懲戒事由の項目数を多く設けるべきか否か
ただいま当社では懲罰規程の見直しを進めています。
そこで「懲戒解雇の対象となる事由」の項目数についてのご相談です。
懲戒解雇の対象となる事由を設定するにあたり、万が一、裁判になったときでも解雇の有効性が認められるよう、「解雇予告の除外認定が受けられる」とされる6項目の範囲内で懲戒事由を設定しました。その結果、懲戒解雇の対象となる事由は計15項目ほどになりました。
その懲戒事由の案を専門家へ確認いただいたところ、『懲戒解雇の事由はもっとたくさん設けるべき』『裁判になれば懲戒解雇が無効になるかもしれないが、裁判にならなければ問題ない』といった趣旨の助言を受けました。
そこでご意見を伺いたいのですが、
①懲戒事由の設定にあたっては、過去の判例や通達をそれほど意識する必要はないのでしょうか?
②社内秩序を維持しつつ、訴訟のリスクを避けるにはどの程度細かい懲戒事由の設定が望ましいでしょうか?
恐れ入りますが、ご助言いただけますと幸いです。
投稿日:2021/08/31 14:18 ID:QA-0107066
- タカバタケさん
- 兵庫県/人事BPOサービス(企業規模 11~30人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
経験と推測では精々7種類
① 趣旨のコア部分が類似した判例や通達は、力強い参考になります。参考にするには、精査が必要です。
② 実務的には、7種類程度が妥当でしょう。
投稿日:2021/08/31 16:35 ID:QA-0107070
相談者より
「7種類」とは、懲戒の種類(譴責、降格など)のことでしょうか?
懲戒事由(何をしたら懲戒になるか)の項目数については何項目くらい設けるのが一般的でしょうか?
投稿日:2021/08/31 17:56 ID:QA-0107075参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
まず、~裁判になれば懲戒解雇が無効になるかもしれないが、裁判にならなければ問題ない』というのは、全くもって賛同できません。
争いまで発展した場合まで想定した規定こそリスク回避の就業規則であり、そのようにすべきでしょう。
①そもそも裁判例により、就業規則などに根拠がなければ、従業員を懲戒処分できないとされています。
②細かい具体例までは求められていません。服務規定と懲戒処分は表裏ですが、例えば、服務規定に甚だしく違反したときなどでもかまいません。
実際の項目をみないと何ともいえませんが、15から20項目であれば少ないとはいえないでしょう。
投稿日:2021/08/31 18:05 ID:QA-0107076
相談者より
ご回答ありがとうございます。
参考にさせていただきます。
投稿日:2021/09/01 11:02 ID:QA-0107091大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
経験と推測では精々7種類・R1
▼懲戒の種類と懲戒原因をゴッチャにされているのではありませんか? 懲戒行原因は色々ありますが。夫々を審査の上、然るべき懲戒種類を適用する訳です。
▼具体例としては「戒告、譴責、減給、出勤停止、降格・降職、諭旨退職、懲戒解雇」位の処です、これを、2倍も、3倍も膨らませると、非実用的な定めになってしまいます
投稿日:2021/08/31 21:32 ID:QA-0107083
相談者より
質問意図がご理解いただけず残念です。
投稿日:2021/09/01 11:02 ID:QA-0107090あまり参考にならなかった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
『裁判になれば懲戒解雇が無効になるかもしれないが、裁判にならなければ問題ない』という発想にはあまり共感できません。
懲戒解雇を行なうにあたっては、たしかに就業規則に根拠規程が必要とはなりますが、当該規程に沿って懲戒解雇を行なったからといって、それだけで懲戒解雇が有効となるわけではありません。
懲戒解雇は、懲戒処分の一つとして行なわれるものですから、懲戒解雇が権利の濫用に当るか否か(つまり有効か無効か)が問題となった場合は、懲戒について定めた労働契約法15条、解雇権濫用法理を定めた同法16条の問題になり、権利の濫用と判断されれば、当該解雇は無効となります。(労契法15条)
要するに、使用者が労働者を懲戒することができる場合において、労働者の行為が終業規則上の懲戒事由に該当し、「客観的に合理的な理由」があり、「当該行為の性質・態様その他の事情に照らして社会通念上相当なものと認められる」ことが必要となる、ということです。
解雇理由に「合理性」があるとは、誰が考えてもその解雇はやむを得ないという理由があること、「相当性」があるとは、解雇という重い処分を下すには、それに応じた重大な事実、理由(行為と処分のバランス)がなければならないということになります。
①懲戒事由の設定にあたっては、過去の判例や通達を意識する必要はありますが、②規程の内容は、例えば「服務規律を乱したとき」といった、抽象的な記載でかまいません。
投稿日:2021/09/01 09:53 ID:QA-0107084
相談者より
ご回答ありがとうございます。
参考にさせていただきます。
投稿日:2021/09/01 11:02 ID:QA-0107092大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
1.現実離れした事由でなければ、自ずと判例などにもある内容に収斂していくのではないでしょうか。
2.すべてを例示することは現実的に不可能ですので、15であれば十分なようにお見受けします。
既に専門家と相談されているのであれば、コストをかけてでもしっかり法的担保をいただくべきでしょう。
投稿日:2021/09/01 11:37 ID:QA-0107097
相談者より
ご回答ありがとうございます。
参考にさせていただきます。
投稿日:2021/09/03 11:07 ID:QA-0107215大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、①につきましては、懲戒解雇の事由を多く設ける事で懲戒解雇の実効性が高まるという事にはつながらないものと思われます。ご文面の中の専門家も触れられていますように、懲戒解雇事由に該当しても必ず有効になるとは限りませんし、さらに本当に疑問を持った方であれば、裁判を起こされる可能性も当然生じますし、そこまで行かなくとも労基署や社外労組等に相談されたりする事が十分にあり得るものといえるでしょう。
②につきましても、余り細かく考える必要性はないものといえますが、どうしても気になるようでしたら、ネットや書籍等で就業規則のモデルを参照され、御社で是非追加しておきたいと思われる内容のみ加えるといった対応で十分といえるでしょう。
投稿日:2021/09/01 17:45 ID:QA-0107109
相談者より
ご回答ありがとうございます。
参考にさせていただきます。
投稿日:2021/09/03 11:08 ID:QA-0107216大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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