カスハラ対策義務化について
法改正により企業のカスハラ対策が義務化されますが、具体的に何をどこまで行えばいいのかわかりません。
法対応ということで過不足なく実施したいのですが、ご教示いただくことは可能でしょうか。
投稿日:2025/11/17 15:31 ID:QA-0160771
- *****さん
- 神奈川県/ゲーム・アミューズメント・スポーツ施設(企業規模 1001~3000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、今年6月に改正労働施策総合推進法が成立しました。
その義務化内容ですが、
・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
・相談体制の整備・周知
・発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置
とされています。
但し、具体的な措置義務に関しましては、法令の施行日が早くても令和8年4月1日になる事から、未だ明確に示されておりません。今後、政府から指針の公表等がなされるはずです。
従いまして、現状では既に実施されているセクハラ・パワハラ対策を参考とされ、上記について御社で出来る事を検討されると共に、行政情報を随時確認される事が必要といえます。
投稿日:2025/11/17 19:36 ID:QA-0160775
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.カスハラ対策「義務化」の位置づけ
(1)労働施策総合推進法の指針改正による“義務化”
政府は 2024~2025 年にかけて
「カスタマーハラスメント防止措置」を、パワハラ防止措置と同等に、事業主の義務とする
方向で指針改正を進めています。
現状は「努力義務」ですが、改正後は 「事業主は講ずるべき措置を講じなければならない」=義務 となり、
労基署による指導の対象になります(※罰則は想定されていませんが、改善指導・勧告あり)。
(2)企業が問われる範囲
カスハラ対策は、「顧客から従業員への不当要求・暴言等」に対し、
従業員の安全配慮義務(労契法5条)
労働施策総合推進法(ハラスメント防止)
安衛法(メンタル・健康障害防止)
の各観点から求められます。
2.企業が最低限 実施すべき 7 つの義務対応
すべて パワハラ防止措置に準じた構成 です。
実務的にはこの7点を整備していれば、過不足ない「法対応」になります。
(1)【義務1】方針の明確化・従業員への周知
・企業がやるべきこと
「顧客等からの不当要求・暴言等はハラスメントであり許容しない」と明文化
企業としての対応方針を規程に記載
従業員・顧客向けの掲示・案内(HP・店内ポスター等)
・チェックリスト
就業規則または別規程にカスハラ項目を追加したか
社内イントラ、朝礼、教育で周知したか
(2)【義務2】相談窓口の設置・運用
パワハラ窓口を兼務でも可
相談受付、事実確認、対応指揮の流れを明確化
匿名性・秘密保持の担保
(3)【義務3】カスハラ発生時の迅速かつ適切な対処
・企業が対応すべき内
状況把握(録音・記録含む)
従業員の安全確保(席替え・担当変更・警備員対応等)
顧客への注意・警告(書面を含む)
必要に応じて契約解除・出禁措置・警察通報
※「顧客の言い分も聞く必要はあるが、従業員保護を最優先」と指針案で示されています。
(4)【義務4】再発防止のための仕組み作り
対応マニュアル整備(後述でテンプレ提示)
記録管理(発生日時・対応履歴)
部署間での情報共有
(5)【義務5】従業員教育(年1回推奨)
カスハラの定義・事例
反論ではなく「境界線を守る」「毅然とした伝え方」
単独対応禁止、上司へのエスカレーション手順
証拠の残し方(録音・メモ)
(6)【義務6】従業員へのケア(健康障害防止)
カスハラ対応後のメンタルケア
産業医・保健師との連携
必要に応じ休養措置
ストレスチェック制度との連携
(7【義務7】顧客への注意喚起(合理的なルール提示)
HP・店頭・契約書に「迷惑行為禁止」を明示
暴言・威圧行為・過度な要求には対応できない旨
出禁(利用拒否)の明記
3.法対応として「ここまでやれば十分」という実務ライン
以下を満たしていれば、社労士としても “過不足のないコンプライアンス体制” として評価できます。
必須(マスト)
方針の明文化(就業規則・ハラスメント規程)
相談窓口の明確化・公表
対応フローのマニュアル整備
従業員教育実施
事後ケア(健康障害防止措置)
記録保存と再発防止措置
顧客向け注意書き(HP、契約書、店内掲示)
任意(ベター)
カスハラ発生時の 「警察相談の基準表」 を作成
トラブル多発部署への専用研修
リスクスコアによる重点管理
4.就業規則への条文例(そのまま使えます)
【就業規則:カスタマーハラスメント条項例】
(顧客等からのハラスメント行為の禁止)
第○条 会社は、従業員に対し、顧客その他取引先からの暴言、威圧的言動、
過度な要求、プライバシー侵害その他のハラスメント行為を許容しない。
2 従業員は、顧客等から前項の行為を受けた場合、単独で対応せず、
速やかに上司またはハラスメント相談窓口に報告しなければならない。
3 会社は、前項の報告を受けたときは、事実確認を行い、
従業員の安全確保を最優先に、担当変更、顧客への注意・警告、
契約解除その他必要な措置を講ずる。
5.社内マニュアル(最小構成のテンプレ)
【カスハラ対応フロー(テンプレ)】
従業員からの報告
上司・窓口が「状況把握」「証拠確保」
会社としての対応方針を決定
顧客へ注意・警告(必要に応じ書面)
必要なら担当変更・休養措置
記録化・事後フォロー
再発防止策の検討
6.顧客向け掲示・ポスター案
(法律対応として非常に重要です)
当社では、従業員の安全確保のため
暴言・威圧行為・過度な要求・長時間の拘束等の
カスタマーハラスメント行為は固くお断りします。
行為が認められた場合、サービスの提供をお断りすることがあります。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/17 22:04 ID:QA-0160779
プロフェッショナルからの回答
日本の人事部Q&Aをご利用くださりありがとうございます。さて、早速ですが貴社におけるカスハラ対策の参考になりそうなツールや情報をいくつかご紹介させて頂きます。概ね来年10月施行の改正労働施策総合推進法を見据えた内容となっているため、改正法対策として有効であると思料します。
■厚生労働省「カスハラ対策企業マニュアル」
(1).マニュアルの要旨
本マニュアルではカスハラと正当なクレームの違いや、企業がカスハラ対策を怠った場合の法的責任とリスク、カスハラ行為の類型、カスハラ発生時の対処方法や社内での連携フローなどが、豊富な事例とともに詳細に解説されています。
(2).マニュアルの活用方法
カスハラ行為に対する会社の方針(カスハラポリシー)の策定、カスハラ発生時の内部手続、実害を被った際の官公署や外部専門家(弁護士等)への通報や相談などについて、本マニュアルに沿って自社のルールや体制を整備します。
(3).備考
本マニュアルは厚生労働省の「あかるい職場応援団」サイトからダウンロードできます。またカスハラ防止啓発ポスターやリーフレットなども用意されています。
■日本法令「開業社労士専門誌 SR第79号(2025年9月号)」
この号では比較的カスハラが多いとされる4つの業種について、開業社労士がクライアントからカスハラ研修を受託した場合に、各業種の特性にもとづいた効果的なカスハラ研修を企画・運営するためのノウハウなどを紹介しています。
本来は開業社労士向けの専門誌ですが、企業の経営者や人事担当者が、自社においてカスハラ研修を実施する際に、多いに参考となると思われます。貴社の業種に該当するかどうかわかりませんが、本誌で取り上げているのは「介護」「障害福祉サービス」「スーパーマーケット」「旅館ホテル」の4業種です。
なお手前味噌ながら「スーパーマーケット」編は当方が執筆させて頂いております。もし参考になりそうなら、ぜひご一読ください。
■北海道カスハラ防止条例
2025年4月1日に当方の暮らす北海道で、カスハラ防止条例が制定・施行されました。
条例の要旨は「我々道民の快適な日常生活はエッセンシャルワーカーの営業活動のお陰であるが、労働力不足が顕在化する北海道において、カスハラ行為によって貴重なエッセンシャルワーカーを喪失することは許されない。道民はカスハラするな、事業者は従業員を守れ。」というものです。
カスハラ防止条例は、2025年4月時点で東京都や北海道を含め、全国で7つの自治体で施行されたと記憶しております。貴社のカスハラポリシーを策定する際に、これらのカスハラ防止条例を参考にしてみてもよいかもしれません。
余談ですが道の関係者から直接聞いた話によると、本条例施行後に当局に対し、心無い苦情が多数寄せられたそうです。同じ道民としてなんとも嘆かわしい限りです…。
■カスハラ起因の精神疾患の労災認定基準
2023年9月1日付の厚労省通達(基発0901第2号)にて、カスハラ起因による精神疾患の労災認定基準が追加されました。貴社の安全衛生委員会のアジェンダに追加し、産業医面談のセットや就労上の配慮などを協議する際の参考としてはいかがでしょうか?
■その他
自治体によってはカスハラ対策の助成金や補助金を公募しているところもあります。貴社の所在地の自治体のホームページなど、一度確認してみると宜しいかと思います。
最後にもうひとつアドバイスさせて頂くと、現時点では改正労働施策総合推進法のカスハラ防止義務違反に対し、罰則が設けられるといった話は聞いておりません(そもそも行政取締法規ではありませんので…)。したがって厚生労働省のツールをもとにカスハラ対策を講じておけば、大きな法的リスクは生じないだろうと予想します。
以上、雑駁ではございましたが、少しでも質問者様のお役に立てると幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2025/11/18 00:27 ID:QA-0160783
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ご質問事項に関連する資料として、厚生労働省より、
カスタマーハラスメント対策企業マニュアルがHPへ掲出されておりますので、
以下、URLをご案内いたします。
https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/content/contents/001104928.pdf
なお、昨日17日の報道でも発表している通りですが、
顧客らが理不尽な要求をするカスタマーハラスメントから労働者を保護する
ため、全ての企業に対策を義務付ける関連法は来年10月1日に施行する方針と
厚生労働省より発表されています。
よって、具体的な定義・対応についての詳細は、これからの公開となります。
投稿日:2025/11/18 07:35 ID:QA-0160785
プロフェッショナルからの回答
対応
まだ具体的な内容については公開されていないようですので、厚労省などの発表を待った方が良いでしょう。
「 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」などで検索すれば厚労省のパンフレットがあります。
民間のセミナーなども既にありますが、現時点で急いで対応するというよりは、まずは社内体制の見直しなど、状況の進捗を待つ方が現実的対応と思います。
投稿日:2025/11/18 09:46 ID:QA-0160798
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
現時点では、以下のように定めています。(厚生労働省)
■カスハラを想定した事前の準備
1.従業員を守るという企業等の基本方針・姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
2.カスハラを受けた従業員の相談対応体制の整備
3.対応方法、手順の策定
4.従業員への社内対応ルールの教育・研修
■実際にカスハラが起きた際の対応
1.事実関係の正確な確認と対応
2.カスハラを受けた従業員への配慮措置
3.再発防止の取組
■以上と併せ、相談した従業員のプライバシー保護措置を講じ、
相談者である従業員に対し不利益な取扱いをしないことを定め、従業員に周知
投稿日:2025/11/18 13:17 ID:QA-0160825
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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