一昼夜交代勤務の給与計算締め日について
一昼夜交代勤務の勤怠締め切りについての相談です。
弊社では現在、4週単位の変形労働時間制を導入しており、一昼夜交代勤務のシフトは以下の通りです。
勤務時間: 9時~翌日9時
所定労働時間: 16時間
休憩・仮眠時間: 休憩3時間、仮眠5時間(1:30~6:30)
給与計算期間(締め日): 毎月15日
現状の給与計算では、締め日である「15日の24時」で労働時間を区切り、16日の0時以降の労働時間は翌月の給与として計算しています。
この件について社内で確認したところ、「変形労働時間制を導入しているため、現在の勤怠計算方法で問題ない」との見解を持つ上司がおり、判断に迷っております。
しかしながら、厚生労働省の通達においては、「暦日をまたぐ継続勤務は、始業時刻の属する日の1勤務として取り扱う」とされていると理解しております。
この通達を踏まえますと、現在の「暦日で区切る」運用は不適切であり、以下のような問題が生じるのではないかと懸念しております。
労働時間の不適切な計算: 例えば、15日9時に開始した勤務が翌16日9時に終了する場合、この勤務全体が15日分の労働として計上されず、途中で分割されてしまうため、正確な労働時間管理ができていない可能性。
割増賃金の計算誤り: 15日9時開始の勤務で、翌16日9時以降に延長された残業も、本来は15日分の時間外労働として計算されるべきですが、現状の区切り方では翌月分の労働として扱われてしまい、割増賃金が正しく支払われないリスクがあると考えます。
つきましては、上記の認識で合っているか、また、現在の運用を是正するためにどのような対応が必要か、具体的な回答をお願いいたします。
投稿日:2025/06/28 15:34 ID:QA-0154683
- きむけんさん
- 東京都/運輸・倉庫・輸送(企業規模 1001~3000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
以下の通り、現在の勤怠締め切り運用には是正が望まれるポイントがございます。厚生労働省の通達や労働時間管理の原則に照らして、順を追ってご説明いたします。
1.結論:ご認識は正しく、現行の「暦日で区切る」勤怠締切方法は是正が必要です。
2.理由
(1)理由1:厚労省の通達に反する
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日基発339号)では、以下のように記載されています。
「深夜勤務等により労働が翌日に及ぶ場合でも、その始業時刻の属する日をもって労働日として取り扱うこと。」
つまり、
9時~翌日9時の勤務は、「始業日である9時の属する日(=15日)」の勤務として通算すべきです。
(2) 理由2:割増賃金・労働時間の計算の正確性を損なう
現在のように「15日24時」で締め切る運用では、以下のような誤った管理・計算が起きます:
15日9時~16日9時の勤務が、15日9時~24時の分だけしか15日分とされない
16日0時以降の労働時間は、16日分(翌月給与)として処理されてしまう
これにより、時間外労働や深夜労働、仮に法定労働時間を超過していた場合の割増賃金の計算が分断され、誤計算となる可能性が高い
3. 適切な対応策
(1)勤怠管理のルール見直し
始業日の属する日で1勤務として通算する運用に変更する
→ たとえば、「15日9時~16日9時の勤務」は全て15日の労働とする
(2) 勤怠システム設定の確認・修正
多くの勤怠管理システムでは、24時締めから「始業日基準」に切り替え可能です。
導入システムに応じて、勤務の通番やカレンダー表示などを調整する必要があります。
(3)就業規則・給与規定の見直し
給与締切日が15日であっても、「暦日ベースではなく、勤務単位ベースで締め切る」と補足する。
例:
「給与計算は毎月16日~翌月15日の勤務を対象とする。ただし、始業時刻が15日に属する継続勤務は15日分として取り扱う。」
4.実務上の留意点
労基署調査時に指摘対象となる可能性があります。
特に長時間労働や割増賃金未払が見受けられる企業では、勤怠集計基準も調査対象です。
現行運用が長期間続いている場合は、過去の給与差額支払いリスクもあるため、是正は早めが望ましいです。
5.補足:変形労働時間制の有無は影響しない
「変形労働時間制を採っているので、暦日区切りで問題ない」という主張については誤解です。
→ 変形労働時間制は、法定労働時間の週平均超過の可否を判断する仕組みであり、
1勤務の労働時間計算方法(始業日基準 vs 暦日基準)とは別問題です。
6.まとめ(要点)
項目→現在の運用→是正後の運用
労働日基準→暦日区切り(24時)→始業日の属する日
勤怠集計→勤務が分割される→勤務全体が1日に属する
法的適合性→通達に違反の可能性あり→適法な取り扱い
7.参考条文・通達
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」
(平成13年4月6日 基発第339号)
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/30 09:35 ID:QA-0154708
相談者より
回答ありがとうございます。
15日9時〜16日9時以降の残業についても、15日分の勤務として問題ありませんでしょうか?
投稿日:2025/06/30 12:44 ID:QA-0154718大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ご記載の通り、厚生労働省の通達では以下のように明示されています。
「継続勤務の取り扱いについては、始業時刻の属する日を基準として
1勤務単位として扱う」(昭和63年3月14日基発第150号等)
つまり、9時開始~翌9時終了の24時間勤務は、「始業時刻の属する日
(この場合15日)」の勤務として取り扱うことが原則です。
したがって、15日9時に始まり16日9時に終了する勤務は、全体を15日の
労働として計上し、給与計算上も15日分に含める必要がございます。
今後の対応については、以下をご参考になさってください。
↓ ↓ ↓
1. 会社規定の意直し(ブラッシュアップ)
・勤怠は始業日基準で1勤務を単位として集計するよう変更。
・勤務が2暦日にまたがっても、1日単位の勤務とするルールを明文化する。
2. 勤怠管理システムの調整
・勤怠システムが「暦日」単位で集計されている場合、システム設定の見直し
やカスタマイズが必要です。
3. 社内向けガイドラインの整備・共有
・昼夜勤務における勤怠計上ルールを文書化
・上司・人事・労務担当者との共通理解を得る。
投稿日:2025/06/30 10:22 ID:QA-0154711
相談者より
回答ありがとうございます。
16日9時以降の残業も15日の残業として給与計算するという認識で合っていますでしょうか?
投稿日:2025/06/30 13:15 ID:QA-0154719大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、ご認識の通りで15日24時で当日から継続している労働時間を分割して計算する事は認められません。上司の方には厚労省の通達を示され理解を求められた上で直ちに改善をされる必要がございます。
対応としましては、所定の勤務時間に合わせて16日9時までを15日分の労働時間として扱い、その上で毎月16日9時までの労働時間を集計され賃金計算されるとよいでしょう。
投稿日:2025/06/30 11:20 ID:QA-0154715
相談者より
回答ありがとうございました。
投稿日:2025/06/30 14:56 ID:QA-0154724大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
改めてのご質問
15日9時〜16日9時以降の残業についても、15日分の勤務として問題ありませんでしょうか?
にご回答申し上げます。
改めてのご質問いただきまして、ありがとうございます。
考え方等につきましては、ご説明申し上げました通りです。
改めてのご質問
15日9時〜16日9時以降の残業についても、15日分の勤務として問題ありませんでしょうか?
の問題があるか否かについての最終的判断は、所轄の労働基準監督署が行うことになります。よって、本質問につきましては、所轄の労働基準監督署の監督官にご質問されることをお勧め申し上げます。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/30 13:50 ID:QA-0154720
相談者より
回答ありがとうございました。
投稿日:2025/06/30 14:56 ID:QA-0154723大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
「暦日をまたぐ継続勤務は、始業時刻の属する日の1勤務として取り扱う」
とされているとのご認識のとおりです。
前日からの継続労働日として扱って下さい、
投稿日:2025/06/30 15:03 ID:QA-0154726
相談者より
回答ありがとうございました。
投稿日:2025/06/30 16:31 ID:QA-0154729大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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