視察研修中の事故に労災保険は適用されるか
この度、会社で「視察研修」として大阪万博に行く予定でおります。
次のような条件の下で計画を立てておりますが、研修中に起きた事故について、労災保険が適用されるかどうかご教示ください。
また、以下の条件だと労災保険が適用されない場合、どこを修正すれば良いかについても併せてご教示ください。
①1泊2日で、2日間とも平日に実施。(会社の休日は土日)
②研修中の課題として、自分の業務(デザイン、設計等)に影響があると感じたものの写真を提出する。
③1日目の午後に万博内を視察(午前中は移動)。2日目は夕方まで自由行動(夜に移動)。
④視察研修の参加は任意とする。なお、研修の2日間は出勤扱いとするが、終業時刻以降の残業代請求は認めない。
⑤研修不参加者は、会社に残って通常の業務を行う。不参加であってもペナルティ(欠勤扱い、人事評価等)は無い。
⑥交通費や宿泊費(朝食代、夕食代含む)、万博入場料は会社負担。昼食代やお土産代等は本人負担。
以上、何卒宜しくお願い致します。
投稿日:2025/05/07 09:43 ID:QA-0151811
- いちにいさん
- 宮城県/その他業種(企業規模 1~5人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
(現在の条件での労災適用の可否)
労災保険が「必ず適用される」とまでは言えません。むしろ、現在の条件のままでは“私的旅行”に近いと判断され、自由行動中の事故は労災対象外、全体としても適用に疑義が生じる可能性が高いと思います。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
【労災保険の適用可否】について
労災保険が適用されるかどうかの判断基準は、主に以下の2点です:
労働災害(業務災害)と認められるには
(1)業務遂行性:会社の指揮命令下にあったか
(2)業務起因性:事故が業務に関連して発生したか
1.ご提示の条件での評価
条件→解説→労災との関係
(1)平日に実施(会社の勤務日)→出勤扱いのため業務日→業務遂行性あり
(2)課題提出あり(写真収集)→業務目的が明確→業務起因性あり
(3)万博視察は午後のみ/2日目は自由行動→研修時間と私的時間が混在→自由行動中の事故は原則労災対象外
(4)任意参加/不参加者にペナルティなし→指揮命令が緩く、実質的に私的旅行に近い評価を受ける可能性あり→業務遂行性が疑われるリスク大
(5) 会社負担あり(交通費・宿泊費等)→費用負担は業務性の一要素だが、決定打ではない→△中立的
(6)出勤扱い/残業代は出さない→出勤扱いは良いが、残業代不支給は別途問題になり得る→△(労災との直接関連は薄い)
2.結論(現在の条件での労災適用の可否)
労災保険が「必ず適用される」とまでは言えません。むしろ、現在の条件のままでは“私的旅行”に近いと判断され、自由行動中の事故は労災対象外、全体としても適用に疑義が生じる可能性が高いと思います。
3.労災適用を確実にするための修正案
以下の点を修正・明確化することで、労災の適用可能性を高められます:
修正点→内容→効果
(1) 参加を義務化する→任意参加ではなく「業務命令による研修出張」と明示→業務遂行性を確保
(2)自由行動を削減/時間帯を限定→研修時間中は全て業務行動(指示行動)とする→業務起因性を確保
(3)スケジュールを詳細に作成・配布→「○時~○時:視察」「○時~○時:課題作成」など具体化→業務と私的活動の線引きが明確に
(4) 研修報告書の提出義務を設ける→「研修=業務である」ことの形式的証拠に→労基署でも評価されやすい
(5) 出張命令書や社内通達を整備→明示的に「視察出張」として発令→就業規則上の「業務命令」に該当させる
4,補足:労災認定が分かれる典型的ケース
「任意参加」「自由行動が多い」「慰安的要素が強い」場合は、私的旅行と同様に扱われて不支給になる事例が多いです。
逆に、「業務命令としての参加」「日程・行動が会社により指示されている」ケースでは、視察研修中の事故も労災として認定されやすいです。
5.まとめ
状況 労災保険の適用
現在の条件のまま 適用が不安定。自由行動中の事故は対象外
修正後(業務命令・行程統一) 労災としての適用が期待できる
以上です。よろしく、お願いいたします。
投稿日:2025/05/07 11:05 ID:QA-0151824
相談者より
丁寧にご教示いただき、ありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2025/05/07 13:57 ID:QA-0151845大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
まず、労災認定がなされるためには,災害が「業務上」生じた ものでなければなら
ず,具体的には災害につき 「業務遂行性」と「業務起因性」の双方を有することが
必要となります。
その上で、ご質問者様に記載いただいた内容からは、
「業務遂行性」と「業務起因性」の要素が弱く、
労災認定が下りない可能性も一定あるものの思案いたします。
一方、以下の点が修正されれば、労災認定が下る可能性は極めて高いと
思案いたします。
丸3について、業務に関連する課題を課す
丸4について、参加者は会社より指示する&視察時間帯を指定する
上記の観点は、労災の対象と言い難い私的な社員旅行としての
側面を払拭する為です。
なお、労災認定においては、個別案件審査となります為、100%労災認定が下る
と言い切れるものではございませんので、その点はご了承ください。
投稿日:2025/05/07 13:12 ID:QA-0151838
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/07 13:57 ID:QA-0151846大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、研修参加が任意であれば通常業務扱いとはされません。
しかしながら、当事案の場合ですと、研修時間については出勤扱いとされておりかつ実際に参加者には課題提出を義務付けられていますので、そうであれば当該時間内での事故であれば、労災適用される可能性が高いものといえるでしょう。一方、自由行動等の時間については、通常対象外になるものと考えられます。
投稿日:2025/05/07 22:58 ID:QA-0151905
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/08 09:13 ID:QA-0151924大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
研修参加が任意、というのがポイントになります。
任意とは言いながらも、研修時間は出勤扱いとされ、かつ課題が与えられ、提出も義務付けられているということであれば、業務遂行性、業務起因性が認められる可能性は高く、当該時間内に事故が発生した場合、労災事故と看做される可能性はあります。
ただし、自由行動での事故については、業務起因性、業務遂行性は認められず、労災案件とはなりません。
投稿日:2025/05/08 10:04 ID:QA-0151927
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/08 10:55 ID:QA-0151937大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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