ワークシェアリング(正社員)導入の注意点
回答ご担当者様、
いつも大変参考にさせて頂いております、ありがとうございます。
さて、この度、ひとつのポジションを週の半分に分け複数の人材を雇用することになりました。これはいわゆるワークシェアリングに当たるものと考えられますが、その”人材”を正社員で雇用するよう本社(国外)より指示がございました、が日本における ”正社員”と比較し労働時間が短い社員は直接その企業から給与を得ていてもパート社員とされる、と認識しております。 ワークシェアリング(週前半、後半で分ける方法)で雇用した社員を正社員とすることに問題はありますでしょうか? その場合有給休暇の付与、退職金、社会保険などはどのように扱うべきでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですがご教示頂ければ幸いです。 どうぞ宜しくお願い致します。
人事担当H
投稿日:2006/03/20 18:44 ID:QA-0004111
- *****さん
- 東京都/その他業種(企業規模 101~300人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
ワークシェアリング(正社員)導入の注意点 Part 1
以下、1,360文字と回答制限をオーバーしますので、パート1&2に分割して回答します。
■指示元の本社がいずれの国の法人か分りませんが、最初に、その国での「正社員」の定義を正しく確認しておかないと,以降の展開に誤解を乗じる可能性があります。
■日本では、正社員は労働法に則り管理をしていても、パート・アルバイトの労務管理は正社員とは違い、労働条件や労働・社会保険加入をある程度任意で決めてよいとの誤解があるように思えます。パートとはパートタイマー(英語のPart Timerが語源)を短くしたものですし、アルバイト(語源はドイツ語Arbeit)は本来、学業や本業のかたわらに賃仕事をする人を指していたようですが、近年は副業ではなく本業としてのアルバイト、いわゆるフリーターも一般的に認知されています。また、期間を定めて雇用する者をアルバイトと呼んだり、会社によっては単に賃金形態が時給であるというものをアルバイトと扱ったりしています。
■法律上はパート・アルバイト・正社員の区別はありません。通称、パートタイマー労働法も正式呼称は「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」であり、「同一の業務に従事する労働者に比して1週間の労働時間が短い者」と定義づけられています。
■さて、ご相談のワークシェアリング方式の対象者は、「1日又は1週の所定労働時間(20時間以上ではあるが)及び1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満であって、年収が130万円以上である者」と推定され、社会・労働保険の加入資格は、現行法の下では、下記の通りになります。
① 雇用保険⇒加入
② 医療保険⇒国民健康保険への加入
③ 年金⇒厚生年金の被保険者(フルタイム勤務者と同じ)
④ 労災保険⇒加入(雇用関係にあるすべての労働者に適用)
投稿日:2006/03/22 13:01 ID:QA-0004114
相談者より
投稿日:2006/03/22 13:01 ID:QA-0031680大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
ワークシェアリング(正社員)導入の注意点 Part 2
■この4分3ルールといわれるものには、法律の条文上の根拠はなく、絶対的なものではありません。考え方の基本は「会社と常用的な使用関係にあるか」どうかです。常用的使用関係とは「就業規則等の諸規程又は雇用契約により相当な期間継続して使用されることが明確にされている関係」と定義づけられています。その判定基準として形式的に4分の3ルールが用いられているわけですが、これを適用するのが適当でない場合は具体的な事例により判断されます。個々のケースについては、事前に社会保険事務所にご相談になることをお勧めいたします。
■有給休暇については、勤務開始から半年間、勤務すべき日の8割以上勤務した労働者には所定の日数を与えることが、労働基準法で事業主に義務付けられています。このため、パート労働者であっても、同じ要件を満たした場合、所定労働日数に応じて有給休暇を与えなければなりません。週所定労働日数が3日の場合は、雇入れの日から起算して6ヶ月経過した時点で5日、以降、1年経過するごとに6日、6日、8日、9日、10日、11日と与える有給休暇を増やすことが必要です。
■退職金は労働法上の必要要件ではありません。企業の任意事項です。但し、一旦決めたら、就業規則に記載することが必要です。
■結論として、「ワークシェアリング」と「パート」という生まれの違う類似語の相違、「パート」というより「短時間勤務正社員」という観点から雇用条件を設定されることをお勧めします。
投稿日:2006/03/22 13:02 ID:QA-0004115
相談者より
川勝先生、
お礼が遅れ大変申し訳ありませんでした。
この度はご丁寧なご回答いただき誠にありがとうございました。 詳細に渡ったご説明で大変参考になりました。
今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2006/03/24 12:33 ID:QA-0031681大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
外国人労働者の雇用について 外国人の方を雇い入れる際の注意事... [2005/08/23]
-
正社員からパートへ変更した社員の、正社員雇用について 社員で、5年前まで正社員で勤務い... [2024/02/08]
-
正社員の解雇について 営業系正社員を解雇できる要件を教... [2005/06/22]
-
再雇用後の退職金水準について 統計データがあるかどうか分かりま... [2006/02/24]
-
障害者の雇用 障害者を雇用する際の留意点を教え... [2006/12/05]
-
短時間正社員の精勤手当について 短時間正社員制度を導入します。短... [2022/05/25]
-
退職届について 弊社では、定年退職し、再雇用され... [2010/10/11]
-
再雇用について 不勉強な質問で申し訳ないのですが... [2007/01/11]
-
契約社員又は契約アルバイトから正社員雇用への移行 いつもご利用させていただいており... [2012/06/05]
-
定年再雇用の勤務時間について [2015/02/02]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
雇用契約書(正社員用)
雇用契約書(正社員用)の記入例つきテンプレートです。
シフト制における注意文
シフト制で雇用する従業員がいる事業所に対して、シフト制の運用に関する注意点を周知するための文例です。
傷病休暇規定
年次有給休暇とは別に、傷病を理由として休暇を取れる傷病休暇を就業規則に盛り込むための文面です。
休暇管理表
従業員の休暇をまとめて管理するためのExcelファイルです。複数名の休暇状況を管理する際に役立ちます。