定年退職後の再雇用時処遇について
いつも的確なアドバイスを参考にさせて頂いております。
当社には定年退職後に、65歳まで1年単位の契約社員として雇用を継続する再雇用制度があるのですが、これまで処遇は都度検討するとして、原則60歳時点の処遇×60%で設定しておりました(ただ実際は、社歴40年で定年退職後の再雇用適用者はまだ1名しかおりません)
今後、適用者が増加するため、処遇設定の見直しを行っているのですが、以下のような考え方は法的に問題がありますでしょうか?
(1)60歳時点での処遇は一切関係なく、再雇用者は一律処遇とする(例えば年収300万円、部長クラスの者では処遇が約70%ダウンします)。
(2)60歳時点での処遇は一切関係なく、個人の年間想定売上高×80%を処遇とする(個人事業主的な発想)。
上記のようなコースを設定して、該当者に選択させることを考えています。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2014/12/12 08:49 ID:QA-0061067
- okabaさん
- 大阪府/情報処理・ソフトウェア(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、定年再雇用時の労働条件に関しましては、定年前の労働条件内容を保障する義務まではございません。
しかしながら、現行の再雇用制度から文面いずれかの処遇内容へ変更されるとしますと、一種の労働条件の不利益変更に該当するものといえます。従いまして、変更の際は労使間で十分協議の上、極力労働者の個別同意を得た上で制度変更されるべきです。
加えまして、(2)の処遇の場合ですと、支給額が法定の最低賃金額を下回らないようにする事にも注意が必要です。また、定年再雇用はあくまで労働者としましての雇用契約締結であり、個人事業主扱いと称して例えば残業代を支払わないといった対応をされますと労働基準法違反となりますのでご注意下さい。
投稿日:2014/12/12 11:27 ID:QA-0061073
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ご回答の中での「個別同意を得る」について、確認をさせて頂きたいのですが、「該当者にコース選択をさせる=個別同意を得る」とは、ならないでしょうか?例えば、今回の(1)コース、(2)コース、もしくは定年退職を55歳時点で選択させることで同意の上での再雇用と考えることは、通用しないでしょうか?
投稿日:2014/12/14 10:43 ID:QA-0061085大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「 退職時賃金の一定率 」 を基本とする方式が妥当では・・
定年後の継続雇用制度における賃金・人事処遇制度に関する直接的な法規制はありません。 然し、規制がないからと言って、 何でもありという訳にはいきません。 継続雇用制度の趣旨から逸脱しないと看做されるものでなくてはなりません。
この点に配慮し、 厚労省は、 「 高年令者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針 」 において、7つの留意事項を告示しています。 その中で、 「 年齢より、 能力、 職務等の要素を重視 」、 「 生活の安定にも配慮 」、 「 勤務形態や退職時期の自由な選択 」 などが、 今回の御社の処遇設定の見直しのポイントになると思います。
( 1 ) の一律処遇が、 「 退職時賃金の一定率 」 ではなく、 文字通り、 「 全員一定額 」 という意味ならば、 法の趣旨にそぐわないものと考えます。 ( 2 ) の 「 個人の年間想定売上高 × 一定率 」 というのは、 完全な出来高払いの発想なので、 これは ( 1 ) 以上に、 法の趣旨に沿っていない方式だと考えます。 更に、 想定売上高の80%というのは、 会社の諸経費を考えれば、 それだけで、 赤字営業となる数値ではないでしょうか。
結論的には、 「 退職時賃金の一定率 」 を基本とし、 必要な要素を加減算して決定する方式が妥当だと思います。
投稿日:2014/12/12 12:10 ID:QA-0061074
相談者より
ご回答ありがとうございます。
当方の説明が少し不足していたのですが、(1)の場合の再雇用においては、60歳までの職歴は関係なく全員に同じ業務を担当してもらうことを考えており、その業務レベルに応じた処遇を定額で設定することを考えています。
再雇用時の業務内容が同じであっても、「退職時賃金の一定率」の方が妥当でしょうか?
投稿日:2014/12/14 10:51 ID:QA-0061086大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再雇用処遇について
60歳時点まで正社員だった人が、嘱託やパートなどに変更し、労働条件が変更することは、
高齢者法の観点からは問題ありません。
ただし、仕事の内容が変わらないのに、賃金だけ一律70%ダウンさせるというのでは、
不合理な労働条件の禁止(労働契約法20条)に違反してしまいます。
60以後であっても、賃金減額は一方的にはできずに、同意または合理的な理由が必要です。
投稿日:2014/12/12 15:51 ID:QA-0061077
相談者より
ご回答ありがとうございます。
再雇用時は職種変更を考えており、それに応じた処遇として一定額への変更と、該当者にコースを選択させることで「同意」との認識をしようとしています。この考え方自体が不適当でしょうか?
投稿日:2014/12/14 10:55 ID:QA-0061087大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして有難うございます。
「「該当者にコース選択をさせる=個別同意を得る」とは、ならないでしょうか?」
― コース選択をさせるとしましても、現行の「60歳時点の処遇×60%」といった条件より不利益になってしまいますので、こうした不利益変更自体への同意をもらったことにはなりません。
従いまして、先の回答の通り、この度の新制度内容の導入自体に関しまして労使間で協議の上極力労働者の個別同意を求められるべきといえます。
投稿日:2014/12/14 14:02 ID:QA-0061088
相談者より
再度のご回答をありがとうございます。
的外れな確認で申し訳ございませんでした。不利益変更となる制度施行に対する社員との同意ということで理解いたしました。制度設計含めて検討していきます。
ありがとうございました。
投稿日:2014/12/15 12:46 ID:QA-0061096大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「 退職時賃金の一定率 」 を基本とする方式が妥当では・・P2
追加のご説明、 了承しました。 退職後の業務が、 同一ということであれば、 同一労働・同一賃金の原則の観点から、 全員一定額という方式も合理性があります。 但し、 現実的には、 定年直前の賃金からの減額幅の個人差が余りにも大きい場合には、 暫定的な緩和措置を考えてあげることにも一考の余地ありといった処です。
投稿日:2014/12/15 11:04 ID:QA-0061091
相談者より
再度のご回答をありがとうございます。
確かに生活保障との意味合いから70%ダウンすることは問題ありとも考えます。ご意見ありがとうございました。参考にさせていただき検討を進めます。
投稿日:2014/12/15 18:37 ID:QA-0061102大変参考になった
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