勤怠期間全欠勤の場合の通勤手当について
いつも参考にさせていただいております。
表題の件につきまして、相談させてください。
例えば退職月で勤怠期間が全日有給(1日も勤務はしていない)だった場合「通勤手当」については就業規則に明確な表記がなければ支払うという認識でおります。
そこで、休職している社員が勤怠期間中全日欠勤だった場合も上記同様「通勤手当」は支払う必要があるのでしょうか?
ご教示いただけますと幸いです。
※当社では現状の規程において通勤手当の不支給についての記載はありません。認識があいまいになるのを防ぐため、「対象期間中に実働日が1日もない場合は不支給とする。」といった記載を規程の該当項目に追記することを検討中です。
投稿日:2025/11/18 18:34 ID:QA-0160849
- しましまえながさん
- 静岡県/化粧品(企業規模 51~100人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|休職している社員が勤怠期間中全日欠勤だった場合も上記同様「通勤手当」は
|支払う必要があるのでしょうか?
休職している期間は、労働者にとって労務の提供自体が免除されている期間です。
つまり、業務そのものが存在しておりませんので、業務の為の通勤行為もありま
せん。よって、通勤手当の支給は不要と考えて良いでしょう。
なお、ご質問者様記載の通り、会社規程に定めが無ければ、意見の食い違いが生じ
トラブルになる可能性が高まりますので、規定いただくのが良いでしょう。
投稿日:2025/11/19 16:32 ID:QA-0160873
相談者より
早々にご回答をいただきありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2025/11/19 16:41 ID:QA-0160874大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
ご認識のとおり、通勤手当規定の記載によります。
実費支給ということであれば、全休の場合には、通勤手当も支給しない
のも合理性があります。
ただし、
対象期間中に実働日が1日もない場合は不支給とするなどと追記した方がよろしいでしょう。
投稿日:2025/11/19 16:53 ID:QA-0160878
相談者より
早々にご回答をいただきありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2025/11/19 17:37 ID:QA-0160891大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
判断
合理性という点で、通勤費不支給に理があると思います。
正当性担保のため、就業規則記載をお願いいたします。
投稿日:2025/11/19 17:10 ID:QA-0160882
相談者より
早々にご回答をいただきありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2025/11/19 17:38 ID:QA-0160892大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
就業規則に「実働ゼロの場合は不支給」との明文規定がなければ、
退職月の全日有給・休職中の全日欠勤のいずれでも、通勤手当は原則「支給せざるを得ない」という扱いになります。
理由は、通勤手当は「労働の対価」ではなく「通勤に通常必要な費用の補填」とされており、就業規則等で支給条件を制限しない限り、欠勤・休暇によらず支給される扱いとなるためです。
2.法的根拠・実務上の判断ポイント
(1)通勤手当=「費用補填」であり、ノーワーク・ノーペイの原則とは別構造
通勤手当は、労働基準法上の「賃金」ではあるものの、性質は**「通勤費の補填」**であり、
・労働した日数
・労働時間
とは本来リンクしません。
よって、会社が
「一定の勤怠状況なら支給する/支給しない」
と定めていなければ、欠勤が多くても不支給にはしづらい性格の手当です。
(2)退職月「全日有給」の場合
これはご認識のとおり、
就業規則に不支給の明記がない限りは支給する扱い
となります。
有給休暇は「出勤したものとみなす」ため
有給休暇は、労基法39条により「労務に従事したものとみなされる」ため、
“実際には出勤していないが、出勤と同様の扱い”
となります。
そのため、通勤手当も支給対象とする実務が一般的です。
(3)休職中などで「全日欠勤」の場合
これも同様で、規程に不支給明記がない限り支給扱いになりうる
というのが実務上の整理です。
理由は、休職中は労働していませんが、会社が支給基準を定めていない限り、
「通勤実態がないのだから払わない」という理屈を後付けすることになり、
不利益変更として争点になり得るためです。
実際、通勤手当の支給基準は企業によって大きく異なるため、
「会社の合理的ルールがない=支給すべき」
という判断になるのが運用上の安全策です。
3.就業規則改定は必須(この機会に整備を強く推奨)
御社のように
「通勤手当の不支給についての記載がない」
場合、
・休職
・産休育休
・全日欠勤
などで揉める典型ポイントとなります。
したがって、今回ご検討の
「対象期間中に実働日が1日もない場合は不支給とする」
という条文追加は、非常に妥当で、実務的にも広く採用されている書き方です。
4.実務で使える就業規則の「通勤手当 条文案」
以下、そのまま規程に転記可能なレベルの案です。
【通勤手当の支給基準(追記案)】
(通勤手当)
1 会社は、従業員の通勤に通常必要と認められる費用を補填するため、通勤手当を支給する。
2 通勤手当の支給額および算出方法は別に定める通勤手当規程による。
3 次の各号のいずれかに該当する場合は、通勤手当を支給しない。
(1)当該支給対象期間において実働日が一日もない場合
(2)休職期間中
(3)その他、会社が通勤の実態がないと認める場合
4 有給休暇(年次有給休暇、特別有給休暇等)は、実働日として取り扱う。
5.実務ポイント
通勤の実態がないのに通勤手当を払うのは不合理
→就業規則に明記すれば問題なし
有給=出勤扱いなので支給する旨を明示
→従業員にとって不利益にならない
休職者・長期欠勤者を明確に区分
→後々のトラブル回避
不利益変更リスクは軽微(合理性が高い)
→「通勤の実態がないため不支給」との合理性があるため、
就業規則改定も比較的受け入れられやすい
6.まとめ
就業規則に基準なし → 原則支給扱い
退職月全日有給 → 支給
休職で全日欠勤 → 規程に不支給明記がなければ支給
今回の追記案は極めて妥当で推奨
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/19 17:26 ID:QA-0160887
相談者より
早々に詳細なご回答をいただきありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2025/11/19 17:40 ID:QA-0160893大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
持参債務
以下、回答いたします。
(1)通勤費については、「別段の意思表示」がないときは、労働者が負担するものと認識されます。
(2)その上で、当該「意思表示」として、「使用者が一部負担する。但し、実際の通勤がない場合には負担しない」旨とすることは、社会通念から逸脱したものとは思われません。
但し、就業規則において明記する必要があると考えられます。
(弁済の場所及び時間)
第四百八十四条 弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。
2 法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができる。
(弁済の費用)
第四百八十五条 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。
投稿日:2025/11/20 07:32 ID:QA-0160913
相談者より
ご回答をいただきありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2025/11/20 09:50 ID:QA-0160934大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
通勤費用は、本来は労働者が負担するのが原則ですが、使用者から支給されるものとなり、支給基準が定められている場合は、「賃金」に該当し、労基法第24条の適用を受けることになるため、就業規則(通勤費規定等)上の根拠なく、通勤手当を不支給とすることはできません。
この点は、労働者の責に帰すべき事由による欠勤、休職等によって出勤していない月についても同様です。
出勤がない月の通勤手当を不支給とするためには、根拠規定が必要となります。
例えば、「傷病、長期出張、特別休暇その他の事由により賃金計算期間を全日にわたって通勤しない場合は当該月に係る通勤手当は支給しない。」といった体で、規定を設けておくことで不支給も可能になります。
ですが、「対象期間中に実働日が1日もない場合は不支給とする。」といった体で、新たに追記するとなれば不利益変更の問題も排除できず、その変更が有効となるためには、基本的には労働契約法第10条の要件を満たす必要があります。
しかしながら、1か月まったく出勤していない月には通勤手当は支給しないとすることには、一定の合理性があると考えられますし、通常の不利益変更よりは柔軟にその合理性が認められる可能性もあるでしょう。
そもそも、通勤に際しての金銭補助が通勤手当ですから、通勤しないのであれば補助する必要はないでしょう、というのも至極ごもっともな話です。
投稿日:2025/11/20 12:22 ID:QA-0160946
相談者より
ご回答をいただきありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2025/11/21 15:48 ID:QA-0161031大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、休職中であれば、全ての賃金を支給されないのが通常の扱いといえます。
従いまして、実際にそのようであれば通勤手当に関しましても支給される義務はございません。
投稿日:2025/11/20 19:02 ID:QA-0160962
相談者より
ご回答をいただきありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2025/11/21 15:48 ID:QA-0161032大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
在宅勤務者に通勤手当を支給していた場合 在宅勤務をしている者に、入社より... [2025/02/18]
-
通勤手当について 通勤手当についての相談です。弊社... [2023/09/15]
-
通勤手当の課税・非課税の調整について さて、弊社での通勤手当に関する処... [2020/03/04]
-
退職時の通勤手当返金方法について 弊社では6か月分の通勤手当を支給... [2022/02/18]
-
通勤手当の規程について 従業員に通勤手当を支給するにあた... [2022/04/14]
-
傷病手当金について 傷病手当金の申請で、「継続した欠... [2007/01/29]
-
欠勤と忌引き休暇について よろしくお願いいたします。もとも... [2021/11/18]
-
欠勤の承認 さて、社員が有給休暇を持っている... [2013/10/28]
-
退職金計算における欠勤・休職期間の取り扱い 現在の退職金規程において、休職期... [2014/12/15]
-
勤怠届(有給・欠勤・遅刻・早退・外出)の保管期間について 表記の保管期間について、労基法第... [2012/08/30]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
通勤手当申請書
従業員が通勤手当を申請するためのテンプレートです。
通勤手当の支給規則
通勤手当の支給規則例です。支給要件、支給額、申請手続き、限度額などについて文例を記載しています。
就業規則届
労働基準監督署に届出するための就業規則届です。是非ご利用ください。
退職承諾書
退職届を受理し、承諾の旨と今後の指示を記載した書類です。