街頭PRを業務委託契約にできるか?
現在、ヘアサロンの新規集客手法の一つとして、
街頭でのPR活動を「業務委託契約」で実施できないか検討しています。
想定している成果物は 「体験予約の獲得件数」 です。
活動内容としては、店舗最寄り駅周辺にて日中(10〜18時頃)、
街ゆく方に声を掛け、当サロンの体験予約につなげる、という流れをイメージしています。
※活動自体については、事前に警察署に確認を取り、許可の範囲内で行う前提です。
そこで以下の理解が正しいかどうか、
ご意見をいただきたく投稿いたしました。
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①プロセス拘束について
当社としては「最寄り駅周辺に立ち、通行人に声を掛け、体験予約に至るまで」を一連の業務として委託したいと考えています。
ただ、これを業務委託契約上の「義務」としてしまうと、雇用契約と同様の指揮命令とみなされ、偽装請負リスクがある。
一方で、「街頭PR等を通じた予約獲得を想定」と表現する程度であれば、成果物(体験予約獲得)に至る手段を例示しただけと扱われ、問題ないと理解しています。
②トーク内容について
一応トークスクリプトはありますが、必ずその通りに話してほしいわけではありません。当社としては、サロンの特徴を適切に表現し、嘘偽りのない情報を提供したうえで、顧客の体験予約獲得を実現してほしいのが本望です。
そのため「顧客に必ず伝えてほしいこと」「逆に言ってはいけないこと」といったガイドラインを示すことは「品質基準」として契約書に盛り込めると理解しています。
一方で「スクリプト通りに話すこと」を義務化してしまうのは、具体的な指揮命令に該当し、業務委託契約としては不適切になる、と理解しています。
③報酬形態について
業務委託の場合、成果物の定義を「体験予約獲得件数」に設定し、出来高払いとするのが適切と理解しています。
一方で「時給制」を導入すると、時間労働の対価を支払う形になり、実態として雇用契約と見なされ、偽装請負リスクが高まる可能性があると考えています。
この理解は妥当でしょうか。
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以上のように整理しましたが、この理解で問題ないでしょうか。
また、契約書に落とし込む際に注意すべき点などがあれば、ご教示いただけますと幸いです。
投稿日:2025/10/01 13:39 ID:QA-0158973
- オフィスさん
- 東京都/その他業種(企業規模 51~100人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
「街頭PR(サロン体験予約獲得)」を業務委託契約で設計できるかどうか、非常に実務的な論点です。ご理解は概ね正しい方向ですが、法的リスクを下げるためにはいくつか注意点があります。
1. プロセス拘束((1)について)
ご認識のとおり、「どこで・どのように・何時から何時まで立つ」など具体的に指示する場合、雇用に近づくため偽装請負リスクが高まります。
業務委託として安全なのは、成果物(体験予約数)を成果基準にすることであり、手段やプロセスは受託者の裁量に委ねる形。
→ 契約書の書き方としては:
「業務の目的は当サロンの新規顧客の体験予約の獲得である」
「受託者は、その実現のために街頭活動その他適切な方法を用いることができる」
のように書く。
(「最寄り駅でビラ配布」と固定すると指揮命令要素になる)
2. トーク内容((2)について)
「必ずこのスクリプトを使え」とすると、マニュアル遵守義務=指揮命令に近づきます。
「顧客に伝えるべき最低限の情報」や「禁止表現」は、品質基準(虚偽表示の禁止・顧客保護)として定めるのは適法。
つまり「ガイドライン」や「推奨スクリプト」として提供し、裁量余地を残すのが安全です。
→ 契約書に盛り込む文言例:
「受託者は、当社が別途示すガイドラインを尊重し、顧客に正確な情報を伝達する義務を負う。ただし具体的なトーク手順や方法は受託者の裁量に委ねられる。」
3. 報酬形態((3)について)
「出来高払い(獲得件数 × 単価)」=委託契約に適した形。
「時給制・日当制」=時間労働の提供と評価されやすく、雇用契約に近づく。
成果基準に加え、最低保証(例:1件も獲得できなかった場合に一定額支給)を入れる場合は「成果物の有無にかかわらず報酬が発生=雇用に近づく」リスクが高まるので注意。
4. 契約書に落とし込む際の注意点
成果物の明確化
成果物=「体験予約の獲得件数」
証明方法=「当社が管理する予約システムへの登録件数」等を客観的に定める。
裁量権の担保
活動時間・場所・方法は「受託者が決定」とする(ただし推奨として駅前など例示は可)。
再委託の可否
本人以外に再委託可能かを明記(不可とする方が多い)。
費用負担
配布物・ツールの準備費用は原則会社負担にして「必要資材を貸与」とする。
移動費・交通費などは報酬に含むと整理しておく。
雇用契約否定条項
「本契約は雇用契約ではなく、労働基準法・労災保険法等の適用はない」
「受託者は自己の責任において業務を遂行する」旨を記載。
法令順守義務
道路使用許可や迷惑行為防止に関する規定を盛り込み、委託先責任で遵守させる。
5.結論
質問者様のご理解((1)成果基準にする、(2)スクリプトはガイドライン扱い、(3)出来高払い)は妥当です。
契約書上は「成果物基準」「裁量余地の確保」「雇用契約否定条項」がキーポイントです。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/01 14:31 ID:QA-0158981
相談者より
ご教示頂きましてありがとうございます。
内容、すべて納得いたしました。特に「成果物基準」「裁量余地の確保」「ガイドラインとしての品質基準」の整理が非常に分かりやすく、理解が深まりました。
頂いた契約書記載例を参考に、当社でもドラフト作成を進めてまいります。
丁寧なご回答、誠にありがとうございました。
投稿日:2025/10/06 12:55 ID:QA-0159194大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ご質問者様の認識におおきな問題はないかと思案いたしますが、
以下の視点を適用しますと、よりトラブルの予防になるかと存じます。
1. 業務遂行上の独立性
業務委託契約の受託者には、自己の責任と裁量で業務を遂行する独立性
が必要です。勤務時間の指定・管理: 「10時〜18時頃」という時間帯は、
活動の推奨時間として提示するに留め、その間の休憩時間や具体的な
活動開始・終了時間まで細かく指定・管理しないようにすること。
2. 契約上の明確化
契約書には、業務委託であることを明確に示す文言を盛り込みます。
指揮命令権の否定: 契約書に「当社は、受託者に対し、業務の遂行方法について
具体的な指揮命令を行わない」旨を明記するなど、雇用関係を否定する条項を
入れることが有効です。
備品・経費の負担: 業務に必要な備品(例:筆記用具、防寒具など)や
経費(例:交通費)を受託者自身が負担する、または報酬の中に含まれている
とすることで、独立した事業者としての側面を強調できます。
これらの点に留意し、実態として受託者が独立した事業者として、自己の裁量と
責任で成果を追求できる環境を整えることが重要です。
投稿日:2025/10/01 15:41 ID:QA-0158982
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ご指摘の「独立性の確保」と「契約上の明確化」の視点、非常に参考になりました。
頂いたご助言を踏まえ、契約書の条項設計と運用ルールを再整理してまいります。
丁寧なご回答、誠にありがとうございました。
投稿日:2025/10/06 12:57 ID:QA-0159195大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1.時間、場所、方法などプロセスについては、ご認識のとおり、
原則として受託者に一任する必要があります。
2.トーク内容について
ご認識のとおりで問題ありません。
3.委任契約には成果完成型とタイムチャージ制がありますので、
時間を拘束しなければ、タイムチャージでも可能です。
投稿日:2025/10/01 16:43 ID:QA-0158984
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ご指摘のとおり、プロセス面は受託者の裁量に委ねることが前提であり、その点再確認いたしました。
また、トーク内容についても問題ないとのことで安心いたしました。
なお、「時間を拘束しなければタイムチャージも可能」とのご教示、大変参考になりました。
成果報酬型と併せて、契約形態の設計を再検討してまいります。
投稿日:2025/10/06 12:58 ID:QA-0159196大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、示された内容については概ね問題が無いものと考えられます。
しかしながら、そうなりますと、服装等も当人の自由とされる必要がございますし、業務の指示が出来ない以上、実際にきちんと委託された業務が行われるかについても保証はないものといえます。
つまり、業務委託契約に関しましては、通常委託先の会社や個人等の身元が信頼されうる状況で契約されるものといえますので、このようなスポットでかつ対面での業務に関わる契約となると、逆に御社の信用を損なうといったリスクも生じる可能性がございます。
かといって、御社側での管理を強めれば実質雇用に近くなり偽装委託を問われかねませんので、決してお勧め出来るとはいえず、くれぐれも慎重に検討される事が必要といえるでしょう。
投稿日:2025/10/01 21:45 ID:QA-0158997
相談者より
ChatGPT:
ご回答ありがとうございます。
ご指摘のとおり、業務委託とする場合は、服装や活動方法なども受託者の裁量に委ねる必要があり、実施品質の保証が難しい点、改めて理解いたしました。
ご助言を踏まえ、実務運用面での管理リスクと信用維持のバランスを考慮し、引き続き慎重に検討を進めてまいります。
投稿日:2025/10/06 12:59 ID:QA-0159197大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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