雇用保険料率が間違っていました
雇用保険料率が4月より改定になっていましたが、失念しており今月になって気が付きました。
負担率は0.1%さがりましたので、過徴収になっています。4月~9月分の差額分を従業員へ返金したいのですが、どのようにしたら良いのでしょうか。
①4月~9月分の差額を計算し、非課税で返金して良いのでしょうか。
②5月に賞与を支給しているのですが、賞与分も雇用保険料率が間違っていました。
賞与は他の給与と違って何かやる事はあるでしょうか。
②5月で決算が終了しています。決算は終わってしまいましたが、4月、5月分の雇用保険料も間違っていましたので何かしなければいけない事はあるでしょうか。(決算処理は税理士の方が行っています)
以上3点以外にも何かあればご教授お願い致します。
投稿日:2025/10/22 13:10 ID:QA-0159774
- スモモさん
- 長野県/建設・設備・プラント(企業規模 6~10人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
雇用保険料率の誤適用(過徴収)への対応は、従業員対応・会計処理・労働保険料申告の3視点で整理することが肝要です。以下の通り、ご回答申し上げます。
1.従業員への返金方法(給与上の処理)
(1)結論
過徴収分は非課税で返金可能です。
雇用保険料は本来「本人負担分」を預り金として控除しているだけですので、
返金時に所得税や社会保険料の課税対象にはなりません。
(2)実務処理手順
4月~9月分の給与明細を再確認し、
旧料率との差額(0.1%)を個人ごとに計算。
例:月額30万円 × 0.1% × 6か月=1,800円返金。
10月給与または次回給与で「雇用保険料過徴収返金」項目を新設し、差額を返金。
※課税区分は「非課税(所得税・住民税対象外)」とする。
源泉徴収票には影響なし(社会保険料控除額にも含めない)。
2.賞与に係る誤徴収(5月支給分)
(1)結論
給与と同様に、差額分(誤徴収分)を非課税で返金すれば問題ありません。
雇用保険料は「賃金総額 × 料率」で計算しますので、賞与も同様の考え方です。
(2)実務処理例
5月賞与支給額:500,000円
本来料率(令和6年度→令和7年度で0.1%減)を誤って旧率で控除した場合
→ 差額 500,000円 × 0.1% = 500円返金
給与返金と同様、**非課税で「雇用保険料過徴収返金(賞与)」**として処理します。
3.会計・決算への影響(税理士対応)
状況整理
決算はすでに5月に完了しており、4月・5月分の誤徴収が含まれている。
この場合、以下のように処理します。
(1) 会社としての雇用保険料納付額は?
雇用保険料の会社負担分・従業員負担分を合算して納付していますが、
従業員分を過大に天引きしているだけで、会社納付総額に影響はありません。
よって、労働保険の確定保険料申告(7月10日納付分)での修正は不要です。
(2) 決算上の会計処理
過徴収分は預り金(負債)の過大計上です。
返金時に以下の仕訳で修正すれば整合が取れます。
(借方)預り金(雇用保険料) ××円 / (貸方)現金(または給与支給) ××円
決算後であっても、金額が軽微(数千円~数万円規模)であれば、次期の経理で修正計上すれば実務上問題ありません。
税理士にも「過徴収分返金のため預り金を減額」と伝えれば対応可能です。
4.追加で行うべきこと
区分→必要対応→備考
労働保険年度更新(7月申告)→修正不要→給与総額に影響なし
給与ソフト設定→料率の更新を今後正しく反映→令和7年度料率適用(雇用保険料率は4月から変更)
社内説明→「返金対象期間・金額・方法」を通知文で明示→従業員の理解促進・誤解防止のため推奨
税務署・ハローワーク報告→原則不要→過徴収返金は会社内部で完結可
5.通知文(社内掲示または配布用)例文
【雇用保険料率改定に伴う返金のお知らせ】
平素よりご協力ありがとうございます。
雇用保険料率が令和7年4月より改定されておりますが、当社において旧料率のまま控除処理を行っていたことが判明しました。
つきましては、4月~9月支給分(賞与含む)の差額分を、○月給与にて「雇用保険料過徴収返金」として返金いたします。
なお、本返金は非課税扱いとなります。ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。
6.まとめ
論点→結論
(1) 4~9月分給与の返金→非課税で返金(給与で還付処理)
(2) 賞与分→同様に非課税で返金
(3) 決算後の会計対応→預り金減額で修正、税理士へ報告
(4) 労働保険申告→修正不要(納付総額に影響なし)
(5) 社内対応→従業員説明と給与システム料率更新
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/22 14:47 ID:QA-0159786
相談者より
早急にご対応いただきありがとうございます。
返金は非課税とのことですので、社会保険料等を差引後の支給額に差額分の金額をそのままプラスして支給と言う形で良いのでしょうか。
(雇用保険料は0.1%と記載しましたが、間違っておりました。申し訳ございません。
弊社は建設業ですので7/1000から6.5/1000になりましたので、0.05%の差額になります。)
労働保険に関しましては組合に委託しているのですが、修正は不要とのことですので組合には連絡は不要で良いでしょうか。
投稿日:2025/10/22 15:27 ID:QA-0159790大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
追加のご質問にご回答申し上げます。
追加のご質問をいただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
考え方や規定等につきましては、ご説明申し上げました通りです。
追加のご質問
「返金は非課税とのことですので、社会保険料等を差引後の支給額に差額分の金額をそのままプラスして支給と言う形で良いのでしょうか。
労働保険に関しましては組合に委託しているのですが、修正は不要とのことですので組合には連絡は不要で良いでしょうか。」
につきましての最終の判断は、所轄の労働基準監督署が行うものと存じます。
つきましては、本ご質問は、所轄の労働基準監督署の監督官にご確認されることをお勧め申し上げます。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/22 16:58 ID:QA-0159791
相談者より
ご回答ありがとうございました。
ご丁寧に対応いただき大変助かりました。
投稿日:2025/10/23 15:34 ID:QA-0159831大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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