解雇通知書の解雇理由
いつもお世話になっております。
従業員を即時解雇することとなりました。
解雇通知書に記載する解雇理由ですが、ネットのひな型を見ると、「就業規則○○条△項□号による」などと書かれています。
しかし弊社は社員数10名に満たないので、就業規則はありません。
このような場合の解雇理由は、解雇することとなった事案そのものを簡潔かつ明瞭に記載すれば足りるのでしょうか。
なお、解雇に至った理由は、他の社員へ人権侵害行為を行ったためです。
就業規則はなく、普通解雇しかできないと言われているので、普通解雇を行います。
投稿日:2025/12/01 18:37 ID:QA-0161355
- ritoさん
- 東京都/その他業種(企業規模 1~5人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
就業規則がない場合でも、解雇通知書には「解雇理由(事実)」を簡潔・具体的に記載すれば足ります。
ただし、後の紛争予防のため、客観的事実に基づく理由を明確に記載することが重要です。
2.法的根拠と実務ポイント
(1) 就業規則がない小規模企業でも、解雇理由の提示は義務
労基法20条は「解雇予告」について規定しており、労働者が請求した場合は解雇理由証明書を交付する義務があります。
また、判例(最判昭和50年7月31日等)は、解雇理由は客観的合理性・社会的相当性が必要としています。
→ 就業規則がなくても、事実に基づく合理的理由を通知書に明記することが適法性を支えることになります。
(2) 就業規則条文がない=解雇理由に「条文番号」を書く必要なし
ネット上のひな型のように
「就業規則第○条△項に基づく」
といった表記は、就業規則がある企業向けです。
就業規則がない場合は、**「貴殿の行為(事実)により、雇用関係継続が困難と判断したため普通解雇とする」**という事実記載で問題ありません。
3. 解雇理由の書き方 ― 重要ポイント
抽象表現は避ける
×「勤務態度不良」
×「人権侵害行為」だけでは不十分
具体的行為・日時・被害を記載する(必要な範囲で)
◎「2025年11月15日、同僚Aに対し人格を否定する暴言を複数回行い、当日および翌日にB・Cが目撃した」
◎「会社の指導後も同様の言動を繰り返し、職場秩序を著しく乱した」
会社が解雇以外の措置では対応できない状況であった旨を示す
◎「注意指導後も改善が見られず、就労継続は困難と判断」
これらが、後の労基署・ハローワーク・労働局あっせん・民事訴訟のいずれでも会社側の正当性を支える要素になります。
4.解雇理由記載例(普通解雇:就業規則なし)
※解雇通知書で使える文章例を示します。
解雇理由
貴殿は2025年11月15日、同僚Aに対し人格を否定する暴言を複数回発し、これをB・Cが目撃しており、人権を侵害する行為として職場の秩序を著しく乱しました。会社の注意・指導にもかかわらず改善が見られず、当社として雇用関係の継続は困難であると判断しました。
以上の事由により、当社は貴殿を普通解雇とします。
※書き過ぎる必要はありませんが、後から説明できる程度に事実を簡潔に記載することが重要です。
・即時解雇を行う場合の必須留意点(重要)
解雇予告手当(30日分)を支払うか、労基署の解雇予告除外認定が必要
→ 人権侵害行為は認定が通る可能性がありますが、時間がかかるため
→ 原則は解雇予告手当で即日解雇が安全。
懲戒解雇は不可(就業規則がないため)
→ ご認識のとおり、普通解雇となる。
ハローワークの離職票の離職理由
→「重大な労働者の責に帰すべき事情による退職(33)」が妥当。
(暴言・ハラスメント等の度合いにより調整)
5.まとめ
就業規則がなくても、解雇理由は事実を具体的に記載すれば足りる。
「就業規則条文」は不要。
客観的な事実・改善指導の有無・職場秩序への影響を簡潔明瞭に記載する。
即時解雇の場合は、解雇予告手当の支払を忘れない。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/01 19:41 ID:QA-0161360
相談者より
具体的な記載例まで挙げてくださり、ありがとうございました。
投稿日:2025/12/02 23:40 ID:QA-0161475大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、就業規則がなくとも労働契約書や労働条件明示書等で退職に関する事項に解雇事由が定められているはずです。
仮に何処にも記載されていないという事でしたら、労働基準法における労働条件の明示義務違反の措置となります。そのような場合は、示されたような記載対応をされる他無いですが、これを機会に今後は解雇事由も含め法令に沿った形での書面作成をされる事が必要不可欠といえます。
投稿日:2025/12/01 21:04 ID:QA-0161371
相談者より
大事なご指摘をありがとうございます。幸い、労働契約書に該当項目がありました。
投稿日:2025/12/02 23:41 ID:QA-0161476大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
就業規則がないという状況ですので、
第〇条によりとは記載できませんので、
解雇理由は、具体的に記載する必要があります。
他の社員へ人権侵害行為を行ったためだけですと、
具体的な行為がわかりません。
本人が納得していれば、問題はありませんが、
特に即日解雇ということですので、客観的合理性、社会通念上の合理性が
求められます。
内容によっては、注意、指導を繰り返したのかなども問われます。
また、即日解雇ということですので、解雇予告手当として、30日分の平均賃金の支払いが必要です。
その旨を記載するとともに、解雇予告手当として、いくらいつ支払うかも記載してください。
投稿日:2025/12/01 22:28 ID:QA-0161375
相談者より
大事なご指摘をありがとうございます。ご指摘の点にも留意いたします。
投稿日:2025/12/02 23:41 ID:QA-0161477大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労働基準法
以下、回答いたします。
「解雇の事由」は労働要件通知書の記載事項に含まれています。これに基づいて解雇理由を通知することになると認識されます。
【労働基準法】
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
【労働基準法施行規則】
第五条 使用者が法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。ただし、第一号の二に掲げる事項については期間の定めのある労働契約(以下この条において「有期労働契約」という。)であつて当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限り、第四号の二から第十一号までに掲げる事項については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。
四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
投稿日:2025/12/02 05:25 ID:QA-0161377
相談者より
根拠までお示しいただきありがとうございました。
投稿日:2025/12/02 23:41 ID:QA-0161478大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ご質問の件、こうでなければならないというルールがあるものではありませんが、
今後、不当解雇として訴訟や労働審判を起こされる可能性もございます。
その為、行為が、労働契約上の義務違反や信頼関係の破綻など、解雇という
極めて重い処分を下すに足る理由を記載して作成することが望ましいです。
以下はご質問者様のご見解通りです。
|解雇理由は、解雇することとなった事案そのものを簡潔かつ明瞭に記載すれば
|足りるのでしょうか。
就業規則の条文に代え、参考として以下のような記載がよろしいかと存じます。
↓ ↓
<例>
〇年〇月〇日に、同僚である△△氏に対し、人権侵害にあたる〇〇行為を
行ったため。
投稿日:2025/12/02 07:37 ID:QA-0161379
相談者より
分かりやすいご回答をありがとうございました。
投稿日:2025/12/02 23:43 ID:QA-0161479大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
解雇事由は必須ですので、具体的に記載して下さい。
解雇通知に至る前に、既に本人に説明、本人納得済みと思いますので、通達は形式的なものではありますが、内容は条文が無い以上、具体的記述になるでしょう。
投稿日:2025/12/02 10:35 ID:QA-0161392
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/12/02 23:40 ID:QA-0161474大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
正社員の解雇について 営業系正社員を解雇できる要件を教... [2005/06/22]
-
解雇通知書の件 今回1ヶ月の試用期間として採用し... [2005/06/21]
-
解雇予告通知書と解雇理由証明書 30日以上の期間をもって解雇予告... [2012/12/21]
-
解雇の時の、社内の人事発令について 今月中に、解雇となる社員がいた場... [2018/08/16]
-
退職勧奨と解雇の違い 解雇の場合は1ヶ月前に告知、1ヶ... [2010/07/13]
-
解雇予告通知と解雇通知は双方必要か 当社において、無断欠勤が2週間続... [2011/09/25]
-
解雇制限取扱について 解雇制限について確認したい事項が... [2007/03/14]
-
解雇について アルバイトを解雇する場合の注意点... [2005/10/05]
-
無断欠勤での解雇について 無断欠勤での解雇は、通常「無断欠... [2009/08/05]
-
解雇の予告について 労働基準法第二十一の解雇の予告が... [2008/07/14]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
解雇予告通知書
解雇の際にはしかるべき手続きを踏む必要があります。解雇をする前によく指導・検討してください。本通知書は解雇理由の例を記載しています。
就業規則届
労働基準監督署に届出するための就業規則届です。是非ご利用ください。
フレックスタイム制就業規則
フレックスタイム制における就業規則の例です。コアタイムあり・なしの二例をそろえています。
代休の就業規則
代休制度を就業規則に記載するときの追記案です。