人事白書調査レポート2022 育成
越境学習が「重要だ」「やや重要だ」を合わせると約8割。企業規模が大きいほど重視する傾向
越境学習の重要性
「越境学習」の取り組みの重要性を聞いたところ、「重要だ」(37.9%)と「やや重要だ」(40.2%)を合わせると78.1%で、8割近い企業が重要と考えています。
従業員規模別に見ると、「重要だ」と考える企業は、ほぼ企業規模の大きさに比例して高くなっており、5001人以上の企業で45.3%でした。企業規模に従って、越境学習を重要と考える傾向にあることがわかります。
「取り組みを行っていない」が過半数。行っている取り組みでは「他社への出向・移籍」が最も多い
実際に行っている「越境学習」の取り組みを聞いたところ、「取り組みを行っていない」(52.7%)が最も多くなりました。前の質問で8割近い企業が「重要だ」「やや重要だ」と回答していますが、実際に取り組んでいるのは半数にも満たないという結果になっています。
行っている取り組みでは、上位から「他社への出向・移籍」(24.5%)、「副業(社外)」(16.0%)、「他社での一時的な業務経験」(13.8%)、「副業(社内で異なる業務を経験)」(12.4%)、「プロボノ(自身のスキルを無償提供する活動)」(4.3%)という順でした。「その他の取り組み」(6.3%)には「ビジネススクールへの派遣」「ボランティア活動、地域活動への積極的参加」「資格取得支援」「他部署での業務体験」などがありました。
従業員規模別に見ると、5001人以上の企業では「他社への出向・移籍」(43.8%)、「他社での一時的な業務経験」(31.3%)が高くなっています。
「本業がおろそかになる」が3割超。「上層部が認めてくれない」「従業員が希望しない」と続く
「越境学習」の取り組みを行っていない企業に、その理由を聞いたところ、上位から「本業がおろそかになる」(36.7%)、「上層部が認めてくれない」(24.7%)、「従業員が希望しない」(20.2%)、「予算がない」(18.7%)、「すぐに成果が出ない」(17.6%)という順でした。特に「本業がおろそかになる」は36.7%と突出しており、多くの企業で従業員に本業以外の学習を行わせる余裕がないことがうかがえます。
「その他」(23.6%)には「具体的な方策と効果がわかりづらい」「実施する余裕がない、人材不足」「人事のスキル不足」「環境や業務契約による制約」「取り組みを行うための人事制度の構築が別途必要となる」「労務管理が煩雑になる」などがありました。
『人事白書2022』の本誌では、越境学習を実施した効果などに関する調査結果も掲載しています。
実施時期 | 2022年3月7日~3月31日 |
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調査対象 | 『日本の人事部』正会員 |
調査方法 | Webサイト『日本の人事部』にて回答受付 |
回答数 | 5,200社、5,441人(のべ) |
質問数 | 153問 |
質問項目 | 1.戦略人事/2.採用/3.育成/4.制度・評価・賃金/5.ダイバーシティ&インクルージョン/6.働き方/7.組織開発/8.注目の人事課題(ウェルビーイング、パーパス、職場の関係性) |
出典:『日本の人事部 人事白書 2022』
全国の人事の実態・課題を明らかにし、解決の糸口を探る『日本の人事部 人事白書』から、調査レポートを公開。貴社の課題解決にご活用ください。