職務給の導入について
現在弊社は職務給を導入しようと制度構築中です。自前ながら全職種の課業洗い出しを終え、課業毎の評価基準を作成しています。聞くところによると、日本企業で職務給の導入に成功しきちんと運用できているところはあまりないそうです。今後の進め方で他社の成功例、失敗例を参考にしたいと考えています。文献などご紹介していただきたく思います。よろしくお願いします。
投稿日:2007/08/21 16:24 ID:QA-0009454
- *****さん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
職務給の長所、短所
私の子供が中学生になった時、話し合って、お小遣いゼロにしました。話し合いの内容は、「何もしないのにお金をもらえるのはおかしい」「家の仕事と単価金額を一覧表にするので、その仕事をしたら、月末にお金をあげる」というものでした。中学生になった息子は納得しました。小学5年生だった娘は、「お手伝いをお金で換算するのはちょっとやだ」と言っていました。それでも、そのしくみでしばらく進めました。息子はあまり手伝いをすることなく、友達とどこかに行く時とか、何か買いたいものがある時は、仕事をしていました。娘は計画的にせっせと仕事をしてお金をためていました。職務給のいいところは、「成果」がはっきり見えることだと思います。ところが、会社の仕事は常に変化しています。必要な仕事がどんどん変わっていきます。また、「できる仕事だけする」のでは、「仕事で失敗して経験を積む」ことができなくなります。仕事を通じて能力開発をすることで、成長することができなくなります。米国では、ヘイ・コンサルティングが職務給を推進していましたが、今はやっていないそうです。私は、ビジョンを掲げて部門の機能を明確にし、個人の役割を決めるという考え方で制度設計をしています。未来・将来からゆるやかな職務を設計することで柔軟性を持たせています。現在の職務の洗い出しをする方法は、「職能資格制度」でも経験しましたが、「労多くして、使われること少なし」という実感です。以上、辛口となりましたが、再考をご提案します。
投稿日:2007/08/21 18:11 ID:QA-0009455
相談者より
投稿日:2007/08/21 18:11 ID:QA-0033783参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 宮田 洋行
- リアル・コンサルティング 代表
参考図書
・日本企業で職務給の導入に成功し、きちんと運用できているところはあまりないそうだ、とおっしゃいながらも導入準備を進められている背景
・課業毎の評価基準をどのように職務給(制度)の設計に反映させるのか
といった点が気になりますが、詳細が不明ですので参考図書の提示にとどめます。
「職務・役割主義の人事」長谷川直紀 著(日経文庫)
役割主義にウエイトが置かれていますが、従来の日本型の人基準に対する概念としての仕事基準の処遇の考え方がコンパクトにまとまっていると思います。
投稿日:2007/08/21 21:25 ID:QA-0009458
相談者より
投稿日:2007/08/21 21:25 ID:QA-0033784参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
純粋な職務給ですが、かつての米国企業のように職務が固定化しており、かつ職務内容やその評価基準が明確になっている場合に機能するものですので、職務内容等に関しまして流動性の高い日本企業の場合、一般的に適しているとはいえません。
日本で純粋な職務給が定着しないのは、大雑把に言えばそうした日本企業に見られる特徴によるものといえます。
しかしながら、御社の場合せっかく苦労されて既に職務の洗い出しを完了していますので、それを有効に生かす方向で考える方がよいでしょう。
そこで、注意すべき点を幾つか挙げますと、
・現場の実態と洗い出した課業内容及びその重要度に関し「ズレ」が無いか念入りに再確認を行う
・評価基準作成に当たっては、文献や他社事例を参考とするだけでなく、自社の職務内容の特殊性を踏まえた上で、基本的には実情に合った「オリジナルな基準」の作成を検討する
・必要以上に複雑な制度とならないよう、重要でない部分は思い切って簡素化する等、評価する側・される側が共に分かりやすくシンプルな評価制度を作成する
といったところです。
私としましては、特に3つ目の点が最も要注意と考えています。
つまり、職務給導入がいわゆる「制度の為の制度」となってしまい社内で充分使いこなせず円滑に機能しないということの失敗をされないよう、「使いやすさ・分かりやすさ」の視点を常に持ちながら制度構築される事をお勧めいたします。
投稿日:2007/08/21 23:45 ID:QA-0009459
相談者より
ご回答ありがとうございます。
職務内容を具体的に定義して、評価基準(着眼を示し明文化したもの)を作成している最中ですが、運用とメンテに非常にコストがかかると実感してきました。具体的で詳細な米国型職務給制度にするのでなく、ある程度の柔軟性と抽象性を含ませて実運用に耐える制度に方向づける必要があると考えています。
投稿日:2007/08/22 09:41 ID:QA-0033785大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
職務制度の特徴
■既にご回答者各位から的確なご意見が寄せられていますのが、特にご相談のケースに対してというのではなく、弊職自身の手許用まとめ資料から一般論としてコメントを差し上げます。
■何を評価の基準とするか、言い換えれば、<評価軸の種類>の切り口から戦後の人事制度の流れを見ますと、荒っぽく言えば、【経年基準】→【職能基準】→【職務基準】→【成果基準】→【行動基準】といった経緯をダッチロールしながら辿っているように思います。
■職務基準は、全社の職務(ジョブ)を、重要度・責任度・問題解決力などの観点から相対指数化し、賃金を決定する仕組みです。人種・性別差別訴訟の多い米国で生まれた仕組みですが、導入コスト、メンテナンスの難しさ、機動性の欠如などのデメリットも大きく、一部の大手製造業でしか導入されていません。
■その特性は次のようにワンポイント表現することができます。
①評価対象 →職務(仕事=ジョブ)の値打
②賃金支払原則 →同一職務・同一賃金
③属人的要素 →基本的に否定
④人件費の自然増 →なし
⑤処遇と貢献度の関係→常にマッチ
⑥デメリット
▼膨大な導入コスト
▼機動性の欠如
▼自己メンテナンスが困難
⑦メリット →人件費の自然増なし
投稿日:2007/08/22 10:16 ID:QA-0009462
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ある程度の機動性(過度に具体的ではなく緩さがある?)がある職務基準にするのが実運用の方向性だろうと考え始めています。何か示唆、アドバイスをいただけるとありがたく思います。
投稿日:2007/08/22 15:13 ID:QA-0033786大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
評価基準書作成上の留意点
以下、弊職が年一度のサイクルで客先に配布しています小冊子から抜粋、少し今回用に微修正しました。
■現時点では、職務制度の基礎工事の半分が完成した段階と思います。『半分』という意味は、設定した職務要素を実際の場(評価者が実際に評価を行なう局面)で活用できるよう『評価基準書』を策定する作業が必要だということです。
■評価基準書は、評価者の恣意性、評価者の交代に伴う評価基準のブレなどをなくし、客観性を高めるために不可欠です。更に、社員が自分に適用される考課項目の判定基準を共有認識することで、キ一ワ一ドの『透明性』や『公開性』が高まることになります。
■評価基準書には、全社共通のフォ一マットを使います。然し、その策定には職種別責任者(普通は部長や室長)に積極的に関わって貰うようにします。勿論、経営トップの承認があって決定となるわけですが、『幹部社員の巻き込み』によって、人事考課に責任の共有と自信を持ってもらうのが狙いです。私の経験では、トップの主導性があれば大変効果的です。
■評価基準書は、判定基準を『明確』に、『段階的』に、『簡潔』に(経験的には50語前後)作成することがポイントです。曖昧・アナログ的・ダラダラ表現では、評価が主観的になり、説明責任も果せません。一般的には、かなりくどく、ダラダラ表現のものも多く読んでいるだけで評価する意欲が殺がれる場合も少なくありません。社員の納得性を高めるには最低でも次の5つの要件をクリアする必要があります。
① 自分は何によって評価されるのか?
② 評価結果はどのように処遇に反映されるのか?
③ 反映手順は公正か?
④ 自分はルール通り処遇されているのか?
⑤ 納得できる説明は受けられるのか?
投稿日:2007/08/23 11:26 ID:QA-0009476
相談者より
ご丁寧に教えていただきありがとうございました。
投稿日:2007/08/23 13:51 ID:QA-0033790大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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