定年後再雇用で嘱託の社員と業務委託を締結することについて
60歳定年後の雇用継続に関する質問です。
具体例で説明します。
対象者は、2024年8月31日に定年退職により、同年9月1日より1年間の再雇用となりました。
なお、退職時執行役員のため60歳定年退職ではなく退職時の年齢は61歳でした。
仮に、2025年8月31日をもって契約期間満了。その後、請負契約(1年間で3冊制作する請負契約)とすることは、本人が希望すれば、可能でしょうか?
またそうなった(1年間の請負契約)場合に、2026年9月1日より有期雇用(継続)を本人が望んだ場合、会社として雇用条件を提示する義務はあるのでしょうか。
つまり、雇用条件の内容は別にして、会社として雇用する義務が発生することになるのかどうかの確認です。
お手数をお掛けいたしますが、ご教示いただけますと助かります。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/03 12:34 ID:QA-0153481
- akiyasutoukoさん
- 東京都/放送・出版・映像・音響(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.再雇用終了後、請負契約にすることは可能か?
結論:本人が希望すれば「請負契約に切り替えることは可能」です。
ただし、形式だけの請負契約(実質的に雇用)になると「偽装請負」とされるリスクがあります。契約内容と働き方の「実態」が重要です。
【請負契約の成立要件(雇用との違い)】
比較項目→請負契約→雇用契約
業務の依頼方法→完成した成果物をもって報酬支払→働いた時間・労務提供に対し報酬支払
指揮命令関係→なし(自由に業務遂行)→あり(勤務時間・場所の拘束)
勤務時間・場所→自由→指定あり
勤怠管理→通常しない→する
今回の例:「1年間で3冊制作」などの成果物に対して報酬を支払う形であり、
・勤務時間を自由にし
・会社が指示・管理しない
という実態があれば、請負契約として成立可能です。
ただし、実際には常駐勤務・会社の指示で作業を進めていると判断されると、後から雇用とみなされる可能性があります。
2.請負契約終了後、再び雇用契約を希望された場合に、会社に「雇用義務」はあるか?
結論:雇用する法的義務はありません。会社が雇用条件を提示する義務もありません。
解説:高年齢者雇用安定法の枠組み
60歳定年 → 継続雇用制度(65歳までの再雇用義務)
※ただし、雇用形態は 「無期」「有期」「嘱託」「パート」など自由
65歳以降は「努力義務(希望者全員に継続雇用機会を提供)」
→ 法的義務ではなく、雇用するかどうかは会社判断です。
今回のケースにあてはめると
時期状況法的義務
~2025年8月末→再雇用中(65歳未満)→継続雇用義務あり
2025年9月〜2026年8月→請負契約→雇用関係なし(自由契約)
2026年9月〜→有期雇用希望→義務なし。会社が提示するかは任意判断
3.まとめ
質問→回答
再雇用終了後に請負契約に切り替えることは可能か?→可能(ただし実態が請負であることが必要)
その後、再度雇用契約を希望された場合、会社に雇用する義務があるか?→義務なし。雇用の可否は会社判断
4.ご参考:対応上のアドバイス
「請負契約に切り替える際」は、明確な業務成果(納品物)と報酬形態を契約書に記載してください。勤務時間や指揮命令系統が曖昧だと、後から労働基準監督署や裁判で雇用と認定されるリスクがあります。契約期間終了後の再雇用希望に対しては、「当社としては○○歳以降は契約更新しない方針」など、社内基準を明文化しておくことがトラブル防止につながります。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/03 14:08 ID:QA-0153487
相談者より
ご丁寧なご回答をありがとうございます。
たしかに、偽装請負の疑いがあるような働き方はできないですよね。
雇用との判断基準についてもよく理解できました。
また、請負後は、雇用の義務はないことも確認できて助かりました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/06/03 17:26 ID:QA-0153502大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
以下、回答は、可能です。
↓ ↓ ↓
>2025年8月31日をもって契約期間満了。
>その後、請負契約(1年間で3冊制作する請負契約)とすることは、
>本人が希望すれば、可能でしょうか?
契約は双方の合意があれば、有効となります。
以下、回答は、義務はありません。
↓ ↓ ↓
>(1年間の請負契約)場合に、2026年9月1日より有期雇用(継続)を
>本人が望んだ場合、会社として雇用条件を提示する義務はあるのでしょうか。
会社が認めるかどうかは、会社の判断です。
一度、請負契約を結んだ時点で、労働契約は、解除されております。
労働契約の解除が途中で発生している為、再度の労働契約につきましては、
双方の合意が新たに必要となります。
投稿日:2025/06/03 14:11 ID:QA-0153488
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/06/03 17:26 ID:QA-0153503大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
本人が希望して請負契約としたのであれば、その時点で、
65歳までの雇用継続義務者から外れます。
よって、請負契約終了後の雇用継続義務はありません。
ただし、あくまで、本人が請負契約を希望した場合に限ります。
投稿日:2025/06/03 15:47 ID:QA-0153500
プロフェッショナルからの回答
対応
契約なので、すべては本人の意思次第です。本人が納得しての請負契約締結はもちろん可能です。
請負契約は商取引契約なので、別契約である「2026年9月1日より有期雇用(継続)」とはなりません。
尚、実態として請負契約であることは何より重要なので、偽装派遣など雇用契約のような勤務形態がないことは大前提となります。
投稿日:2025/06/03 18:23 ID:QA-0153504
プロフェッショナルからの回答
継続雇用制度
以下、回答させていただきます。
(1)「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」において、「高年齢者雇用確
保措置」として以下のことが定められています。
第九条 定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において
同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の
六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げ
る措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれか
を講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望す
るときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて
雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止
(2)上記に則れば、「当該定年の引上げ(一号)」、「当該定年の定めの廃止
(三号)」のいずれも実施しない場合には、「継続雇用制度の導入(二
号)」を実施する必要があります。
(3)但し、「継続雇用制度」の対象となるのは、文言上、当該高齢者が、1)
「現に雇用している」高齢者であり、かつ、2)「引き続いた雇用を希望す
る」高齢者であること、となります。
(4)このため、「2025年8月31日をもって契約期間満了。その後、請負契約(1
年間で3冊制作する請負契約)とすることは、本人が希望すれば、可能でしょ
うか?」については、「雇用」ではなく「請負契約」を本人が希望している
ことから、その結果として、「継続雇用制度」の対象から外れることになる
ものの、「請負契約」それ自体は可能であると考えられます。
【上記(3)2)】
(5)「またそうなった(1年間の請負契約)場合に、2026年9月1日より有期雇用
(継続)を本人が望んだ場合、会社として雇用条件を提示する義務はあるの
でしょうか。」については、「現に雇用している」高齢者には該当しないこ
とから、「継続雇用制度」の対象にはならず、雇用条件を提示する義務もな
いと考えられます。
【上記(3)1)】
投稿日:2025/06/03 20:49 ID:QA-0153514
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、65歳までの継続雇用に関しましては、労働者本人が希望する場合に義務が生じるものです。
従いまして、当人が雇用契約ではなく業務請負での仕事を希望すれば、そのような選択も可能といえるでしょう。
但し、請負契約である以上、御社から業務指示を出されたりする等の行為は認められませんので注意が必要です。
そして、その後本人が再度雇用契約への変更を希望される場合ですが、一旦雇用契約は終了していますので継続雇用確保義務迄は生じないものといえます。但し、御社が請負等で関係性を保たれているとすれば、雇用条件を改めて提示されるのが望ましいとはいえるでしょう。
投稿日:2025/06/03 23:02 ID:QA-0153518
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
雇用契約期間満了後、新たに請負契約として契約を結ぶことは、本人が希望し御社が了承すれば何も問題はありません。
契約自由の原則というものがありますから、どういう契約を結ぼうが公序良俗に反しない限り自由です。
また、請負契約期間満了後、有期雇用契約を本人が望んだとしても、御社には応じる義務はありません。
ただし、それに応じることはもとより御社の自由です。
投稿日:2025/06/04 08:56 ID:QA-0153524
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
「2025年8月31日をもって契約期間満了。その後、請負契約(1年間で3冊制作する請負契約)とすることは、本人が希望すれば、可能でしょうか?」とのご相談内容について
請負契約に移行することは可能です。
65歳までの高年齢者雇用確保措置を義務付けられているのは会社側であり、本人が希望する場合は再雇用契約を終了して、請負契約へ移行することに問題はありません。
「またそうなった(1年間の請負契約)場合に、2026年9月1日より有期雇用(継続)を本人が望んだ場合、会社として雇用条件を提示する義務はあるのでしょうか。」とのご相談内容について
会社として雇用条件を提示する義務はありません。
高齢者雇用確保措置の継続雇用制度において、会社に求められているのは、希望者全員を対象として、雇用している高年齢者を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用することです。
定年再雇用後において、本人の意思で会社を退職した従業員が、後になって希望した場合にまで再雇用することを会社に義務付けたものではありません。
投稿日:2025/06/06 23:03 ID:QA-0153650
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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