本誌特別調査
懲戒制度の最新実態(労務行政研究所)
解雇の場合の退職金は、
懲戒解雇では「まったく支給しない」が74.4%、
諭旨解雇では「全額支給する」が49.4%で最多
多数の人が働く企業組織では、日々さまざまな問題が起き、企業秩序維持のために懲戒処分の検討が必要となることもある。しかし、従業員が起こす非違行為は多様であり、それらに対してどのような処分をするか、懲戒規程に定められた基準だけでは判断に迷うことも多いのではないだろうか。
ここでは、各企業の懲戒制度の内容とともに、解雇の場合の退職金の有無、30のモデルケース別に見た懲戒処分の適用状況について紹介する。
ポイント
- 懲戒処分の種類として、1:懲戒解雇(100%)、2:出勤停止(98.4%)、3:減給(96.7%)を設定している企業が多い[図表1]
- 解雇の場合の退職金(複数回答)は、諭旨解雇では「全額支給する」49.4%、懲戒解雇では「まったく支給しない」74.4%とする企業が最も多い[図表2]
- モデルケースに見る懲戒処分で、懲戒解雇に該当すると回答した企業の割合は「売上金100万円を使い込んだ」74.0%が最も高く、次いで「社外秘の重要機密事項を意図的に漏えいさせた」63.6%であった[図表3]
1 懲戒段階・種類の設定状況
懲戒段階の設定状況
「6段階」が40.2%で最多。5~7段階に全体の8割以上が集中
懲戒段階の設定状況 懲戒段階の設定数としては「6段階」40.2%が最も多く、以下「7段階」27.7%、「5段階」14.1%と続く。5~7段階に全体の8割以上が集中しており、規模別に見ても大きな違いはなかった。
懲戒処分の種類
「懲戒解雇」はすべての企業が設定。
そのほか、「譴責」「減給」「出勤停止」も9割以上が設定している
[図表1]では、懲戒段階別に、設定している懲戒処分の種類を集計している。
懲戒の種類について法律上特に定めはないが、「懲戒解雇」に関しては懲戒段階数にかかわらず、すべての企業で設定されていた。そのほか「譴責(けんせき)」「減給」「出勤停止」なども9割以上と多い。「その他」としては、“(口頭・厳重)注意” “停職” “訓戒” などが挙げられる。
懲戒処分の実施パターンのうち、上位3位のものを挙げると、以下のとおり。
1位(6段階):譴責、減給、出勤停止、降格・降職、諭旨解雇、懲戒解雇(33.2%)
2位(7段階):戒告、譴責、減給、出勤停止、降格・降職、諭旨解雇、懲戒解雇(13.0%)
3位(5段階):譴責、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇(8.2%)
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