企業のメンタルヘルス対策“十分に活用されている”のはわずか4%
~「ストレスチェック義務化法案」成立を受けた企業の動向を調査 ~
『日本の人事部』は、全国のビジネスパーソン(経営者、管理職、人事担当者ほか)に対して「ストレスチェック」に関するWEBアンケートを実施し、その結果をまとめました。(調査期間:2014年8月25日~9月7日、回答社数:289社)
従業員数50人以上の全ての事業場に、年1回のストレスチェックの実施を義務付ける「労働安全衛生法の一部を改正する法案(通称:ストレスチェック義務化法案)」が 2014年6月19日に国会で可決・成立し、より体系的な従業員のストレス状況への対応が求められることになりました(50人未満の事業所は努力義務)。それでは現在、企業のメンタルヘルス対策はどのような状況で、実際にはどんな課題があると考えているのでしょうか。「ストレスチェックなどによる現状把握の状況」「従業員のメンタルヘルス対策の活用状況」「メンタルヘルス対策の取り組みを行う上での課題」について聞きました。
7割を超える企業が従業員の「ストレスチェック」を行っていない
「定期的にストレスチェックなどによる状況把握を行っていますか」という質問に対して、「行っている」という回答は27.1%、「行っていない」という回答は72.9%で、多くの企業が社員の現状を把握できていないことがわかりました。ただし「行っていない」と回答した企業からも、「今後の実施を検討している」との声が聞かれるなど、今回の法案成立により、ストレスチェックの導入に向けて動き出した企業は多いことがわかります。また、「ストレスチェックを行うにしても、その後の対策を講じられるかどうかが問題」「ストレスチェックが義務化されても、法制化に伴って企業がその内容を把握できない(事業者への情報は開示しない)となると対策を講じることができない」など、その後の対応について気にする声が多数聞かれました。
メンタルヘルス対策の活用促進には、現場の正しい理解が重要
「メンタルヘルス対策は従業員に活用されていますか」という質問に対して、「あまり活用されていない」という回答は31.2%、「まったく活用されていない」という回答も31.2%で、何らかのメンタルヘルス対策を講じている企業でも、実際の活用状況は低いことがわかりました(図表2)。その理由としては「人事評価への影響の不安が強く、理解不足、偏見もぬぐえないようだ」「メンタルヘルス対策を利用すると、評価が不利になると疑心暗鬼になっている」などが目立ち、従業員の中に「人事考課に響くのではないか」という誤解が根強くあることがわかりました。
さらに「メンタルヘルス対策の取り組みを行う上での課題は何ですか」という質問に対する回答では、「管理監督者の理解不足」34.5%、「専門知識を持った人材の不足」15.0%が上位を占めました(図表3)。従業員の中にある誤解を解き、対策の活用を促すには、現場の管理監督者や専門家が従業員の状況をきちんと把握し、メンタルヘルス対策関連の仕組みや制度の活用のメリットを伝えていくことが重要と言えそうです。
【調査概要】
調査対象 :全国のビジネスパーソン(経営者、管理職、人事担当者 など)
調査期間 :8月25日~9月7日
調査方法 :WEBアンケートによる回収
有効回答社数:289社