正社員登用制度の「周知」について
パートタイム労働法における正社員登用制度について、ご相談したく投稿させて頂きました。
【当社の正社員登用制度】
・所属長より推薦された該当者を本社人事部にて一次:書類選考し、合格者のみ正社員化を打診。
・合格者へ、二次:筆記、三次:面接を行い、最終合格者を正社員化。
(実績として、制度導入後、毎年10~20名程度を正社員化)
⇒パートタイム労働者本人からの自薦ではなく、所属長の推薦(他薦)にて運用しています。また、その推薦基準や登用基準についてはパートタイム労働者へは開示しておりません。
【ご相談の背景】
本年4月にパートタイム労働法が改正されたことを受け、改めて本法を確認していたところ、厚生労働省の「実効性のある正社員転換制度になっていないとする事例」として、以下の助言がされていることがわかりました。
・推薦基準を明らかにし、正社員転換制度をあらためて社内システムの掲示板に掲示して周知すること。
・正社員転換試験の受験希望者を募集し、その中から推薦対象者を選出する制度の運用に変更すること。
【ご相談内容】
公平性の確保や紛争のリスク等、別の部分で考慮しなければいけないことはあると思いますが、「パートタイム労働法」にて求めるところは、どこまででしょうか?
・正社員登用制度は自薦が必要か?(「所属長推薦(他薦)」では法の要求を満たせないか?)
・推薦基準は予め公開しなければいけないか?
当社においては、特に正社員登用制度についての質問が来たり、紛争が起こったりということは発生していません。変更するとなると諸々の対応が必要になりますので、現状の運用で法の要求を満たせるのであれば、特に変更しないでおきたいと考えています。
お知恵を拝借できると幸いです。
投稿日:2015/10/30 12:49 ID:QA-0064039
- 人事 太郎さん
- 東京都/鉄鋼・金属製品・非鉄金属(企業規模 10001人以上)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
改正パート法について
・制度が周知された上で、所属長推薦の方を対象とすることは問題ありませんが、制度を周知せずに、個別に推薦していくやり方であれば、問題あります。
・推薦基準は、公開しなくともかまいませんが、法改正により、パートさんから求めがあったときには、説明する義務がありますので、納得できるよう説明できるのであれば、問題はありません。
投稿日:2015/10/30 16:13 ID:QA-0064048
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
ポイントは、「均等機会の付与」であって「結果」ではない
▼ 正社員への転換措置の狙いは、「均等機会の付与」であって、「結果」ではありません。故に、前者を保証するためには、パート労働者全員に、「その募集内容を周知すること」、及び、「自主的に応募できること」を公知することが必要です。後者に就いては、適性判断のための試験制度を設けることができます。
▼ 依って、所属長の推薦制度(実質的事前選別)は駄目ということになります。希望する者には、全員、応募権利を付与しなければなりません。次に、実際の選別プロセスとなる試験、面接等に就いては、適性を判断することになる要素のみを公開しておくのが望ましいと考えます。
投稿日:2015/10/30 16:48 ID:QA-0064049
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
まず「正社員登用制度は自薦が必要か」に関しましては、必ずしも自薦を要するとまでは解されないと考えられます。厚生労働省による就業規則例を見ましても、正社員登用試験受験の要件としまして、「直属上司の推薦があること」が挙げられていますし、推薦と希望受付のいずれが先であっても結果としては同じ(推薦が無ければ受験出来ない)ですので、現実に全く推薦が行われていない等登用制度を否定するような運用になっていない限り、問題があるとはいえないでしょう。
これに対し、「判断基準」に関しましては、「措置の内容をパートタイム労働者に周知すること」が必要とされていますので、おおまかな基準項目(例えば、過去○年の評価が○○以上等)については予め公開すべきといえます。一方で「推薦基準」となりますとかなり細かくなりますし、「判断基準」と重複する事柄もあると考えられますので、毎年一定数の推薦実績がある場合には特に示されなくともよいといえるでしょう。
投稿日:2015/10/30 19:52 ID:QA-0064051
プロフェッショナルからの回答
正社員登用制度において、自薦・他薦を問わず予め推薦基準を作成し、公開周知する
今回の改正パートタイム労働法において、パートタイム労働者から正社員への転換制度を設ける場合は、転換要件を客観的なものとして、公平・公正な制度とする必要があると義務付けされています。
法の趣旨は、パートタイム労働者と正社員との格差をなくし、非正社員に均等に機会が付与されることを求めているものです。
現状で転換制度が導入されていても、運用面で、上司の育成能力や制度への理解度、あるいは社内での力関係等によって、制度へチャレンジの機会がなくなる可能性もありえます。
この観点より、透明・公平な転換制度として、まず一定の推薦基準(自薦・他薦を含め客観的に納得のいくもの)を作成し、確実な方法で均一に、全社員に公開周知することが必要だと思われます。
投稿日:2015/11/12 10:43 ID:QA-0064171
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