熱中症対策の義務化について
	 新聞報道で、職場の熱中症対策が全企業で6月から義務化されたと知りました。厚生労働省のホームページから「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」という通知や、それに関連したパンフレット等を入手し、事業者に求められる措置等は把握できました。
  ところで、弊社は、地下街の運営管理等を担う会社であり、基本、修繕工事等は夜間に行うことが多く(もちろん夜間でも熱中症は発生する可能性がありますが)、熱中症を発症した事例は発生しておりません。即ち、通知にある『「暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業」とは、(上記の場所において、)継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業』の発生頻度は極めて低く、また、各種工事も専門業者に委託するのがほとんどであり、各専門業者自身も本義務化の対象であることから、例えば、WBGT測定器を購入して社員が工事現場に立ち会うときに持参させたり、会社として各社員に既存の熱中症予防のパンフレットを配布するなど、厚生労働省通知そのものの内容ではありませんが、一定の対応を取るようなことでは、法令違反の可能性は残ると考えるべきでしょうか。
  また、当社は小規模の会社であり、産業医は設置しておらず、特定の医療機関との連絡体制はないことから、通知本文にある「緊急搬送先の連絡先」や、「熱中症による健康障害発生時の対応計画」というひな型にある「医療機関」のあらかじめの記載が困難であるのですが、問題はないでしょうか。
  以上、細かい点も含み恐縮ですが、ご教示いただければ幸いです。
  よろしくお願い申し上げます。    
投稿日:2025/06/12 16:22 ID:QA-0153907
- akkunさん
 - 東京都/不動産(企業規模 11~30人)
 
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
                ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 次の通り、ご回答申し上げます。
 
 1. 御社の業態と熱中症対策義務の適用について
 改正内容の要点:
 2024年の法改正により、6月1日以降、「暑熱な場所での一定時間の作業」に対する熱中症対策が事業者に義務づけられました。この義務の中心は、次のような作業です:
 暑熱な場所(高温多湿な屋外や空調設備のない屋内など)
 連続して1時間以上、または1日4時間を超える作業
 
 御社への影響:
 御社は主に「地下街の運営管理」および「夜間工事の立ち会い」とのことですが、
 地下街は外気温の影響を受けにくく、空調設備も整っている場合が多い。
 工事の大部分を専門業者に委託しており、社員が行う作業は短時間の立ち会いや監督にとどまる。
 実際に熱中症の発生事例もない。
 このような状況であれば、社員が実施する作業が「継続して1時間以上」または「1日4時間を超える暑熱下作業」に該当するケースはほとんどなく、義務化の「本丸」となる対象ではないと考えられます。
 したがって、
 WBGT測定器の購入
 熱中症予防パンフレットの配布
 社員が工事立ち会い時に持参できる熱中症対策品の準備
 等の自主的な予防措置を講じていることは、むしろ望ましい取組であり、法令違反の懸念は基本的にないといえるでしょう。
 
 2. 医療機関との連携・対応計画について
 通知やパンフレットには「熱中症による健康障害発生時の対応計画」の例として、
 緊急搬送先の医療機関名・電話番号
 医療機関への事前連絡体制
 などの記載が求められています。
 
 御社のような小規模事業場の場合:
 産業医の選任義務がない(従業員50人未満)
 
 常時の高リスク作業がない
 発症の蓋然性が極めて低い
 こうした状況で、特定の医療機関と事前に文書連携を結ぶことまで求められているわけではありません。
 ただし、「いざというときに連絡できる救急病院」程度の最低限の備えはしておくべきです。
 
 3.実務対応の提案
 管理部門等で「夜間でも受入可能な近隣の救急病院」の情報を把握しておく。
 緊急時の対応責任者や通報フローを社内で共有しておく(マニュアル化)。
 これらを「対応計画」として簡素な文書にまとめておけば、通知の趣旨に十分沿った対応と評価される可能性が高いです。
 
 4.まとめ:御社の現状対応の評価と今後の留意点
 項目→評価
 熱中症リスクの所在→極めて限定的(法令の中心対象ではない)
 自主的対策(パンフ配布、WBGT携行)→実務的・望ましい対応。法令違反の懸念なし
 医療機関との連携体制→小規模事業者として柔軟対応可。救急病院等の情報備えで十分
 改正通知に対する対応姿勢→実情に即した誠実な対応。リスク管理として適切
 
 以上です。よろしくお願いいたします。                
投稿日:2025/06/13 09:36 ID:QA-0153918
相談者より
                 ご回答ありがとうございました。
 いただいた回答を大いに参考にさせていただいて、社内対応の案を作成し、社内で諮ってまいります。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。
                 
投稿日:2025/06/13 11:11 ID:QA-0153926大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
                ご利用頂き有難うございます。
 
 ご相談の件ですが、対象となる作業自体が発生しない職場であれば、対策を講じられる法的義務迄はございません。
 
 従いまして、後段の医療機関の指定が無くとも違法性はないですが、重要な事は熱中症に限らず業務中の災害等が発生した場合に迅速な対応が出来る事にあるものといえますので、義務化の対象有無に関わらずそのような緊急時の管理体制の整備をされておかれるべきといえます。                
投稿日:2025/06/13 09:42 ID:QA-0153919
相談者より
                 ご回答ありがとうございました。
 ご回答や法の趣旨を踏まえ、弊社の現状に即した対応策を考えてまいります。
 引き続きよろしくお願い申し上げます。                
投稿日:2025/06/13 11:14 ID:QA-0153927大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
                作業環境が本当に対象とならないものであれば、違反にならないでしょうが、文面にもある夜間や通常の気温などの条件が、どのような場合でも変わらないことが確実かどうかではないでしょうか。「普通なら大丈夫だが10年に一度の異常気象」の様な事象が、実際には「毎年起こる」ような大きな環境変動が増えました。
 
 コンプライアンス上「やらなくてOK」かどうかは、この確率次第だと思います。現実的にゼロなのか、絶対無いとは言い切れないのかなどで判断だと思います。
 
 また緊急連絡体制は消防や病院など、本当の緊急時に対応できる情報であることが重要です。「考えればわかる」ことができないのが非常時です。
 非常時を想定して、複数の連絡体制を取っておくなど、現実的に機能する準備まではしておく必要があるでしょう。                
投稿日:2025/06/13 10:16 ID:QA-0153921
相談者より
                ご回答ありがとうございました。
 いただいたご回答を参考にして、弊社として、改めて、何等かの対策を考えたいと存じます。                
投稿日:2025/06/13 14:33 ID:QA-0153939大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
                ご質問について、回答いたします。
 
 以下の現状であれば、熱中症対策の法的義務があるとまでは断定できません
 ので、対応していただくことが望ましいレベルであると思案いたします。
 ・地上ではなく、地下街の運営管理を行う会社である。
 ・修繕工事は、基本、夜間に行われる。
 ・熱中症を発症した事例はない。
 
 但し、以下の要件に該当していないか否かは、定期的なチェックと記録化は
 行っていただいた方が良いでしょう。
 WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるもの。
 
 また、記載内容を拝見する限り、貴社としても対応を行っていることが伺えます
 ので、法令違反を指摘される可能性は極めて薄いものと思案いたします。
 
 対応計画の医療機関につきましては、24時間診療が可能な、救急対応を行っている
 病院を事前に指定しておくのがよいかと存じます。                
投稿日:2025/06/13 10:41 ID:QA-0153923
相談者より
                 ご回答ありがとうございました。
 ご回答を参考にして、弊社として何等かの対応策を考えてみます。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。
 
                 
投稿日:2025/06/13 14:34 ID:QA-0153940大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
手掛かり
                以下、御参考になれば幸いです。
 
 (1)「職場における熱中症対策の強化について」(厚生労働省)を活用しつ
   つ、現場の実情に合わせて取り組んでいくことが有用であると考えられま
   す。
 chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf
 
 (2)具体的には、上記4ページ目を具体化させることが考えられます。
   1)「熱中症の自覚症状がある作業員」や「熱中症のおそれがある作業者を
    見つけた者」が、その旨を報告するための体制整備及び関係作業者への周
    知。
      ⇒7ページ目を活用することが考えられます。
       ※「すぐに周囲の人や現場管理者に申し出る」についての具体化。
       ※「手順や連絡体制の周知の一例」を手掛かりにした具体化。
       ※「熱中症の症状がある作業者を積極的に把握するように努めまし
        ょう」(4ページ目)についての検討。
   2)熱中症のおそれがある労働者を把握した場合に迅速かつ的確な判断が可
    能となるよう、「事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所 
    在地等」「作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送等熱中症による重篤化
    を防止するために必要な措置の実施手順の作成及び関係作業者への周
    知」。
      ⇒5ページ目と6ページ目にフロー図があります。これらを現場の実情 
       にあった内容にすることが考えられます。
      ⇒労働者以外についても対象にすることが求められています。(4ペー
       ジ目)
   3)対象となるのは、「WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時
    間以上又は4時間を超えて実施」が見込まれる作業。
      ⇒「WBGT測定器を購入して社員が工事現場に立ち会うときに持参させ
       たり」とのご意向は大変有益であると存じ上げます。                
投稿日:2025/06/13 10:59 ID:QA-0153925
相談者より
                 ご回答ありがとうございました。
 いただいたご回答も参考にして、弊社としての対応策を考えてみます。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。
                 
投稿日:2025/06/13 14:35 ID:QA-0153941大変参考になった
    回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
    回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
    ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
    
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