所定労働時間の延長について
いつも参考にさせていただいております。
当方、病院・診療所、訪問看護ステーションなどを経営する医療法人です。ここ数年経営状況が思わしくなく、現在債務超過状況となっています。また、直近では新型コロナの影響もあり今年に入ってから、かつてないほどの経営赤字で資金が流出しており、この状況が推移すると数年後には「資金ショート」を起こしかねない状況となっています。
半年ほど前に、職員のワークライフバランスの改善、経営構造の改善を検討して、所定労働時間の延長による「完全週休2日+祝日」の実施を労働組合に提案しました。
これにより、労働者にとっては年間休日数が13日増え122日となるメリットはありますが、所定労働時間が月あたり約10時間の延長となる不利益が発生します。
これを実施することで、年間少なくとも1千万円以上の経営改善を見込んでいます。もちろん、経営改善はこれだけではなく、委託費の見直しや不急の設備更新は先送りする等の経費削減や、収益増についても手立てを尽くしているところです。
労働組合には、経営状況(職場を経営的にも守っていく必要があること)や人材確保の面からも具体的な資料を示して説明をおこない、執行部からも一定理解を得られていますが、なかには強硬に反対をする執行部もおりなかなかまとまらない状況となっています。
このままの状況が推移すると、労組としても「検討したが執行部としてまとまらず、最終的な結論が出なかった」などと、協議がとん挫することも予測されます。
当法人の労働協約では、基本的に労働条件や就業規則などについては「法人は、組合と協議し決定する」となっており、特に同意までは求められていないのですが、なぜか「勤務時間」に関してのみ「組合と協議し同意を得て行う」となっており、労組の同意を得ないと実施が難しいのかなと考えております。
ただ、こういった労働協約が有効である限り、現在の厳しい経営状況であっても労働時間の延長は労組が同意しない限り実施不可能ということになるものなのでしょうか。
それとも、協議を尽くして同意を得られなかった場合は、経営責任として実施してよいものなのでしょうか?
投稿日:2020/11/06 16:08 ID:QA-0098081
- Soumuさん
- 東京都/医療・福祉関連(企業規模 501~1000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、労働協約につきましては、法令上会社が定める就業規則等よりも優先して適用されるものとされています。
従いまして、労働協約上で勤務時間に関しまして「組合と協議し同意を得て行う」と定められている以上、同意を得なければ時間変更は出来ないものといえます。経営責任とは別のいわゆるコンプライアンス上での問題ですので、そのような理由で協約違反の措置を採る事は認められません。
しかしながら、結局示されたような合理性のある変更内容を一部の強硬論者の反対で受け入れないとなれば、結果的に労働者全体の利益を損う事になりかねませんので、現実に目を向けて頂けるよう粘り強く真摯に理解ある執行部の方と協議を重ねる事で合意の獲得も十分に可能といえるでしょう。
投稿日:2020/11/06 19:16 ID:QA-0098096
相談者より
回答ありがとうございます。
今後も同意に向けての協議は継続をしていきたいと考えます。
労働協約は40年以上前に締結され、その後同じ内容で更新を繰り返してきたもので、当時どういった経過で「労働時間変更について同意」となったのか分かる者がいないのですが、そう定めている以上は致し方ないと思います。
今回経営的な問題では、法人としては「なるべく職員の収入を維持しながら、休日も増やしつつ、経営も改善したい」という立場で提案して協議も重ねているのですが、今回の提案が拒否されてしまうと賞与等、具体的な賃金部分を検討せざるを得ないとも考えています。執行部にも説明はしているのですが、なかなか理解を得られない執行部もおり(また、その執行部が声が大きいという問題もあり)、苦慮しているところです。
投稿日:2020/11/10 10:56 ID:QA-0098148参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
話し合いが決裂すれば経営が立ちゆかなくなる問題ですから、話し合いを放棄することはできませんが、一方で法人存続の危機であることも繰り返し伝えて、努力は最後まであきらめるべきではありません。何より労働協約で決めてしまった以上は今さら覆すことはできません。
何より気になるのは「強硬に反対をする執行部もおり」ということで、経営側が意思統一できないようではおよそこうした存亡の危機に対応はできません。不適正の執行部人員見直し含め、理事長責任で取り組む問題でしょう。
投稿日:2020/11/07 09:54 ID:QA-0098100
相談者より
回答ありがとうござます。
当法人では経営的な数字もすべて示しながら話し合っており、「このままの経営状況が継続した場合、事業活動の継続が困難になり、それが近い将来組合員にとって今より大きなマイナスを背負わせることにもなる」ことも説明はしたのですが、理解をしていただける執行部と、残念ながら「将来のことで脅して」無理やり納得させようとしている、という執行部もおりました。経営状況については毎月すべての数字を職員に開示して、毎月時間を取って医療経営活動の報告も行っているのですが、理解していただけない執行部がいるのはこちらの力不足もあるのかとも考えます。さらに分かりやすい説明を心掛け経営問題についてリアルにとらえられるようにしたいと考えます。
投稿日:2020/11/10 11:15 ID:QA-0098150参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
労組執行部の機動的才覚に期待
▼世間的に、容認されそうな事案でも、本件に就いては、組合同意抜きの強行突破はやばいです。
▼労組内部には、好ましくない意味で、「思い込んだら命がけ」メンバーはよく見られます。
▼労組介入は不当行為ですが、労組にも、声の大小(物理的な意味)に捉われず、無言の大勢(サイレント マジョリティー)の声を反映するため、無記名投票などの機動的才覚は期待できないのでしょうか?
投稿日:2020/11/07 11:04 ID:QA-0098104
相談者より
回答ありがとうございます。
今後も同意に向けての協議は継続をしていきたいと考えます。
労働協約は40年以上前に締結され、その後同じ内容で更新を繰り返してきたもので、当時どういった経過で「労働時間変更について同意」となったのか分かる者がいないのですが、そう定めている以上は致し方ないと思います。
今回経営的な問題では、法人としては「なるべく職員の収入を維持しながら、休日も増やしつつ、経営も改善したい」という立場で提案して協議も重ねているのですが、今回の提案が拒否されてしまうと賞与等、具体的な賃金部分を検討せざるを得ないとも考えています。
大分以前、定年制について導入を検討した際(それまでは定年制自体がありませんでした)には、労組執行部も見解を出し、最終的には全組合員投票により定年制を定めることになったのですが、現在の執行部はそこまでできない状況もあるのかなと考えています。今回の提案に関しても、執行部内部で意見の調整がつかず見解も出せていない状況ですので、執行部がリーダーシップを発揮してまとめていただくことは難しいかもしれませんが、労組介入にならないよう気を付けながら、できるかぎりの援助は行いたいと思います。
投稿日:2020/11/10 11:05 ID:QA-0098149参考になった
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