雇用契約書の記載方法について
弊社では時給制で給与をお支払いしている労働者を雇用しています。この労働者は複数の現場を掛け持ちしているのですが、現場毎に給与体系が違っている状況です。
A現場 時給1500円
B現場 時給1700円
現在は現場毎の給与をお支払いしています。
A現場 10時間勤務 1,5000円 + B現場 2時間勤務 3,400円 = 18400円/月
どの現場で勤務するか事前に特定が出来ず、雇用契約書には「就業現場賃金に準ずる」と記載して、別途勤務時に労働者へお伝えしています。
然しながら当然賃金は明記すべきものとして改定を検討しているのですが、このようなケースですと現場毎の賃金は止めるのか、それとも代替策があるのか分からずご相談です。
尚、各現場には当該現場のみで働いている労働者も存在し、A現場ですと月の労働時間が100時間であれば150,000を月給としてお支払いしていますので、時給制の労働者の賃金を変えてしまうと各現場で同一労働同一賃金にも抵触するものでしょうか?
投稿日:2025/08/08 17:36 ID:QA-0156606
- jrtaさん
- 東京都/その他業種(企業規模 301~500人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
最も最適と思われますのは、雇用契約書上に各現場における給与金額を明記し、
各現場における労働時間を把握した上で、それぞれの時給単価・勤務時間に
応じて給与を支払うことかと思案いたします。少なからず給与処遇においては、
曖昧な内容で通知することは法令上も許されておらず、明確に明示する義務が
ございます。(労働条件の明示義務)
また、事業主には、労働時間の把握義務及びび、安全配慮義務がある以上、
どこで、何時から何時まで、何時間勤務したのかを把握する必要がありますの
で、本人に勤務情報を申告させた上で、そちらにそって給与支払いを行うのも、
運用方法の1つでございます。
同一労働同一賃金については、同じ現場で同じ仕事・同じ責任を負っている人の
間で時給差が生じますと、不合理な待遇差とされるリスクも0ではありません。
また、現場によって、現行の時給単価が1500円と1700円のところ、1500円に
統一することは、労働者にとっては不利益変更となり本人同意が必須であり、
また、仮に1500円に統一しますと、1700円の現場で仕事した際は、上記の
同一労働同一問題に発展するリスクが払拭できません。
最後に当然ながら、現場の掛け持ちを止め、1つの現場の専従とする選択股も
現実的かどうかは別ですが、ございます。
投稿日:2025/08/08 18:13 ID:QA-0156610
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 現状の法的リスク
雇用契約書の賃金額未記載
労働基準法第15条・労働契約法第4条により、「賃金(額・計算方法)」は労働条件として書面明示が必要です。
現場ごとの時給を口頭や勤務時通知だけで運用すると、労基法上の記載義務違反のリスクがあります。
同一労働同一賃金の影響
同じ現場で同じ業務をしているにもかかわらず、現場ごとに単価が異なる場合、その理由が「職務内容や責任、配置変更の範囲等」に基づく説明可能なものでないと、不合理な待遇差として指摘されるおそれがあります(パートタイム・有期雇用労働法第8条)。
2. 現場ごとに賃金が異なる理由付けの必要性
現場ごとに時給が異なること自体は違法ではありません。
ただし、その差を説明できる合理的な根拠(例)が必要です。
例1:B現場は危険作業や技能要件が高く、資格が必要
例2:B現場は深夜時間や拘束時間が長く、割増や手当相当を含む
例3:B現場は人員不足で採用条件を高く設定している(市場相場による)
このように、賃金差の「客観的理由」と「説明文書化」が必須です。
3. 雇用契約書の記載方法(代替策)
「現場ごとの賃金をやめる」か「続ける」かの二択ではなく、複数現場の賃金を事前に明示しておく形が実務的です。
記載例(時給制・複数現場対応)
第○条(賃金)
1 本契約に基づく基本賃金は、就業場所に応じて次のとおりとする。
(1) A現場:時給1,500円
(2) B現場:時給1,700円
2 就業場所は業務の都合により変更することがあり、その場合は前項の定めに従う。
または
「就業場所ごとの賃金額一覧を別表で添付し、変更時には書面で通知」
という形式でも可。
ポイントは「最初からすべての単価を明示」しておくことです。
4. 同一労働同一賃金への影響
各現場に専属の労働者がいる場合、その人と「掛け持ち労働者」が同じ現場・同じ業務をしているなら、同一の時給を支払う必要性が高いです。
賃金差をつける場合は、先ほどのように「職務内容・責任の差」や「雇用形態の違いによる配置転換範囲」など、合理的な説明をできるように準備しておく必要があります。
5. 実務的おすすめ案
現場ごとの単価は維持してもOK
ただし雇用契約書や別表で全単価を明記し、変更時は労基法15条に沿って書面交付。
賃金差の理由を明文化
就業規則や説明資料に「現場別単価の決定基準」を記載。
同一労働同一賃金対応
同じ現場で同じ業務なら単価統一が原則。差があるなら合理的理由を文章化。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/08 22:49 ID:QA-0156614
プロフェッショナルからの回答
次善の方法
以下、回答いたします。
(1)現在の制度は、「賃金の異なる」2つの現場のうち、どちらで働くことになるのかが曖昧なことが弱点ではないかと思われます。
(2)このため、労働者を「(専ら)A現場」で働くものと、「(専ら)B職場」で働くものとに分けることが考えられます。
(3)これが困難な場合には、次善の方法として、単一賃金にすることが考えられます。これに関しては、「A現場若しくはB現場」に従事する従業員と、「A現場のみ」に従事する従業員とは、「同一労働」の関係にはないと認識されます。
投稿日:2025/08/09 17:32 ID:QA-0156616
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
現場によって時給が異なっても問題はありません。
会社としては、なぜ、A現場とB現場で時給が異なるのか説明できること。
また、雇用契約書には、
A現場 時給1500円
B現場 時給1700円と記載し、
事前に承諾してもらうことです。
同一労働同一賃金というのは、正社員と非正規労働者についての問題ですので、
あらかじめ、説明し承諾してもらっていれば、問題はありません。
投稿日:2025/08/09 18:43 ID:QA-0156617
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、労働基準法で書面での明示が義務付けられているのは、賃金の決定・計算・支払等の方法になります。
すなわち、具体的な賃金支給額まで雇用契約書に明示される義務まではございませんので、毎月都度計算された額を給与明細等で通知される事で差し支えないものといえます。
ちなみに、現場によって賃金額が異なっても同一労働同一賃金の原則には抵触しません。例えば、同じ現場で全く同じ業務内容等に従事する正社員と非正規社員との間で不合理な賃金格差があれば、同原則に反する措置になります。
投稿日:2025/08/09 21:55 ID:QA-0156620
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
同一労働・同一賃金は正規・非正規労働者間の格差是正を目的とするものであって、同一の時給労働者が現場ごとに時給額が異なっていても何も問題はありません。
雇用契約書には、A現場 時給1500円・B現場 時給1700円と明記しておけばよろしいでしょう。
投稿日:2025/08/18 09:41 ID:QA-0156667
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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