関係会社との合併による退職金移管について
今般、関係会社を吸収合併することになりました。
今回、関係会社の1名の退職金積立額が飛びぬけて高水準で、合併時その高水準の退職金を引き継いで、当社定年時に支払うことに躊躇します。
合併時に減額して退職金を引き継ぐことが可能かご教示願います。
なお以下申し添えます。
①親会社である当社は、職能資格制度で等級にもとづくポイント制で退職給付年金(DB)を主体としております。
②一方関係会社は、社長1名と社員3名の小さな会社で、退職金規程はありません。
③関係会社の就業規則において、「社員に支給する退職金に関しては、中小企業退職金共済及び養老生命保険で積立した金額を支払うものとする。但し会社に対する貢献度により調整がある」となっておりますが、算定基準が全くありません。勤続年数も自己都合・会社都合の概念もありません。
④関係会社社長の独断で勝手に適当にやってきたと見受けられます。社長に問いただしても的を得た回答がありません。
⑤高水準の社員は関係会社の経理担当であり、今回の合併に伴う退職金についてナーバスで、受け取りの権利を主張しています。
⑥高水準の退職金が欲しいなら、合併前日に関係会社を退職することを決意させることも対策としてありかと思いますが、本来支給する水準にふさわしい金額を算定して、当社退職時に退職金を支給したいと考えますがいかがでしょうか。
投稿日:2015/02/20 19:32 ID:QA-0061654
- あーさん
- 愛知県/機械(企業規模 1001~3000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
会社合併の場合ですと、従前の労働契約が当然に継承されますので、退職金制度に関しましても当該社員につきましては関係会社の就業規則上の制度が適用される事になります。
従いまして、当該社員に関しましては「中小企業退職金共済及び養老生命保険で積立した金額を支払うものとする。但し会社に対する貢献度により調整がある」の通り退職金支払いをされる事が求められます。この内容で仮に高額になる場合でも、相応の積み立てや貢献をされてきたという事であれば御社退職時に支払う義務がございます。勿論、積立金額が不足していたり貢献度が低い場合にその程度や評価に応じて支給額が減じられる事に関しましては差し支えございません。
投稿日:2015/02/23 11:29 ID:QA-0061665
相談者より
知識がありませんでした。先生のごし(土)に感謝いたします。
投稿日:2015/03/16 08:21 ID:QA-0061908大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
合併による退職金の減額については、原則として、本人との合意が必要ですが、
合理的な理由がある場合には、その限りではありません。
大曲市農協共同組合事件や秋北バス事件などが類似の重要判例となります。
今回の件であれば、
まずは、関係会社の退職金がいくらなのか算定できないと、
清算も引き継ぎもできません。
そのうえで会社の意向を決定し、本人と交渉することになります。
投稿日:2015/02/23 11:34 ID:QA-0061666
相談者より
ありがとうございました。関係会社と再度相談いたします。
投稿日:2015/03/16 08:22 ID:QA-0061909大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
合併前に精算完了が望ましいが、それを事由に本人を包括継承から除外することはできない
合併に際しては、 吸収、新設に関わらず、 合併する企業の権利義務は、 「 すべて一括して承継されます。 吸収合併側に、 承継後、 制度がなく、 継続運営が不可能な場合には、 対象となる労働者に、 不利益とならない形で、 個別に解決する必要があります。 ご説明の、 積立額が高額になるからとの理由で、 引き継がないことはできません。 従って、 合併前に、 現行の退職金制度で精算を行い、 合併後は、 吸収会社側の制度に加入する措置が現実的だと考えます。 尚、 この退職金問題を事由として、 本人を包括継承から除外することはできません。
投稿日:2015/02/23 13:05 ID:QA-0061671
相談者より
はっきりとしたご回答をいただき感謝いたします。先生の指導に沿って行っていきます。
投稿日:2015/03/16 08:23 ID:QA-0061910大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします。
退職金支給の義務は法律上ありませんが、就業規則にて「社員に支給する退職金に関しては、中小企業退職金共済及び養老生命保険で積立した金額を支払うものとする。但し会社に対する貢献度により調整がある」と定められているため、合併時まで積み立てていた金額を減額して引き継ぐことは、本人にとって不利益変更となってしまいます。
判例においても退職金や給与の不利益変更についての基準は厳しく、「賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである」必要があるとされています。(大曲市農協事件 判決・最三小判昭和63年2月16日)
合併前の会社の退職金制度を移行措置として引き継ぐ場合もあるかと思いますが、中小企業退職金共済の場合、合併後の会社が中小企業の範囲を超える場合には別途手続きが発生することもあるようですので、一度ご確認いただければと思います。
投稿日:2015/03/03 22:14 ID:QA-0061753
相談者より
ありがとうございました。
大変参考になりました。
投稿日:2015/03/29 15:51 ID:QA-0062030大変参考になった
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