文面内容を拝見しますと、有期雇用に関する厚生労働省の雇止め告示第1条に定められたように、有期雇用契約におきましては、更新(再契約)する場合がある旨明示した際更新の判断基準を明示しなければなりませんので、まずはこの点に不備があることになります。勿論、これだけで更新が直ちに義務付けられることにはなりませんが、トラブルとなった際に会社側にとって不利な材料となりえるものといえます。

一方、正社員登用制度につきましては、パートタイム労働法第12条で、①通常の労働者の募集を行う場合に、その業務内容、賃金、労働時間等の募集条件を事業所に掲示するなど、有期契約労働者にも周知すること ②通常の労働者の配置を新たに行う場合に、当該配置の希望を申し出る機会を、有期契約労働者にも与えること ③有期契約労働者から通常の労働者への転換のための試験制度を設けるなどの措置を講ずること といった措置のいずれかを定める事が求められています。

御社の場合ですと、③が設けられていますし、また制度がある事で必ず実際に正社員登用を行なわなければならないといった義務まではございませんので通常であれば問題は無いものといえるでしょう。

但し、「採用されてみると実際には制度の運用がなく登用もなかったこと」というのでは事情は異なります。つまり、正社員希望の申し出があった際、所定の選考方法を通した上で結果として該当者が出なかったのであればともかく、最初から選考すらしなかったというのでは明らかに契約内容への違反行為(債務不履行)といえるでしょう。仮にそうであれば、当人と真摯に話し合いを行い理解を得られるよう尽力することは勿論、状況次第では社労士・弁護士等の専門家にご相談されることも視野に入れておくべきといえます。

投稿日:2011/05/20 00:17 ID:QA-0044019

相談者より

過去には契約社員や派遣社員から多くの登用実績があり、制度として存在することは間違いありません。
ただ、ここ数年実績がないというだけですし、契約書に登用制度を謳っているわけでもありません。
募集HPなどに「制度あり・・」記載し、質問に過去の事例を説明しただけです。
このような場合でも、「債務不履行」となるのでしょうか
契約の本旨である雇用は、確実に実施しており労働条件も遵守しております。
登用制度は、契約にも記載のない付随的な事項であり、故意過失を問われる帰責事由にまでは当らないのではないかと、考えています。

ただ、登用制度に期待して入社された方がいることも事実であり、事態には誠実に対応して行かなければならないと考えております。
再契約基準については、見直しを進めます。

大変参考になりました。感謝いたします。

投稿日:2011/05/20 09:33 ID:QA-0044020大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

法的には問題はなく、ビジネス上の問題への対応

|※| 債務不履行の代表例は、「 履行不能 」 ( 債務成立後に債務の履行が客観的に不可能となること ) ですが、「 債務者の帰責事由 」 と 「 違法性の認識 」 が要件となります。その効果は、損害賠償と契約解除です。その意味では、「 正社員に登用する 」 という債務契約自体が成立している訳ではないので、この点は、問題ないでしょう。 .
|※| また、民法上の 「 不法行為 」 は、故意、または、過失によって他人の権利・利益などを侵害する行為を言い、損害を賠償する責任を負うことになりますが、この点でも、該当する事実は発生していないと判断できます。 .
|※| 以上のように、法的には問題はないと思われますので、あとは、正社員登用制度の実施が、客観的に困難になったことに就いての 「 経営判断の妥当性 」 と 「 当該社員に対する誠意ある説明 」 というビジネス上の問題への対応だと考えます。

投稿日:2011/05/20 10:17 ID:QA-0044021

相談者より

ありがとうございます。
当方の理解と一致する内容で、安心できました。
丁寧な対応を心がけます。

いつもありがとうございます。

投稿日:2011/05/20 11:12 ID:QA-0044031大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

再度お答えいたします

こちらこそご返事いただき感謝しております。

「制度として存在することは間違いありません。‥ただ、ここ数年実績がないというだけですし、契約書に登用制度を謳っているわけでもありません」
つまり、社内制度として形の上では存在するも就業規則や労働契約書等には規定されていないということですね‥

ただ、一般的に契約内容につきましては口頭でも有効とされていますし、文書に書いていないから口約束した事が直ちに免除されるというわけではございません。採用時に「正社員登用制度あり」と言われた場合ですと、それを信じて契約した方が選考をしない事に関して債務不履行を主張されることは自然な事ですし、状況によってはそうした主張が認められることもありえるものといえます。

従いまして、繰り返しになりますが、当人には御社事情を説明し納得頂くことに尽力される等真摯な対応を行うべきというのが私共の見解になります。

投稿日:2011/05/20 10:49 ID:QA-0044025

相談者より

ありがとうございます。
最悪の場合、そのようなことも想定できることは理解しました。
そうならないよう、会社として誠実に配慮を尽くすことで、対処して行きたいと存じます。

何度もありがとうございました。

投稿日:2011/05/20 11:18 ID:QA-0044032大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

増沢 隆太
増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 人事・経営コンサルタント

リスク

債務不履行や不法行為で訴えることは可能ですが、それで勝てるかといえば、おそらくかなり難しいかと思います。いずれにしましても「必ず正社員雇用」を約束する必要はない訳ですから、今からでも制度を組み立てておくことが安全だと思います。
その場合は目標達成度合等、環境、業況その他、現実的な変動を織り込んでおけば、「誰でも正社員にする」必要もありません。
ただし、非常にもめる原因には十分なり得ますので、この辺りは①制度として設計しておく②採用時に対象者にはそれが簡単ではないことをしっかり説明しておく、というように何段階にも安全策を講じておかれるのが良いのではないでしょうか。

投稿日:2011/05/20 23:42 ID:QA-0044046

相談者より

実際に訴訟にまで持ち込まれることは、少ないのではないかと考えております。
ただ、「騙され感・・」を残して契約終了になることが、会社としては気になっております。
今更ではありますが、事情を十分説明しなければならないと考えております。

投稿日:2011/05/23 09:42 ID:QA-0044069大変参考になった

回答が参考になった 0

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