フレックス+固定残業代制での時短勤務者の給与・勤怠管理の整理
フレックスタイム制および固定残業代制を併用している当社において、
時短勤務者の給与および勤怠管理の整理について、法的な位置づけを確認したく存じます。
---
【前提条件】
・フレックスタイム制(清算期間:1か月)
・固定残業代制度あり(時間外労働10時間分を固定残業代として支給)
・時短勤務者(1日5.5時間、月所定110時間相当)
・給与の構造は、他従業員の所定時間である160時間としても、
最低賃金を割り込むものではない
---
【確認事項①:法定内残業の取扱い】
時短勤務者について、
所定労働時間(1日5.5時間/月110時間)を超えるものの、法定内残業が発生した場合、
この法定内残業時間分の賃金について、
・ 別途「法定内残業代」として支給する必要があるのか
・それとも、あらかじめ設定している固定残業代(10時間分)の範囲内で賃金充当する整理でも差し支えないのか
法的な考え方をご教示いただけますでしょうか。
---
【確認事項②:固定残業代の充当範囲について】
当社の理解としては、固定残業代は本来「法定外労働(割増対象)」に充当するものではあるものの、
法定内残業について固定残業代を充当すること自体は、法定外労働に対する割増賃金の未払いが生じない限り、
直ちに違法とはならない。という整理で理解しております。
この理解について、法的な問題点や留意すべきリスクがあればご指摘いただけますと幸いです。
投稿日:2026/01/03 14:49 ID:QA-0162618
- *****さん
- 東京都/販売・小売(企業規模 101~300人)
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本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
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具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
時短勤務者が所定の110時間を超えて労働した際の法定内残業代について、
あらかじめ設定した10時間分の固定残業代に充当する整理は法的に可能です。
フレックスタイム制においても、清算期間における実労働時間が所定時間を
超過した分を固定残業代から差し引く運用は、就業規則等にその旨の根拠が
あれば認められます。
ですが、法定内労働と法定外労働を合算した対価が固定残業代の金額を、
上回った場合は、不足額を別途支払う義務があります。
また、固定残業代がどの手当を指し、どの範囲をカバーしているのかが客観的に
区別できていることが有効性の条件となります。こちらがとても重要です。
不足分の精算を怠りますと、未払い賃金のリスクが生じるため要留意事項です。
投稿日:2026/01/05 10:54 ID:QA-0162644
相談者より
ありがとうございます。
未払賃金が発生するリスクを潰し、安全な運用になるように整えてまいります。
投稿日:2026/01/06 22:06 ID:QA-0162787大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
以下、結論を先に示し、その後に法的整理と実務上の留意点をご説明申し上げます。
結論
【確認事項1:法定内残業の取扱い】
法定内残業(所定超・法定内)について、別途「残業代」を支給する法的義務はありません。
ただし、その時間に対応する通常賃金相当額が、確実に支払われている必要があります。
固定残業代(10時間分)を法定内残業に充当する整理自体は可能ですが、
その結果、法定外労働が発生した場合に割増賃金不足が生じないことが前提です。
【確認事項2:固定残業代の充当範囲】
ご理解のとおり、
固定残業代は本来、法定時間外労働(割増対象)に充当されるべき性質のものです。
もっとも、
法定内残業に固定残業代を充当すること自体が、直ちに違法と評価されるわけではありません。
ただし、運用・説明方法を誤ると、固定残業代制度そのものが無効と評価されるリスクがあります。
1.確認事項1:法定内残業の法的位置づけ
フレックスタイム制(清算期間1か月)の下では、
清算期間内の総労働時間が法定労働時間総枠(例:月160時間相当)を超えない限り、法定時間外労働は発生しません。
本件の時短勤務者については、
所定:1日5.5時間/月110時間
法定:1日8時間/週40時間(清算期間で管理)
よって、
110時間を超えても、法定総枠内であれば「法定内残業」にとどまります。
法定内残業については、割増賃金支払義務はありません(通常賃金で足ります)。
したがって、
その時間分の通常賃金が
(1) 基本給
(2) 固定残業代
のいずれかで結果として支払われていれば、直ちに違法とはなりません。
2.確認事項2:固定残業代を法定内残業に充当することの可否
(1)形式論と実務論の違い
理論上、固定残業代は
「時間外労働に対する対価」
として位置づけるのが原則です。
しかし、裁判例・実務では、
固定残業代の一部が法定内残業に結果的に充当されていても
法定外労働に対する割増賃金が不足していなければ、直ちに違法とはされない
という扱いが一般的です。
(2)特に注意すべきリスク
以下の点には注意が必要です。
1. 固定残業代の「趣旨説明」と実態が乖離するリスク
就業規則・雇用契約書で
「時間外労働10時間分」と明記しているにもかかわらず、
実際には法定内残業の穴埋めとして使われている場合、
→ 制度全体の有効性が争われる可能性があります。
2. 時短者における“空振り固定残業代”問題
月110時間の契約で、法定外労働がほぼ発生しないにもかかわらず、
固定残業代10時間分を恒常的に支給していると、
→ 「実質的に基本給の一部ではないか」と評価されやすくなります。
3. 最低賃金・割増再計算時の説明困難性
固定残業代をどの時間帯に充当したのかが不明確だと、
監督署調査時に説明が困難になります。
3.実務上の整理(おすすめ)
固定残業代は
→ 法定外労働が発生した場合に優先的に充当
法定内残業については
→ 結果的に固定残業代で賄われてもよいが、明示的な充当設計にはしない
時短勤務者については
→ 固定残業代の対象時間を減らす、又は制度適用除外とすることも検討価値あり
4.まとめ
法定内残業に割増支払義務はない
固定残業代の法定内残業への充当は直ちに違法ではない
ただし制度趣旨と運用の乖離は高リスク
時短者については制度設計の見直し余地あり
ご質問の整理は、法的理解として概ね妥当ですが、
「説明可能性」と「制度の一貫性」を強く意識した運用が重要です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2026/01/05 11:02 ID:QA-0162646
相談者より
直ちに違法性がないことは安心しました。仰っていただいた通り、時短勤務者は対象外にするのが、シンプルで分かりやすいと、私自身は感じていますが、社内丁寧に対処してまいります。
投稿日:2026/01/06 22:09 ID:QA-0162788大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
時短勤務者の
固定残業代について、雇用契約書及び給与規定でどのように規定しているか、
どのような計算式で支払っているのかによります。
法定内残業について固定残業代を充当すること自体は問題ありません。
投稿日:2026/01/05 17:10 ID:QA-0162672
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2026/01/06 22:10 ID:QA-0162789大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
「1」「2」ともに、貴社の就業規則でどう定義するかでしょう。固定残業代が実残業代を超えない範囲であれば、充当するのは問題ありません。いずれにしても就業規則、雇用契約での明記次第です。
投稿日:2026/01/05 19:24 ID:QA-0162688
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、固定残業代の制度に関しましては、法令で定められているものではなく、主に賃金支払の簡素化の為に各会社が任意で内容を設定し運用するものになります。
従いまして、この度のような法定内残業に対する充当有無につきましても、当然に就業規則の定めに基づいて判断を行うものとされます。
そこで御社の場合ですが、仮に「時間外労働10時間分を固定残業代として支給」とのみ定められていますと、時間外労働は法令用語で法定労働時間を上回る時間を意味する事から、これを厳格に解すればそれ以外の残業時間等には充当出来ない事になってしまいます。
但し、短時間勤務者で重ねて別途法定内残業代を支給されるというのも不合理と感じられますので、対応としましては、当人に法定内残業にも充当される主旨の制度である旨を丁寧に説明され同意を得られた上で充当されるのが現実的であり妥当な措置といえるでしょう。
そして、これを機会に固定残業代の充当範囲について明確に定められる事をお勧めいたします。
投稿日:2026/01/05 19:46 ID:QA-0162692
相談者より
ありがとうございます。転職した会社にて、このような運用がされていたため、やはり整理の対象とすべしとのこと承知しました。
投稿日:2026/01/06 22:04 ID:QA-0162786大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
要件
以下、回答いたします。
(1)労働基準法第37条(割増賃金)のもと固定残業代制は許容されています。但し、その要件として、割増賃金に相当する部分を判別できるようにしおくこと(判別可能性要件)、時間外労働等に対する対価として支給されるものであることが明確であること(対価性要件)が求められています。
(2)これを踏まえれば、1)「時間外労働10時間分」については「法定外時間外労働」に当てるものであること、2)10時間に達しない場合には、「法定内残業」に振り向けるものであること、を就業規則等で明確にしておくことが考えられます。
(3)但し、法37条は残業抑制という方向のもとで設けられているものであり、
この趣旨に鑑みれば、上記(2)2)を設けることの合理性が別途問われるものと認識されます。(労働契約法第7条)
投稿日:2026/01/05 21:09 ID:QA-0162695
相談者より
承知しました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2026/01/06 22:11 ID:QA-0162790大変参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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