被保険者資格喪失の海外出向者のデメリット

海外勤務者の社会保険の取り扱い

■ 海外出向でも、「出向元の国内企業から給与が全く支払われていない場合」には、出向元との雇用契約は継続していないと看做される恐れがあります。出向元との雇用契約が終了されていれば、日本での被保険者資格は喪失します。この場合、労災保険の特別加入もできませんので注意が必要です。
■ 被保険者資格を喪失した場合の、一般的な措置を列挙しますが、個別のケースでは、出向元との雇用関係の継続の立証の有無、出向先の健康保険制度の内容、出向先国との社会保障協定の有無により、状況が異なってくることをご了承下さい。
① 健康保険　⇒　出向先の健保に加入しますが、手続き中の無保険期間を回避するために、被保険者資格喪失の日から２０日以内に、任意継続の手続きを行います。国民健康保険への加入も選択肢ですが、住民票を除票（日本における非居住者）してしまうと加入できません
② 厚生年金　⇒　国民年金に任意加入することになります。但し、日本国籍を有する２０歳以上６５歳未満の者であること、日本国内で保険料の納付が可能なことの条件が付きます。社会保障協定が成立している場合には、出向先国の年金制度に、切れ目なく加入します。
③ 雇用保険金　⇒　原則的に継続することはできません。
④ 労災保険　⇒　原則的に海外勤務時は対象外ですが、在籍出向で出向元から給与が支払われている場合に限り、海外派遣者特別加入制度を利用することができます。

投稿日：2010/03/24 10:05　ID：QA-0019835

海外勤務者の社会保険の取り扱い　P2

■ 給与を含め、受益者が費用の負担者になるのが原則ですから、労務提供の直接的受益者ではない出向元が全額負担すれば、当然損金処理は否認されることになります。
■ 海外出向先子会社の状況および出向元との関係は、千差万別ですので一概に言えませんが、社会保障協定が未成立の相手国への出向の場合の厚生年金加入への中断回避や、健康保険制度の未整備国での傷病時の費用負担など、海外出向に伴う幅広い諸問題を整備、規程化することが重要です。
■ ご引用の、給与差額補填も、海外給与の方が高く、多くの場合解決策にならないと思います。何よりも、出向元である日本のご本社との雇用関係の継続がなければ、打つ手は限られてきます。まず、この点をご検討下さい。

投稿日：2010/03/24 13:17　ID：QA-0019845

相談者より

投稿日：2010/03/24 13:17　ID：QA-0037748大変参考になった