時間単位の有給休暇に伴う就業規則への記載について
お世話になります。
年次有給休暇については半日単位での取得が可能となっていますが、この度時間単位での付与の導入を考えております。労使協定締結及び就業規則への追記が必須ですが、現行規則にどのように追加しようか悩んでいます。
時間単位での付与については、厚労省の記載例を参考に追記しようと考えています。現状の就業規則は下記の通りとです。
現状(年次有給休暇の単位)
第20条 年次有給休暇は、暦日の1日とする。但し、半日を単位として与えることができること・・・・。
下記の①、②いずれかで検討しているのですが、どちらも問題は無いでしょうか。そうであれば、どちらがより適切でしょうか。
①新たに条文番号を起こして記載
(年次有給休暇の時間単位での付与)
第21条 労働者代表との書面による協定に基づき、前条の年次有給休暇の日数のうち、1年について・・・・
②現行20条に2項を起こして並列で記載
(年次有給休暇の単位並びに時間単位での付与)
第20条 年次有給休暇は、暦日の1日とする。但し、半日を単位として与えることができること・・・・。
2 労働者代表との書面による協定に基づき、前条の年次有給休暇の日数のうち、1年について・・・・。
以上よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/01 11:50 ID:QA-0156164
- 総務一郎さん
- 大阪府/医療・福祉関連(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
(1)・(2)いずれも法的に問題はありません。
就業規則の構成上、どちらも厚生労働省の示す様式例に則っており、適法です。
ただし、
おすすめは「(2)現行条文に第2項として追記」する方式です。
2.理由と解説
(1)条文を新設する方法(例:第21条として追加)
【メリット】
・時間単位年休の制度が独立して整理されていて、読みやすい
・他の特別休暇制度などと並列に記述しやすい
【デメリット】
・「年次有給休暇の単位」が分断される
・20条と21条の関係が直感的に理解しにくくなる可能性あり
制度設計のボリュームが大きい場合や、別表記で整理したい場合には適しています。
(2)現行20条に第2項を追加する方法(←おすすめ)
【メリット】
・「年次有給休暇の単位に関するルール」が1条文内にまとまるため、理解しやすい
・労働者にも周知しやすい
・厚労省モデル様式例の記載形式にも近い(項立て整理)
【デメリット】
・条文がやや長くなる可能性はあるが、実務的な支障は特にない
就業規則の実務的な見通しのよさ・条文の一貫性を考慮すると、この方式の方が汎用性が高くおすすめです。
・記載例(厚労省の記載例を踏まえた形式)
(年次有給休暇の単位)
第20条 年次有給休暇は、暦日の1日とする。ただし、半日を単位として与えることができる。
2 労使協定により、年次有給休暇の日数のうち年5日を限度として、1時間単位で与えることができる。
※「5日を限度として」は、労基法第39条第4項の範囲(時間単位付与は年5日以内)に合わせたものです。
※実際には「労使協定を締結していること」も明記(別条や附則でも可)
3.労使協定との関係
就業規則に時間単位年休を規定するには、**労使協定の締結(書面)**が前提です(労基法施行規則第24条の5)。
就業規則では「協定を締結している場合に限る」旨を記載し、協定書は別管理とするのが一般的です。
4.まとめ
方法→法的適否→実務適合性→推奨度
(1)新条文(第21条)で追加→ 適法○→整理はしやすいがやや分断感あり△
(2)第20条に第2項として追加→適法◎→ルールを集約しやすく、周知にも適する→おすすめ
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/01 22:03 ID:QA-0156185
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、単に形式上の事柄に過ぎませんので、いずれでも差し支えございません。御社でやり易い方で記載されるとよいでしょう。
投稿日:2025/08/01 22:09 ID:QA-0156187
相談者より
回答ありがとうございます。
良かったです。参考させていただきいずれかを採用します。
投稿日:2025/08/05 08:57 ID:QA-0156346大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
まず、ご記載の1と2は、どちらの規定方法でも問題はありません。
実務的に可能ならば、お勧めは1となります。
・時間単位年休は、1日・半日休暇と性質が異なり、取得方法・上限・管理方法
も独特です。
・独立した条項とすることで、制度を明示しやすく、後の制度見直しや説明も
容易になります。
実務的に可能ならばと申し上げたのは、条項を追加しますと、それ以降の
条項がズレます。貴社が持つ、就業規則の不随規程が多ければ多い程、
他の付随規程の就業規則に対する条項も修正する箇所が増える傾向ですので、
修正範囲の見落としが生じるリスクが高まります。
どちらを採用するかはあくまで貴社の判断となります。
投稿日:2025/08/02 09:13 ID:QA-0156202
相談者より
ありがとうございます。
参考にさせていただきいずれかでを採用します。
投稿日:2025/08/05 08:58 ID:QA-0156347大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
条項
以下、回答いたします。
(1) 「ワークブック法制執務」(前田正道編)では、「条」については『法令は、必然的に箇条書の形をとることが要請されることになる。そして、この箇条書の一つに相当するものが「条」であるといえる。』とされています。また、「項」については、『一つの条を、更に規定の内容に従って区分する必要がある場合には、別行から書き出す方法がとられる。このように、条の中で別行で区分される段落を「項」という。』としています。
(2)本件の場合、「年次有給休暇」の一般的な原則、「年次有給休暇の時間単位での付与」、「年次有給休暇の半日単位での付与」それぞれについて、「条」を設けることが考えられます。以下も御参照ください。
「不妊治療と仕事との両立のための就業規則 規程例」
(令和7年4月 厚生労働省 雇用環境・均等局)
[時間単位の年次有給休暇の就業規則の規程例]
(所定労働時間を8時間としている簡易なケース)
第○条 労働者は、別に定める労使協定に基づき、年次有給休暇を1時間単位で取得することができる。この場合において1時間単位で取得することができる日数は1暦年において5日以内とし、1日分の年次有給休暇に相当する時間数は8時間とする。
[半日単位の年次有給休暇の就業規則の規程例]
(半日単位の取得日数に上限を設けていないケース)
第○条(1)年次有給休暇は、通常の所定労働時間(8時間)の半日(4時間)を最小単位として取得することができる。
(2)前項における半日とは、次のとおりである。
1)午前休:午前8時から正午まで
2)午後休:午後1時から午後5時まで
(3)遅刻・早退及び私傷病欠勤は、会社が承認した場合に限り、年次有給休暇残日数を限度として半日又は1日の年次有給休暇と振り返ることができる。
(4)前項までの定めにより、半日の有給休暇を取得した場合は、残りの半日の年次有給休暇を別途、取得することができる。
投稿日:2025/08/02 22:20 ID:QA-0156211
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
どちらでも構いませんが、別条文をおすすめします。
理由としましては、
・時間単位年休は義務ではありませんので、制度導入するのであれば、
別条文とする。
・年休規定自体、長くなる傾向がありますので、別だしにしてスッキリさせた方が、
わかりやすい。などです。
投稿日:2025/08/03 05:46 ID:QA-0156218
相談者より
ありがとうございます。
参考にさせていただきいずれかでを採用します。
投稿日:2025/08/05 08:58 ID:QA-0156348大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
どちらも問題ないように思います。
規定の目的からすれば、見やすくわかりやすい、ミスリードしづらいことが重要ですので、「1.」でいかがでしょうか。
投稿日:2025/08/04 10:41 ID:QA-0156255
相談者より
ありがとうございます。
参考にさせていただきいずれかでを採用します。
投稿日:2025/08/05 08:59 ID:QA-0156349大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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