人事制度構築について
現在弊社ではきちんとした人事制度がなくこのたび新しく人事制度の構築に取組むのですが、きちんとした人事制度がない状態からのスタートをする上で人事諸制度を構築する場合はやはり職能資格制度を取り入れた方がいいのでしょうか。成果主義になると人事制度の第2ステップのような感があるのですが、いきなり成果主義の導入というのはやはりリスクが大きいのでしょうか
投稿日:2006/01/06 14:22 ID:QA-0003259
- *****さん
- 茨城県/機械(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 佐藤 貴則
- 株式会社エスティワークス 代表取締役 特定社会保険労務士
人事制度構築について
今までに人事制度が整備されていないのであれば、移行措置が無い分むしろ導入構築し易いのですから最初から理想の制度に向かっていくべきでしょう。
それと成果主義と職能資格制度は比較対象ではありません。職能資格制度でも成果主義要素を盛り込むことは可能です。
人事制度の良し悪しはコンサルタントの嗜好によって意見がわかれるところですが私は成果主義要素を含んだ職務・職能資格制度を推奨しています。
特に職能資格制度は人事制度上有効な手段です。よく職務等級や役割等級は新しくて職能等級は昔の制度と言う方もいますが、職務等級の人事考課も結局は能力を査定しますので職能的要素は多分に含まれています。
これらの職能、つまり職務遂行能力が成果を上げる能力として発揮されているかどうかを査定するのが一般的なコンピテンシー型の成果主義人事制度ということになります。
注意しなくてはならないのは成果主義が「結果の査定」だけを行う結果主義になりがちであるという点です。多くの失敗例はこの傾向が共通しています。
まずは、①経営上必要な組織体系②従業員のキャリアパス③評価ポリシー④現行賃金分析というステップを整理し、向かうべき方向性を明確にした上で、職務基準を策定、職務・職能等級を設定してけばよろしいかと思います。その後、それらの等級間移動をどのような基準で評価していくかという点で成果主義を使えばよろしいのではないでしょうか?
簡単ですがご参考になれば幸いです。
投稿日:2006/01/06 14:54 ID:QA-0003264
相談者より
ありがとうございました。
私自身がまだまだ未熟な所がありますので
引き続き質問させていただきたいのですが
コンピテンシー型の成果主義人事制度につ
いてもう少し具体的に教えていただけませんでしょうか。
投稿日:2006/01/06 15:45 ID:QA-0031318大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
職能資格制度
職能資格制度は処遇制度としては、時代にマッチしなくなった部分が多いと思います。
制度としてはきれいにできるのですが、「仕事の成果」や「必要な能力」の部分があいまいです。
また、現在の仕事を基準にして制度を構築していきますので、できあがった時にはすでにその基準が古くなってしまいます。
制度構築のポイントとしては「制度設計の思想や骨格」をきちんと整え、細部は数年かけてつくっていかれたらよいと思います。
まず「評価基準」を明確にし、それがどのように「賃金」に連動するのかという考え方がシンプルでわかりやすいのがよいのではないでしょうか。
いきなり成果主義を導入しても「設計思想」がしっかりしていれば、社員の方々の違和感はないと思います。
投稿日:2006/01/06 15:00 ID:QA-0003265
相談者より
投稿日:2006/01/06 15:00 ID:QA-0031319大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
人事制度構築について
リスクの大小の前に、職能基準と成果基準について整理しておくのがよいでしょう。
■【職能基準】とは、職務を遂行する能力を基準に処遇を決める方式を言います。元々、潜在能力まで評価するため、評価に際して、恣意性と曖昧性が避けられないこと、経年とともに能力は一律に伸びていくという見做し前提によって、結局、年功序列化してしまい、インセンテイブ機能は働かず、集団定昇による人件費の自然増は避けられなくなってしまいました。職能基準の崩壊と言ってよいでしょう。
■【成果基準】とは、個人と単位組織の間、あるいは単位組織と会社の間で合意の上、設定された目標に対する達成度に応じて処遇、報酬を決める方式をいいます。合意には目標達成のプロセスも含まれます。納得性や実現手段を欠いたまま強引に目標を押し付けてしまうと、結果オンリ一主義に陥り、『社員のふるい落とし』『人件費削減目的』といったマイナスの反動が出やすいので注意が必要です。
■リスクの観点からは、職能制度は多くの企業が経験済みですので事例豊富という点では安心感が持てるでしょう。然し、多くの企業は、より大きなインセンテイブ機能を求めて、成果基準へとシフトしつつあります。成果主義には多くの落し穴があります。① 何によって評価されるのか? ② 評価結果はどのように処遇に反映されるのか? ③ 反映手順は公正か? ④ ルール通り処遇されているのか? ⑤ 納得できる説明は受けられるのか? などの諸点が明快に答えられないと意欲が刺激されず双方に危機の発生するリスクがあります。
■一寸長くなりましたが、成果主義の問題点もほぼ出尽くした現在、わざわざ職能制度から出発すこともないと思いますが如何でしょうか?
投稿日:2006/01/06 15:48 ID:QA-0003268
相談者より
投稿日:2006/01/06 15:48 ID:QA-0031321大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
人事制度構築について
人事制度は会社の従業員についての骨組みです。短期的な給与バランスや評価基準で考えるだけではなく、会社の中、長期の経営方針に沿って人材育成や異動、配置転換を含めて総合的に勘案する必要があります。
最も大切なのは社員の行動と結果について公平、公正な評価ができるのかと言うことです。
日本の会社の大半には職能資格制度と成果主義制度をバランスよく融合した「日本型成果主義」ともいうべき制度が適していると考えます。
それぞれのバランスは個々の企業の特性や経営方針によって異なりますのでオーダーメイドである程度時間をかけて診断をした上で構築方針を決めていけばよいと思います
まずは、何のため新しい人事制度が必要でその結果どのように会社のシステムが改善していくのかをしっかり確立していくところから考え始めるとよいと思います
投稿日:2006/01/06 15:57 ID:QA-0003269
プロフェッショナルからの回答
- 佐藤 貴則
- 株式会社エスティワークス 代表取締役 特定社会保険労務士
コンピテンシー型成果主義人事制度について
コンピテンシーは広範な捉え方がありますが一般的に『成果をもたらす行動能力』という意味で使われます。
成果を上げる人間には「成果を上げるためのコツ」というものがあり、そうした社内に内在する無形資産を規範的な行動モデルにブラッシュアップしたものがコンピテンシーです。
コンピテンシーの場合これまでの職能資格で使われていた潜在能力よりも能力の価値が実践的で高度であるのが特徴です。
この行動能力が発揮されれば必然的に成果が上がるという指標を評価基準として設けることで従業員はこれらの能力を発揮しようと努力し、その結果として全体として成果の上がる組織を目指し、能力を発揮した人間については高評価を与えるということです。
この評価はプロセス段階での従業員の能力開発と成果生産を目的しており、結果としての成果についてはコンピテンシーとは別枠の評価基準で評価することになります。
コンピテンシー型の成果主義人事制度について更に具体的にお話しするとなると、行動モデルの設定方法や運用方法、評価基準の構築やツール類の整備など、コンサルティングの領域に入っていきます。事務局経由で個別問い合わせいただければ具体的なご相談にのらせていただきます。
投稿日:2006/01/06 16:30 ID:QA-0003270
相談者より
投稿日:2006/01/06 16:30 ID:QA-0031323大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
人事制度の構築について
成果主義の受け止め方はまちまちですのであらかじめ注意が必要かと思います。
まず、「成果」のとらえ方についてみてみると、成果とは結果ではないなどとの言い方もありますが、結果は結果として重要であって、企業が社員に期待する短期的かつ直接的な結果、すなわち個別業績に注視せずしては経営はなりたたなくなってきているのが現実です。
次に、これから目指すべき人事とは、現在の結果のみならず将来に向けても成果を生み出していくものでなくてはなりません。すなわち、それぞれ異なる社員一人ひとりの意識を前提にし、潜在能力から長期的な視野で育成、開発していく必要性及びその期間をどうとらえるべきかという重要な課題にもなります。この観点からすれば、経営者及び人事責任者は、自社の必要に応じて部門、職種別の人材ビジョンを明確に描いてみることから始めるべきということになります。
こうみるとやはりベースとして重要なのが能力主義ということになるかと思います。すなわち、「能力ある人材の抜擢と役割交代」ということであり、従来の身分的な人事から脱却し、実態に即して組織を機動的に運用していこうとするとらえ方です。
以上から改めて考えてみますと、職能資格制度か成果主義かという二者択一といったものではなく、(従来の年功的で形骸化した職能資格制度からは脱却して)真の能力主義を基盤にしつつ、成果給など賃金の一部には成果主義も取り入れていかざるを得なくなってきているというのが多くの企業の現状かと判断しています。
また賃金制度の面から整理してみるとどうでしょうか。一言でいうと生活給をベースに置いたうえで、能力給(職能給)・仕事給(役割給)・成果給(業績給)からなる複合型賃金としてとらえざるを得ないことになるでしょう。もちろん、月々の賃金は能力給で、賞与は成果給でという年収単位で分けてとらえることも考えられます。
私は、最近のトータル人事コンサルティングの再構築にあたって、「役割能力等級制度」と称して提唱してきました。詳しくは拙著「役割能力等級制度の考え方・進め方」〔インデックス・コミュニケーションズ〕」をご覧頂ければと思います
投稿日:2006/01/06 16:42 ID:QA-0003272
相談者より
投稿日:2006/01/06 16:42 ID:QA-0031324大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 佐藤 貴則
- 株式会社エスティワークス 代表取締役 特定社会保険労務士
その他注意点
これもコンサルタントにより嗜好がありますが私は等級数をあまり多くしない制度をお勧めしています。
役職の多い企業に多い例ですが、等級を細分化することで昇級のインセンティブが薄れるだけでなく職務基準も不明瞭になりがちです。
また日本企業は課業による職務遂行を特徴としているといわれています。個人の職務遂行だけでなく課や部を単位とした組織的な職務遂行に重点を置いており、現場によって求められる成果はそうした組織成果である場合も少なくありません。
成果主義は個人評価に傾倒しがちなため、中長期的な組織への貢献度も視野に入れて制度構築されればよろしいかと思います。
投稿日:2006/01/07 09:32 ID:QA-0003276
相談者より
投稿日:2006/01/07 09:32 ID:QA-0031326大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
注意点について
課題として大きいものをいくつかあげてみます。
o降格を制度上正式に取り入れるべきか、これに関連して昇格及び降格基準をどう設定するのか。
o等級と役職(ポスト)との関連をどうするのか。
o管理職について、統括職(正規のライン長)に対し、専門職や専任職(スタッフ職)をどう位置づけるのか。
o転勤の有り、無しなど複線型人事も考慮すべきか
o異動配置基準をどう設定するのか
o一般社員と管理職とで異なる賃金体系を考慮すべきか(これにも関連しますが、定期昇給制はどう設定すべきか)
o職種別(営業や生産、技術開発、事務など)に異なる賃金体系も考慮すべきか
以上、トータル人事制度の設計にあたっての検討事項からいくつかあげてみました。参考になれば幸いです。
投稿日:2006/01/07 14:18 ID:QA-0003277
相談者より
投稿日:2006/01/07 14:18 ID:QA-0031327大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 畑中 義雄
- 有限会社人事・労務
ご参考までに・・・
はじめまして畑中です。
どのように評価し、人事考課を行い、社員にフィードバックするかが人事制度なのですが、皆様がお答えのようにその種類や組み合わせなど沢山あります。
評価としましては、成果評価、コンピテンシー評価、執務態度評価があります。
その評価にウェイトを掛け人事考課を行います。
人事考課の結果のフィードバックは賃金・賞与だけでなく配置転換や教育訓練もあります。
経営者が将来をどのように考えるかによって、どのような評価を行なうか、ご意見が分かれるところだと思います。
欲しい技術を持っている人をそのときだけ雇いたいと考える方もいれば、長く一緒に働きたいと考える方もいます。
実際に私が人事制度を導入したIT系の会社の社長さんは「終身雇用したい」と仰っていました。さすがに完全な年功序列の賃金制度を作りませんでしたが、このように、企業の将来をどのように考えるかによって判断が分かれるところではないでしょうか?
ご参考にしていただければと思います。
投稿日:2006/01/11 13:03 ID:QA-0003294
相談者より
投稿日:2006/01/11 13:03 ID:QA-0031335大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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