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【ヨミ】ネンコウセイ 年功制

年齢や勤続年数などの属人要素に応じて、賃金・役職が自動的に上昇する人事制度を年功制(年功序列制)といいます。能力評価を含まないため、年齢や勤続年数が同じなら昇給や昇格・昇進にほとんど差がつかないのが特徴です。
(2009/7/17掲載)

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年功制のケーススタディ

かつては日本的経営の根幹だった人事制度
就職難と雇用不安を背景に復活の兆し

年功制は、企業内での経験を重ねるごとに働き手の能力やスキルが蓄積され、成果創出への貢献度が高まっていくことを前提とする制度。年長者ほど、より高い賃金やポストが与えられますが、いわゆる「年の功」=経験「知」や経験「値」による序列を処遇決定の根拠としているためです。したがって、市場のルールが安定していて時間の経過による仕事の習熟が顕著なことや、全体としての賃金水準が低いこと、若年労働者が多いことなどの条件がそろった状況下であれば、年功制は有効に機能します。

実際、終身雇用や企業別労働組合とともに、長く「日本的経営の三種の神器」といわれ、とりわけ若い労働力が豊富だった高度経済成長期までの製造業においては、大きな競争力の源泉となりました。年功序列型の賃金体系には、終身雇用と組み合わせることで実動部隊である若年層の賃金を低く抑えられるという利点があります。若い頃は成果や労働負担に見合う報酬が得られなくても、終身雇用で長く勤め続ければ誰でも年功によって昇進し、給与も上がる。若い頃の損も補てんされる――将来を公平に保障することによって、社員のモチベーションや組織への帰属意識は安定的に保たれていたのです。

また日本人には「長幼の序を尊ぶ」という儒教的な感覚が根強いだけに、年上から指揮命令を受けることにあまり心理的抵抗がありません。組織の和を育み、家族的な一体感を醸成する上でも、年功制は好都合であったと考えられます。

ところが社会の高齢化につれて、企業内でも高賃金の中高年層が増加。人件費の高騰やポスト不足が深刻化してきました。くわえて中高年層の蓄積した経験ではビジネスルールの変化やIT化の進捗に対応できなくなり、彼らの貢献度が賃金水準に見合わなくなってきたのです。年功制と終身雇用は企業の競争力をそぐ――バブル崩壊後の長期にわたる不況を契機に、多くの企業が旧来の枠組みを棄て、成果主義的人事制度の導入を急いだゆえんです。

しかし2000年以降は成果主義に伴うさまざまな弊害も指摘され、働く側の雇用不安が増大しています。産業能率大学が09年度の新入社員を対象に実施したアンケート調査によると、成果主義的な人事制度と年功序列的な人事制度のどちらを望むかについて聞いたところ、「年功序列」と答えた新入社員は前年比11.1ポイント増の47.5%にのぼり、「成果主義」の52.5%に拮抗しました。「終身雇用」を望む新入社員も過去最高の73.5%に達し、若者の安定志向の高まりを浮き彫りにしています。

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