取引先の出向受入について
お世話になっております。
標記の件について、確認をお願い致します。
弊社ではある業務のクラウドサービスを法人向けに提供している企業になります。
弊社社員は業務に詳しいがシステムに対する知見がほぼなく、特定の取引先1社にシステム開発を
依頼している状況が15年以上続いています。
今後サービス上の相乗効果を持たせるために、この取引先を吸収合併したいと考えておりますが、
互いの文化・制度も異なるため、まず手始めにこちらの取引先から社員の大半を出向で受け入れて
弊社社員と出向社員を一体化した組織体系とし、業務が適切に運用されるかどうか様子を見る
ことを検討しています。(双方の代表はこの進め方で合意しています。)
確認したいポイントは、
①そもそも資本関係が全くない状態で出向を受け入れることはできるのか?
(職業安定法第44条で禁止されている労働者供給事業に該当しないのか?
合併に向けての試運転としての出向という形式・目的は法的に問題ないか?)
②①が問題ない場合、就業規則、人事評価制度、給与制度などあらゆる制度が異なるが、
出向受入先である弊社の制度にすべて合わせる必要があるのか?
※まずは業務的に問題なく運用されるか、のみを主眼に置いて、制度そのものはそれぞれ
双方のものを互いの社員に適用することを維持したまま進められると当面は軋轢等もなく
進められると考えております。
合併を決断した際には当然弊社の制度を主体として組み込む予定です。
上記2点につきまして、恐れ入りますがご確認のほどよろしくお願い致します。
投稿日:2020/06/18 19:16 ID:QA-0094372
- あいなめさん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 11~30人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、出向につきまして明確な法的定義はなされておりませんが、一般的には何らかの関係性を有する会社間で人事交流等を目的として実施されるものになります。
従いまして、資本関係の存在が必須条件ではございませんので、当事案につきましてもきちんと出向契約を締結される事で対応は可能といえます。但し、露骨な営利優先での合併目的と判断されますと適正な出向から逸脱しているものとみなされかねませんので注意が必要です。
そして、適用される人事制度等に関しましては、基本的には両社間で協議され出向契約上で決める事が可能ですが、出向元の会社より出向者の処遇(給与や休日・労働時間等)が引き下げられますといわゆる労働条件の不利益変更に該当しますし、それこそ露骨な合併目的といったそしりも免れませんので出向元の会社にて出向予定者の同意をきちんと得られた上で行われる事が必要です。
投稿日:2020/06/19 09:54 ID:QA-0094390
相談者より
早速のご回答ありがとうございます。
今回検討中の出向は、合併に向けての人事交流が主目的ですので資本関係がなくとも適正な内容であれば出向契約を締結可能ということがわかり、非常に助かりました。
また追加質問となり大変恐縮ですが、やはり出向時の処遇については弊社制度に合わせることにより、どうしても出向元の人によっては条件が不利益を被る可能性もあるため、懸念を抱いております。
出向元A社、出向先(弊社)B社とした場合、A社社員に不利益を発生させないために、
出向元A社社員には、A社の休暇制度(夏季休暇、有給休暇)、人事制度(等級制度、評価基準)、給与制度(当月払い、翌月払い)などはB社に合わせることなくそのまま適用を継続した状態でB社に出向する。
(そのような出向契約を締結。B社社員は元々のB社制度を継続適用)
といったA社、B社各制度混在型の出向などは可能でしょうか?
あるいは出向形式を取らずに(指揮命令権は適正な状態を確保したうえで、)準委任契約などにした方が良いのでしょうか?
投稿日:2020/06/19 12:13 ID:QA-0094400大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
合併に向けた取引先の出向受入
▼ご質問
① 出向には、資本関係の有無は問いません。将来の合併前提の有無も特に問題にはなりません。
② 合併による一元化に時点ならいざ知らす、それまでは、夫々の制度が併存しても構いません。
▼合併という大事業を円満に実現するために、出向制度を活用するのは賢明な方法だと考えます。但し、全ての重要点を抑えた積りでも、想定外の問題発生ありとして、一定の余裕が欲しい処です。
投稿日:2020/06/20 11:09 ID:QA-0094413
相談者より
ご回答ありがとうございました。
「・・・夫々の制度が併存しても構いません。」この点も気になっていたので安心致しました。
「出向制度の活用が賢明な方法」だという点も心強いコメントです。
投稿日:2020/06/22 11:34 ID:QA-0094440大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします。
ご返事下さいまして感謝しております。
ご質問の件ですが、出向者の不利益にならないようそのような適用方法を取られる事は一向に差し支えございません。勿論出向元との間でトラブルにならないよう、出向契約上できちんと詳細について定めておかれることが必要です。
他方、準委任契約等を締結されますと、雇用契約とは異なり委任先の御社側で指示命令が出来なくなりますので、そのような方法は避ける必要がございます。
投稿日:2020/06/20 17:35 ID:QA-0094415
相談者より
再度のご回答ありがとうございました。
今回のケースは出向契約の締結方法と出向者への配慮などが重要なポイントということですね。
準委任契約はやはり指揮命令が曖昧になり兼ねる恐れがあるので、今回の手段としては取りやめといたします。
投稿日:2020/06/22 11:36 ID:QA-0094441大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
①可能です。在籍出向、転籍出向などさまざまな形態があり、出向契約で社員に不利のないよう定義しておくべきでしょう。
②合併時には移行期間を設けて、最終的に統一というのが多いと思います。どこまで猶予期間を設定するかなどは一般論ではなく貴社環境を元に経営判断して下さい。条件の差異も同様に一定期間並列することになります。長くなりすぎればさまざまな軋轢の原因になりかねませんのでこの長さも判断が必要です。
投稿日:2020/06/22 09:49 ID:QA-0094433
相談者より
ご回答ありがとうございました。
①については在籍出向で進めようと思います。
②については確かに検討課題かと思われます。制度の並列運用については気になるところではありました。運用期間が長すぎることも軋轢の原因になるとのことで十分注意致します。
投稿日:2020/06/22 11:38 ID:QA-0094443大変参考になった
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