改正労働契約法について
当社(建設業)では改正労働契約法の対応について以下の点に懸念がありますので、
各問題点についてご教示ください。
①大工を毎年契約社員として採用しており、基本的には7年で独立退職をしてもらうカリキュラムを
会社は組んでおり、独立退職者には退職金を支給しています。(独立退職者の退職金については
内規で運用しております)
この場合、反復更新については7年を限度とする旨、契約社員についてきちんと説明していれば、
無期労働契約への転換を会社は拒むことができるのでしょうか?また、独立以外の理由での退職
(自己都合退職)でも退職金を支給しなくてはならないでしょうか?
②上記契約社員が無期労働契約への転換を申し出て、会社が受け入れた場合、給料等の待遇については
直近の有期契約時での待遇をそのまま定年まで据え置くことは可能でしょうか?
③契約期間が5年を超えて、6年目の契約をする際に、双方が合意していれば、7年目の独立退職を
前提とした雇用契約を交わすことは可能でしょうか?
以上の点につきましてアドバイスのほどよろしくお願いいたします。
投稿日:2012/12/08 17:31 ID:QA-0052447
- *****さん
- 東京都/建設・設備・プラント(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御質問内容に各々回答させて頂きますと‥
①:行政解釈では、法律の主旨からも無期契約転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることはできないとされています。文面のケースも同様ですのでこうした労働者の法的権利を侵害するような合意は無効になり認められないものといえるでしょう。
また退職金支給の件につきましては、改正労働契約法とは直接関係ございませんので御社の規定次第ということになります。特に条件規定もなければ支給義務はございません。但し、場合によって恩恵的に支給される退職金ではなく会社として退職金制度を正式に設けて運用する場合には就業規則の必要記載事項となり、内規だけで無く就業規則に定めておかなければなりませんのでご注意下さい。
②:無期転換後の労働条件につきましては直近の有期契約における待遇で差し支えございません。その後の昇給の有無等につきましては、あらかじめ就業規則や雇用契約上で定めておかれることが必要です。ちなみに、無期転換と引き換えにそれまで行われていた昇給制度を適用しないといったような措置は、労働条件の不利益変更となり出来ません。
③:①で触れました通りあらかじめ無期契約の権利を放棄させるような契約を結ぶ事は出来ません。労働者から無期転換の希望があればやはり応じる事が必要です。
投稿日:2012/12/09 00:05 ID:QA-0052448
相談者より
ご回答ありがとうございます。
①については、反復更新を期待させる運用を会社がしていれば、無期転換を拒否できないというのはわかるのですが、7年で契約終了することが前提で大工も入社しているので、法的権利を侵害するまではいかないと思うのですがいかがでしょうか。
②については無期転換と引き換えに昇給しないという趣旨ではなく、あくまで7年で契約終了というプログラムで運用しているので、給料としては7年目で頭打ちになるという意味です。
③についてもあくまで無期契約を放棄させるわけではなくお互いの合意があってもその契約は無効になるのでしょうか。
投稿日:2012/12/10 02:49 ID:QA-0052452参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
無期労働契約とする義務には、「労働者の申込み」 が要件、シッカリ契約を。
ご質問 ① ⇒ 有期雇用で認められる契約期間は、原則、3年以内、特例の場合、5年以内となっています。 有期契約で7年に達するには、最低でも2回の更改が必要です。 5年を超えて反復更新された場合に、無期労働契約とする義務は、 「 労働者の申込み 」 が要件になります。 最終更改時に、 「 契約の更改なし 」 と明記としておけば 、雇用継続に関し、合理的期待が持たれることはありませんから、満了時に自然解約となります。 退職金の話は、御社の定めに従って処理して下さい。 但し、退職金として支払うには、就業規則に定めることが必要です。 課税問題も絡んでくる可能性があります。 ご質問 ② ⇒ 厚労省は、「 有期契約労働者の労働条件が、無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとする 」 としています。 他方では、 無期契約への転換に際して、 「 別段の定めがない限り、従前と同一の労働条件 」 を認めています。 従って、無期契約へ変更後、 直ちに違法と看做されないでしょうが、 「 同一労働・同一賃金 」 の観点からの検討が必要でしょう。 勿論、「 有期契約時での待遇をそのまま定年まで据え置く 」 などは問題外です。 ご質問 ③ ⇒ 契約更改時に、 「 契約の更改なし 」 と明記しておけば、雇用継続の合理的期待は持たれることもなく、申込みもなく円満に、雇用契約を終了させることができるでしょう。
投稿日:2012/12/09 11:53 ID:QA-0052449
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2012/12/10 02:50 ID:QA-0052453参考になった
プロフェッショナルからの回答
改正労働契約法について
①について
ご質問の件は、「雇止め法理」に基づいて、個別に判断することになります。
労働者にあらかじめ無期転換申込権を放棄させるということはできませんが、ご質問の内容は、そういうことではなく、契約期間の上限を設け、7年が最終であるということですから、これは特に禁止されていません。
カリキュラムに乗っ取っており、今までもそうしてきたのですから、あらかじめ更新の期待感をもつこともないでしょうし、他の社員もそうしてきたわけですから、合理的理由が否定されるわけではないと思われます。
ポイントとしては、6年目の契約前に独立希望かどうか選別し、独立希望者にはラスト2年契約でこれをもって最終とする旨の合意ある契約としておくことでしょう。
退職金については、会社の任意ですから、規定に支給するものとしないものを明記し、契約書にもその旨うたっていてば問題はありません。
②について
直近の待遇が原則となります。定年までそのままいくかどうかは、職務内容が定年まで同じであれば、待遇も同じとなりえます。就業規則等に別段の定めがあれば、それに基づき、待遇は変更可能です。
③について
可能です。
(①参照)
投稿日:2012/12/09 14:08 ID:QA-0052450
相談者より
ご回答ありがとうございました。
反復を期待させる運用をしていなければ、無条件に無期転換を受け入れるということではないということがわかりました。
投稿日:2012/12/10 02:52 ID:QA-0052454大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
再度御質問の件ですが、
① 労働契約法の条文では反復更新し5年を経過した場合の無期契約義務のみが定められています。当初から7年で終了と合意があるとしましても、当初から転換の権利を放棄させることには変わりませんし、7年後の申し入れを今の時点で意思決定させるのも問題といえます。従いまして、法違反の可能性が高いと考えます。
② 当初からそういった契約内容で合意していれば、無期契約の定めとは関係しませんし、単にそのような労働条件で同意の上入社しているということですので特に問題ございません。
③ ①と同様で、合意により放棄させたと考える事が出来ます。また別の観点から考えますと、一般的にも合意した労働契約内容よりも法律上の権利の方が優先します。
従いまして、当人の希望申出が無ければ会社側から敢えて転換する必要はないですが、申出があった時点では転換させる事が必要と考えます。
以上ですが、現実には7年で独立を希望される方が大多数といえますし、実務上は無期契約への転換問題が起きる可能性は非常に低いでしょう。また上記は現時点での私見に過ぎませんので、異論がある事は承知しておりその辺は貴殿でご判断頂ければ幸いです。今後法施行前に通達等が出て御質問の件につきまして明確な公的判断が示された場合には当然ながらその判断に従うことになります。
投稿日:2012/12/10 09:58 ID:QA-0052456
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2012/12/18 18:59 ID:QA-0052563大変参考になった
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