バイク通勤解禁にあたって
現在従業員の通勤手段は自家用車のみです。(全員早朝出勤で公共交通機関を使用できる時間帯の出勤でないことが理由)
25年前くらいにバイク通勤者が事故を起こし、かなりのケガをおったことからそれ以降はバイク通勤不可としておりました。
しかしながら今般の世情からバイク通勤を許可してほしいという従業員も若干名おり、バイク通勤を解禁しようか悩んでいます。
バイク通勤解禁にあたって安全面を考えた結果、下記のような制限を設けることは妥当なのでしょうか。
①自賠責および任意保険の加入義務(対人無制限・対物1000万以上)
②車検証の写しまたはそれに準ずるものの写し(車検がない車両は2年に1回の整備記録提出)
③片道10キロ以内の通勤者に限る
④雨天時及び冬季の通勤手段としては認めない
①②に関しては特段問題ないと思いますが、③④はバイク通勤を限定することになるのでそれが問題ないのか教えていただきたいです。
投稿日:2025/07/29 15:41 ID:QA-0155967
- 管理者さん
- 福岡県/運輸・倉庫・輸送(企業規模 11~30人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
合理的な理由を示せれば、制限を設けることも可能です。
但し、危惧なさっている3と4は、不利益な制限であると社員から主張される
リスクもございますので、1案としては、「原則」の文言を挿入し、
但し書きとして、特段の事情がある場合は事前申請を行うことにより、
個別に会社が許可を判断するなど、柔軟な表現にされてはいかがでしょうか。
また、補足として片道10キロは、直線距離なのか、実移動距離なのか、
雨天とはどのような状態か、冬季の期間はいつを指すのか、
基準を明確化しておきませんと社員も判断に迷いが生じますので、
基準はより明確化すると良いでしょう。
投稿日:2025/07/29 17:23 ID:QA-0155971
相談者より
基準の明確化とリスク回避のための柔軟な表現の必要性のご指摘ありがとうございます。
従業員の意見も取り入れ制度設計したいと思います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/31 15:04 ID:QA-0156129大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
(はじめに)
バイク通勤の解禁と、それに伴う制限の妥当性(特に3・4)について、労働法・安全配慮義務・差別禁止の観点から検討した結果、原則として問題はありませんが、いくつかの注意点・工夫が必要です。
1.制限ごとの妥当性の判断
(1) 自賠責・任意保険の加入義務(対人無制限・対物1000万以上)
→ 妥当であり、推奨される対応です。
使用者には安全配慮義務があり、通勤時の事故リスク対策もその一環です。
対人無制限+対物1000万以上の任意保険加入は、企業の補償リスク軽減策として合理的で、多くの企業で導入されています。
(2) 車検証の写し or 整備記録の提出
→ 妥当です。
通勤用の車両の安全確保は、企業の安全配慮義務の一環です。
軽二輪(車検不要車両)であっても2年に1回の整備記録提出を求めるのは過剰ではなく、合理的です。
(3) 片道10キロ以内の通勤者に限定する
→ 条件付きで妥当といえます。
・検討ポイント
距離制限=安全リスク回避(長距離走行による事故リスク上昇)を目的とするなら、業務上の合理性があります。
ただし、あまりに一律・形式的な制限は、「個別具体的な事情を無視した不合理な差別」とされかねないため、「原則として10キロ以内」とする柔軟な記載が望ましいです。
・ 改善案(例):
「原則として通勤距離が片道10km以内の者に限り許可する。ただし、安全面・通勤実態等を総合的に考慮し、会社が特に認めた場合はこの限りではない。」
(4)雨天時・冬季のバイク通勤禁止
→ 安全配慮義務の観点から妥当。ただし、明確な定義が必要です。
・ 雨天や凍結時は、事故リスクが著しく高まるため、通勤手段を制限することは合理的と判断されます。
・ ただし、「冬季」という表現が曖昧なので、以下のように明確な基準を加えることを推奨します:
改善案(例):
「雨天時または路面の凍結・積雪が見込まれる気象状況の場合には、バイク通勤を禁止するものとする。冬季(12月~2月)は原則禁止とするが、安全確認の上、会社が個別に許可することがある。」
2.就業規則や通勤許可申請書での取扱い
バイク通勤を解禁する場合には、以下のような整備をおすすめします。
(1) 就業規則や通勤管理規程への明文化
通勤手段の変更に関する手続き
バイク通勤に関する条件・制限
申請・許可の手続き
(2) バイク通勤許可申請書の導入
以下のような内容を盛り込むとよいでしょう:
項目→備考
車両情報(車種・ナンバー等)→車検証・自賠責証明書の添付
任意保険加入証明書→対人無制限・対物1000万以上の確認
通勤距離・経路→Google Map等で確認可能
安全運転誓約書→自主点検・二輪用ヘルメット使用なども記載可
3.結論
制限内容→法的リスク→コメント
(1) 保険加入義務→問題なし→安全配慮義務の観点から妥当
(2) 車検証・整備記録→問題なし→安全確保の合理的手段
(3) 距離制限(10キロ)→一部注意→「原則」として柔軟性を持たせることを推奨
(4) 気象条件による制限→妥当→表現を明確化すればOK
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/29 18:03 ID:QA-0155979
相談者より
質問内容へのご回答から就業規則等に関してのご提案まで細かにご教示いただきありがとうございます。
従業員の意見も取り入れ制度設計していきたいと思います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/31 15:07 ID:QA-0156130大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、会社が判断して運用する制度になりますので、示された通りでも違法性は生じません。
但し、法的な観点のみならず、安全性及び利便性の観点からも判断されるべきといえます。
例えば、「片道10キロ」「雨天」「冬季」等といった線引きが合理的であるかは微妙と考えられますので、バイク通勤希望者の意見や周辺の交通事情も踏まえられた上で、十分に検討を重ねて決められるべきといえるでしょう。
投稿日:2025/07/29 22:19 ID:QA-0155996
相談者より
いろんな視点からの判断が必要とのこと、ご指摘いただきありがとうございます。
従業員の意見も取り入れ制度設計していきたいと思います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/31 15:08 ID:QA-0156131大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
制限理由に合理性があれば可能です。
①②は特に問題はございません。
③については、10キロを超えた場合の通勤手段は、④については、雨天時及び冬季の通勤手段はどうするのか、といった問題がでてきます。
これらはあくまで原則とし、「ただし、本人の都合、その他諸般の事情を総合的に考慮し、会社が認めた場合はこの限りでない。」といった体で例外規定を追記しておけば、柔軟に対応できるでしょう。
投稿日:2025/07/30 09:12 ID:QA-0156011
相談者より
③④の通勤手段はこれまでと変わらず自家用車出勤になるものと考えています。
例外規定での対応の必要性をご教示いただきありがとうございます。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/31 15:10 ID:QA-0156132大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
法的な規制ではないので、人事的には貴社の事情に応じた現実的な設定が可能ですし、望ましいと考えます。
バイク通勤の状況は地域によっても千差万別なので、実際にどのように危険性があるのか、合理的な納得感のあるものにするため、実際にバイク通勤者の意見を聞くのも有益です。
投稿日:2025/07/30 18:54 ID:QA-0156074
相談者より
従業員の意見も取り入れ制度設計していきたいと思います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/31 15:10 ID:QA-0156133大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。