定年延長による60歳以降の賃金について
この度、定年を60歳から65歳に延長する予定です。
従来は、継続雇用制度で60歳到達時賃金の7割で契約しておりました。
そこで質問です。
① 定年を延長した場合でも継続雇用時と同様の7割で問題はないか?
公務員が7割という制度ですので大丈夫であると考えるのですが、同一労働同一賃金からすると問題ありと思うのですが・・・
② 現在、継続雇用として契約している60歳以降の社員の取扱いをどのようにするか悩んでいます。
例えば、次の契約時に定年65歳までとする無期契約を締結するのが良いのでしょうか? それとも同様に1年契約でも良いのでしょうか?
③ 退職金ですが、60歳時に支払うことも可能でしょうか?
定年を65歳に引き上げることで退職金が増額するのですが、一般的にどのように扱うのが良いでしょうか?
色々悩んでいます。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/25 16:16 ID:QA-0162522
- 朝潮橋さん
- 大阪府/HRビジネス(企業規模 1~5人)
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本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
定年延長時の賃金設定について、仕事内容や責任の範囲が60歳以前と同じ場合、
賃金の一律削減は同一労働同一賃金の原則に抵触する恐れがあります。
つまり、仕事の内容や責任の変化程度次第の問題です。
その辺りを明確に規定することがトラブルを未然に防ぐ上では重要です。
現在の継続雇用者の扱いについて、無期契約へ切り替えるのが望ましいと考え
ますが、有期契約を維持する場合は、職務内容の差異を設けて処遇の妥当性を
説明可能にする必要があると言えるでしょう。
就業規則に打ち切り支給の旨を明記することで60歳での清算は可能です。
65歳で合算して支払う場合は、計算基礎を60歳時の賃金で固定するなどの設計
が一般的かと存じます。
投稿日:2025/12/25 16:35 ID:QA-0162526
相談者より
ご回答有難うございました。
「賃金の一律削減は同一労働同一賃金の原則に抵触する恐れがある」ということを認識して対応していきます。
投稿日:2025/12/26 13:00 ID:QA-0162557大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
定年65歳への延長に伴う実務上の整理について
1.定年延長後の賃金を「7割」とすることの可否
定年を60歳から65歳へ延長した場合、60歳以降は「定年前と同一の雇用身分」となる点が、継続雇用制度との大きな違いです。
そのため、単に「定年後再雇用と同じ7割」とすることは、形式的には可能ですが、実務上は慎重な設計が必要です。
同一労働同一賃金(パート・有期法/均等待遇・均衡待遇)の観点では、
職務内容
責任の程度
配置転換の範囲
が60歳前後で実質的に変わらない場合、大幅な賃金引下げには合理的説明が求められます。
公務員の制度(7割水準)は参考にはなりますが、民間企業では直接の正当化根拠にはなりません。
そのため実務的には、
役割・責任を明確に軽減する
等級・職務区分を変更する
成果・貢献度に応じた賃金体系へ移行する
など、賃金減額の合理性を制度として説明できる設計が望まれます。
2.現在の継続雇用者(60歳以上)の取扱い
すでに継続雇用として契約している社員については、一律に無期契約へ切替える義務はありません。
実務上の選択肢は次の2つです。
(1)65歳までの無期契約へ切替
処遇の安定性が高い
人材定着・モチベーション向上につながる
定年延長の趣旨と整合的
→ 管理・評価制度が整っている企業向き
(2)従来どおり1年更新の有期契約を継続
柔軟な人員管理が可能
業務量・能力に応じた更新判断ができる
→ 現場負担は少ないが、更新基準の明確化が必須
いずれの場合も、
契約更新基準
雇止めの可能性
を書面で明示しておくことが重要です。
(3)退職金を60歳時点で支払うことの可否
定年を65歳に延長した場合でも、退職金を60歳で一度支払うことは可能です。
この場合、60歳を「退職金支給基準年齢」と位置づけ、65歳までの勤務は「退職金不算入期間」とする設計になります。
実務上よくあるパターンは、
60歳で退職金を一旦精算
65歳までの勤務分は退職金の算定対象外
代替として月例賃金・一時金で調整
という方式です。
一方、65歳まで退職金算定を延ばす場合は、
企業負担が増大
高年齢期の評価・役割との不整合
が生じやすいため、制度全体の再設計が必要になります。
3.まとめ
(1)賃金7割は可能だが、職務・責任の整理が不可欠
(2)既存継続雇用者は、有期・無期いずれも可(基準明確化が重要)
(3)退職金は60歳支給も可能。多くの企業はここで区切る設計
定年延長は「年齢の引上げ」だけでなく、賃金・評価・退職金を含むトータル制度設計として整理することが、後日の紛争防止につながります。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/25 16:55 ID:QA-0162533
相談者より
ご回答有難うございます。
「公務員の制度(7割水準)は参考にはなりますが、民間企業では直接の正当化根拠にはなりません。」
という回答を認識して改めて検討を進めていきます。
投稿日:2025/12/26 13:02 ID:QA-0162558大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
その他の事情
以下、回答いたします。
(1)パートターム・有期雇用労働法では、「通常の労働者の待遇」との間における不合理な相違が禁止されており、その際の考慮事項として、「職務の内容」、「職務の内容及び配置の変更の範囲」のほか、「その他の事情」があげられています。
60歳到達時点での賃金の引下げについては、従来は「定年。継続雇用制度の適用」という「その他の事情」があったものと認識されます。今後については、「定年ではないにもかかわらず」、なぜ、賃金体系を異なるものにするのか、その合理的な理由を明確にする必要があろうかと思われます。また、その際には、それぞれの基本給の目的や性質に照らし合わせて考える必要があるものと認識されます。
(2)「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)」(厚生労働省)において、「1年ごとに雇用契約を更新する形態」は否定されていませんが、「65歳までは、原則として契約が更新されることが必要である」とされています。
その上で、「客観的に合理的な理由がある場合等は契約を更新しないことは認められる」とし、具体的には、「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合を指します。なお、契約を更新しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意が必要です」としています。
(3)「退職金」は任意の制度であり、合理的な理由のもとで、名称を変更し60歳時に支払うことは可能であると考えられます。その一方で、定年の引き上げに合わせて、退職金の支給時期について選択肢(60歳時若しくは65歳時)を提供する(支給額は実質的に同額)ことも考えられます。
投稿日:2025/12/26 07:27 ID:QA-0162540
相談者より
回答有難うございます。
退職金の支給時期について選択肢(60歳時若しくは65歳時)を導入する方向で進めます。
投稿日:2025/12/26 13:04 ID:QA-0162559大変参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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