社員の犯罪行為に対する対応について
社員の私生活上での犯罪行為に対する対応を検討しています。
今回発生したのは「キセル(不正乗車)」で、上司がたまたま確認して発覚したのですが、上司からは連絡が無く、これもたまたま他の話をしていて発覚しました。
この件への対応を検討していまして、いろいろと悩んでおります。
・社員の私生活での犯罪(それに類する)行為について、会社はどこまで把握すべきか?
・把握する必要がある場合、どのような体制を作るべきか?
・社員の犯罪行為に対して、どのような処罰を行うべきか?(これは程度によると思いますが)
事例や一般的な対応などあれば、ご教授いただければと思います。
※なお弊社の就業規則には、解雇自由に「⑥会社の内外において刑事法令に触れる行為をし、社名を著しく汚し信用を失墜させたとき」とだけあります。
※その他の犯罪行為として、「交通違反」「脱税」などを想定しています。
投稿日:2009/08/25 14:17 ID:QA-0017230
- *****さん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
社員の私生活での犯罪(それに類する)行為に関しては、それ自体基本的には業務とは無関係の事柄ですので、そうした行為が発覚したということのみで全て無条件に制裁対象とすることは不適切といえます。会社への影響という観点からあくまで内容を吟味する必要がございます。
会社がどこまで把握するかという点につきましても、通常であれば前もって私生活まで立ち入って調査する等ということはプライバシーの侵害に当たりますし、現実的にはこの度の件のようにたまたま発覚するということが殆どといえますね‥
重要な事は、業務外における従業員の行動を探ることではなく、普段から違法・迷惑行為等を行わないよう社会人としてふさわしい態度を採るように啓発・指導しておくことにあるものといえます。当然ですが、勤怠状況が悪かったり、トラブルを頻繁に起こすような従業員につきましては特に注意しなければなりません。
会社は警察ではございませんので、犯罪行為等を取り締まるといった考え方ではなく、犯罪行為で有る無しに関わらず会社の信用を損なうような行為を防止するといった考え方に基き御社の現状を踏まえた上で必要と思われる方策を採られるべきというのが私共の見解になります。
また、ご認識の通り「社員の犯罪行為に対して、どのような処罰を行うべきか」に関しましては、行為の内容や程度・反省度合い等によりましても異なってきますので個々の事例毎に判断すべき事柄になります。このような幅の広い事柄につきまして詳細規定を設け事前に判断基準を整えておくことは事実上不可能といえるでしょう。
また、きせるのような比較的軽度(※内容によりますが)の行為であっても状況次第では制裁が可能になるよう、例えば「従業員としてふさわしくない行為等により会社の信用を損なったとき」といった解雇以外での一般的な制裁事由を就業規則上に掲げておかれるべきといえます。
投稿日:2009/08/25 23:37 ID:QA-0017236
相談者より
ご回答ありがとうございます。
解雇以外の「訓告」「減給・出勤停止」にも、このような場合に対応した制裁事由を追加する対応をしたいと思います。
また重ねての質問なのですが、社外での行為を理由に、その職責、職務を担う信頼が失われたとして、職務変更や異動などを命ずることは可能でしょうか?(私生活で脱税した社員に、経理はやらせないなど。コンプライアンス系の仕事からは外す、等)
これもケースによってしまうかもしれませんが、可能であれば見解でもいただければと思います。
投稿日:2009/08/26 18:35 ID:QA-0036734大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご参考までに。
以下回答させていただきます。
まず大前提として、ご存知かと思いますが、私生活上の非行(犯罪行為など)について、
原則として、使用者が懲戒処分を行うことは否定されます。ただし、私生活上の行為
であっても会社に相当の不利益が及ぶこともありますので、一定の場合(企業秩序の
維持確保のため)には、懲戒の対象とすることは肯定されます。
上記(企業秩序の維持確保のため)を踏まえた上で、
(1)社員の私生活での犯罪(それに類する)行為について、会社はどこまで把握すべきか?
→刑事犯罪になるおそれがある行為については、企業秩序を乱す恐れが高いことから、
広く就業規則上服務規定として、禁止する旨を定め、そういった行為については、
処罰に関係なく、報告や目撃した場合の通報を促す規定を設けることも一つの方法で
あると考えます。
(2)把握する必要がある場合、どのような体制を作るべきか?
→担当部署(内部監査、人事総務など)に窓口を設け、広く報告・通報が行えるような
体制をとることが考えられます。また、上記のような体制整備することを規程への
明文化することで、社員への注意を促すことも必要と考えます。
もっとも、通報については、通報者保護の観点から通報による不利益が及ばないような
体制及び規程による明文化をしておくことも必要になると思います。
(3)社員の犯罪行為に対して、どのような処罰を行うべきか?
→上記のような把握と体制を設けた上で、事案の大小に広く対応できるように、柔軟な
懲戒の種類を定めることで対応をしていくべきだと思います。現在の御社内の規定ですと、
解雇事由のみの規定になっていますので、例えば、①訓戒または注意、② けん責、
③ 減給、④出勤停止、⑤降格、⑥諭旨退職、⑦懲戒解雇のように種類を増やすような
規程の整備が必要になるのではないでしょうか。
(4)社外での行為を理由に、その職責、職務を担う信頼が失われたとして、職務変更や
異動などを命ずることは可能でしょうか?
→可能であると考えます。たとえば、就業規則上に、会社は、業務の都合や本人の
適正等により、社員に転勤、配置転換または職種変更を命じることがある旨を定める
ことで、対応するのも一つの方法であると考えます。
投稿日:2009/08/26 22:14 ID:QA-0017256
相談者より
投稿日:2009/08/26 22:14 ID:QA-0036739大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそご返事頂き有難うございます。
再度御質問の件ですが、職種や勤務地限定等の特約を結んでいない限り、一般的に就業規則の規定に基く職務変更や異動等の人事裁量権につきましては会社に広く認められているところです。
「私生活で脱税した社員に、経理を担当させない」というのも、職務適性上の判断から当然の人事措置といえるでしょう。
こうした措置に関しましては恣意的・差別的な取り扱いで無い限り通常問題になるような事柄ではなく、公平かつ適正な人材配置の観点からもむしろ積極的に進められるべきというのが私共の見解になります。
投稿日:2009/08/26 22:24 ID:QA-0017257
相談者より
投稿日:2009/08/26 22:24 ID:QA-0036740大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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