メンタル不調者の早期発見と早期対応のための体制づくり
メンタル不調者の早期発見と早期対応のための体制づくり
トラブル防止のために必ず押さえるべきポイントとは?
‘メンタル不調者に配慮した対応をしていたつもりなのに思わぬ事態になっている…’
そういう経験をしたことはないでしょうか。
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ある部署の課長から
「部下のAさんがメンタルクリニックに通院しているようだ。時々体調悪くて朝遅れて出社している。」
と報告を受けた。
すでに現場で対応しているようだったので、そのまま任せて対応を進めてもらっていた。
ある日突然Aさんが
「課のみんなが私のことを辞めさせようとしている!」と人事担当者の元に怒鳴り込んできた。
「勝手にプロジェクトから外された。」
「自分だけ課内ミーティングの連絡がなかった、いじめられている!」
とこれまで自分が受けた対応を泣きながら訴え始めた。
課長に確認すると
「‘業務量が多くて辛い‘と相談があったので業務調整のため担当のプロジェクトから外した。
ミーティングも朝一のもので参加するのは負担になると思って声をかけていなかった。
いちいち確認すると気にするかと思ったので…」
確かに少し前に課長から業務調整をするという報告は受けて、それで問題ないと認識していた。
配慮もしているようだったのに、なにがいけなかったのか…。
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上記のケースでは
「メンタルクリニックに通院」「時々体調悪くて朝遅れて出社」ということから
一般的なメンタル不調の案件と判断しました。
しかし現場から挙がってきたこれらの情報だけで一般的なメンタル不調者と考えて対応を進めるのは
危険です。
「体調が悪そう」「クリニックに通っている」「時々遅刻する」などの情報からはその人の状態は
わかりますが、不調の原因や背景、病気の種類などはわかりません。
そのため、実は対応を考える上で重要な事実があることを知らないまま進めていき、適切な対応が
とれずトラブルに発展することがあります。
このケースでは、後ほど課長に詳しいことを聞きとりしたところ、
「この社員は元々思い込みが激しい特徴がある」
「以前別部署にいた頃に顧客から複数回クレームが来ていた」
ということが後からわかりました。
もし、事前にこのような情報を知っていれば、違った対応を考えることもできたかもしれません。
これらの情報は会社の対応を検討する上で必要な情報なので、あらかじめ把握しておきたいところ
ですが、実際には率先して情報を聞き取りにいかないと出てこないことがほとんどです。
「体調が悪そう」「クリニックに通っている」「時々遅刻する」
という状態がどのような原因や理由によって起きているのか、それによって効果的な対応は変ります。
現場からメンタル不調の案件が報告されたら、その時わかっている情報だけで対応方針を決めるのではなく、
まずは必要な情報を率先して聞き取るようにしましょう。
そうすることで適切な対応方針を作成することができ、トラブルになるのを防ぐことが可能になります。
(コラボレーター 長尾 文子 )
- 安全衛生・メンタルヘルス
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公認心理師/臨床心理士
【専門領域】産業精神保健、認知行動療法、臨床行動分析、復職訓練、ストレスマネジメント
大学院修了後、精神科、カウンセリングオフィス、大学病院にて心理検査、認知行動療法を主とした心理面接、集団認知行動療法に従事する。その後、精神保健福祉センターのディケアで生活支援や就労・復職支援に携わる。復職訓練、社内カウンセリングに従事。
長尾 文子(ナガオ アヤコ) コラボレーター
対応エリア | 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県) |
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所在地 | 渋谷区 |
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開催日:2022/12/02(金) 15:30 ~ 17:00