改正パートタイム労働法
改正パートタイム労働法とは?
安倍総理が再チャレンジ支援策の一環として位置づけた法案で、2007年5月25日に成立し2008年4月から施行されます。今回の改正の最大のポイントは、「パート労働者と正社員の差別待遇を禁止する」という規定です。
施行に先立ち企業のパート待遇改善が加速
正社員との待遇均衡を取れるかが焦点
「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の一部を改正した同法。業務内容や業務に伴う責任、労働時間などが正社員と同程度の「正社員並みパート」に対し、賃金や処遇、教育訓練の実施、福利厚生などで正社員と差別せず平等な扱いをすることを、事業主に義務づけています。2006年の全国のパート労働者数は1205万人で、雇用者全体の22%を占めます。その内、正社員と同等の待遇となる対象者は4〜5%にとどまっていますが、対象外のパート労働者にも正社員と均衡した待遇を確保するよう企業に努力義務を課しました。
バブル崩壊後、正社員の削減策を講じた企業の多くは、賃金が安く雇用調整のしやすい非正社員の採用に力を入れていきました。こうした動きに伴い、正社員と非正社員の間に賃金や処遇の面で格差が生じたため、同法で人件費抑制のための非正社員雇用の増加に歯止めをかけようとしています。また、安易にパートを正社員代わりに使う例が後を絶たないことも背景にあります。均衡の取れた待遇が実現できれば、雇用形態の違いによる賃金などの不平等は回避できるとしています。
同法の施行に先立ち、流通やサービス業界を中心に、パート労働者の待遇を大幅に改善する企業が増えてきました。パート労働者の多くを正社員として雇用したり、賃金と契約期間、職能資格制度などで正社員とパートの区別をなくす仕組みを導入しています。これらの業界では景気回復に伴う人材不足が深刻化し、人材確保に苦戦しています。業務の面でパート労働者への依存度が高いため、同法による義務化の枠を超えて、待遇改善に踏み出す企業が増加しています。人件費は増えますが、競争力の強化には人材の確保と士気向上が不可欠との考えが浮き彫りとなっています。
主な例として、衣料品店のユニクロを展開するファーストリテイリングが約5000人のパート社員を2年かけて正社員化したほか、給食・カラオケ大手のシダックスでは給食作りを担当するパート500人を08年3月末までに正社員化するとしています。また、生活雑貨専門店のロフトは、パート社員を正社員と同様に無期契約で雇用し賃金制度も統一する方針です。
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