私用車を業務上使用する際の自動車保険付保内容について
	表記の件につき、当社では下記規則で運用しております。
 しかしながら、定額が支払われる搭乗者保険ではなく、実損填補分が支払われる人身傷害保険のみに加入しているケースも多く、条件を緩和して人員傷害保険1000万円以上に変更することを検討しております。
 
 デメリットとしては先に述べた実損填補のみの支払で1000万円未満の支給額にしか届かないケースがあることがあげられると思いますが、その他留意しなければいけないことはございますでしょうか?
 
 また、一般的にはどちらの条件で定めているかもわかればご教示ください。
 
 「業務に使用する自家用車は、自動車損害賠償責任保険(強制保険)のほか、対人賠償額(無制限)および対物賠償額(無制限)および搭乗者(1千万円以上)の自動車保険(以下「任意保険」という。)に加入していなければならない。」    
投稿日:2025/09/24 10:10 ID:QA-0158581
- 総務の課長さん
 - 東京都/その他メーカー(企業規模 101~300人)
 
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
                ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 次の通り、ご回答申し上げます。
 1. 現行ルール(搭乗者傷害1000万円以上)の特徴
 搭乗者傷害保険は「定額支給型」で、実際の治療費や損害額にかかわらず、契約額(例:死亡1000万、入院日額5000円など)が支払われます。
 メリット
  ・ 保険金の支払が迅速・確実(治療費が安く済んでも一定額支払われる)。
  ・ 労災との調整もしやすい。
 デメリット
  ・ 実際の治療費や逸失利益が高額になると不足。
  ・ 他方で軽傷でも支払われるため、保険料の割高感がある。
 
 2. 人身傷害保険に一本化する場合の特徴
 人身傷害保険は「実損填補型」で、治療費・休業損害・逸失利益など実際の損害を補填する。
 メリット
  ・ 実費ベースで補償 → 被保険者が過不足なく守られる。
  ・ 裁判基準に近い形で計算されるため、後のトラブルになりにくい。
 デメリット
  ・ 治療費が低額で済んだ場合、支払額は1000万円に届かず、搭乗者傷害より「見かけ上は少ない」と感じる可能性がある。
  ・ 「定額で必ずもらえる」安心感はなくなる。
  ・ 労災と補填範囲が重複し、調整が必要になることもある。
 
 3. 留意点(条件緩和を検討する際)
 労災保険との関係
  業務中事故は労災が第一義的に適用されるため、人身傷害の実損填補とダブる場合は調整が必要。
 保険証券確認の徹底
  人身傷害は契約形態によって補償範囲が異なり(自車搭乗中のみ/他車運転も対象など)、証券確認を怠ると補償ギャップが生じる。
 対人・対物無制限は必須維持
  ここは絶対条件。被害者救済と会社リスク管理上も外せない。
 就業規則・内規での明確化
  「搭乗者傷害1000万円以上」から「人身傷害1000万円以上」に改める場合、内規を改定し、証券写し提出をルール化するとよい。
 
 4. 他社の一般的な運用傾向
 必須条件として多いのは「対人無制限・対物無制限・人身傷害3000万円以上」。
  (近年は搭乗者傷害を必須条件とせず、人身傷害を基準とする企業が増えています。)
 搭乗者傷害はオプション的位置づけで、必須条件にしていない会社も少なくありません。
 公共団体や委託契約では「人身傷害3000万以上」を求める例が多いです。
 
 5. まとめ
 条件緩和自体は可能。人身傷害保険を必須とする形でもリスク管理は成立する。
 留意点は、
  ・ 労災との関係(重複・調整)
  ・ 補償範囲(契約内容確認)
  ・ 定額支給型でなくなることによる従業員側の心理的な不安
 一般的には「対人・対物無制限+人身傷害(3000万円程度)」が標準ライン。
 以上です。よろしくお願いいたします。                
投稿日:2025/09/24 10:30 ID:QA-0158583
相談者より
                早速のご丁寧なご回答、ありがとうございました。
社内で検討いたします。                
投稿日:2025/09/24 11:15 ID:QA-0158588大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
私有車
                まずは私有車を業務使用させる行為自体が極めてリスクが高く、もし事故があった場合、業務=全面的に会社の管理下ということで、会社が補償を負う可能性があります。
 ゆえに自動車保険で補償額は最大限=無制限とするのが普通ではないでしょうか。
 
 社員への負荷もきわめて大きく、今のような人手不足環境では採用にも支障が出かねません。私有車を使わせざるを得ないのであれば、せめて無制限・最大の補償プランとすべきでしょう。                
投稿日:2025/09/24 11:33 ID:QA-0158589
相談者より
ご回答ありがとうございました。基準の補償額を大きくすると従業員の負担も増えるので再度検討したいと思います。
投稿日:2025/09/24 13:36 ID:QA-0158600大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
                ご質問について、回答いたします。
 
 |その他留意しなければいけないことはございますでしょうか?
 ↓ ↓ ↓
 以下の点を挙げさせていただきます。
 ・示談交渉の遅延:
 損害額が確定するまで保険金の支払いが遅れる可能性があります。
 特に、長期にわたる治療が必要な場合や後遺障害が発生した場合、損害額の確定
 に時間がかかり、結果的に支払いが遅れることがあります。搭乗者保険のように
 定額が迅速に支払われるわけではないため、従業員が一時的に経済的な困難に
 直面するリスクも考慮する必要があります。
 
 
 |一般的にはどちらの条件で定めているかもわかればご教示ください。
 ↓ ↓ ↓
 一般的には、対人賠償・対物賠償は無制限とすることが標準的かと思案します。
 搭乗者保険か人身傷害保険かについては、企業によって考え方が異なります。
 
 ・搭乗者保険:
 迅速な保険金支払いを重視する場合に採用されます。
 特に、従業員の福利厚生的な側面を強く打ち出したい企業や、
 保険金請求手続きの煩雑さを避けたい場合に好まれます。
 
 ・人身傷害保険:
 実損填補による確実な補償を重視する場合に採用されます。
 近年の主流はこちらで、多くの企業が人身傷害保険を条件に含めています。
 これにより、損害額が大きくなった場合でも、従業員が十分な補償を受けられる
 ように配慮する傾向があります。                
投稿日:2025/09/24 13:19 ID:QA-0158598
相談者より
                ご回答ありがとうございました。
「これにより、損害額が大きくなった場合でも、従業員が十分な補償を受けられるように配慮する傾向があります。」
⇒人身傷害保険に加入していた方が搭乗者保険よりも支払額が多額になるケースの方が多いのでしょうか?                
投稿日:2025/09/24 13:43 ID:QA-0158602大変参考になった
    回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
    回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
    ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
    
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。