団体交渉における使用者側メンバー選定について
	いつも参考にしております。
 現在当法人では、主に法人役員(専務、常務)が団体交渉に出席し交渉にあたっております。先日、労組役員より「最近の団体交渉は、使用者側参加者が少ない。各部門の責任者(部長職)も、以前出席していたのに最近欠席なのはなぜか。各部門の状況等もふまえてこちらでは交渉したいのにそれができない。各部門の責任者の出席がないと不誠実団交、不当労働行為として訴える」との意見がありました。以前は、各部門責任者も出席しておりましたが、業務の忙しさや、体調問題や家庭事情等の個人的事由もあり欠席せざるを得ない状況となっています。しかし、それ以前については、法人役員が主に団体交渉の対応を行い部門責任者は出席をしていませんでした。以上のように、その時々で団体交渉の参加メンバーは変動をしています。
 今回のように、労組側が使用者側の参加メンバーについて指定をしてくることは通常あり得ることなのでしょうか。また、それにこたえないと不誠実団交として不当労働行為とみなされる恐れがあるのでしょうか。
 なお、当然ではありますが、団体交渉は職員の意見を聞き改善できることは改善していく場として位置付けていますので、参加できる部門責任者について参加させることは全く問題ないこととは考えています。    
投稿日:2025/06/06 15:24 ID:QA-0153643
- Soumuさん
- 東京都/医療・福祉関連(企業規模 501~1000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
                ご質問について、回答いたします。
 
 以下につきましては、通常あり得ます。
 >今回のように、労組側が使用者側の参加メンバーについて指定をしてくる
 >ことは通常あり得ることなのでしょうか。
 但し、会社として従わなければならないものではありません。
 
 重要なのは、参加者について、労使協議の上、参加者が決められている
 プロセスを踏んでいるか否かとなります。
 団体交渉の参加者については、労使双方の話し合いで決定するのが原則で
 ある為です。
 
 なお、以下の場合は、不誠実とみなされ使用者の誠実交渉義務に反していると
 指摘される可能性がございます。
 ・会社側の参加者に権限がない
 ・交渉したい内容について会社が全く事情を知らない等で交渉が進まない
 本ケースにおいては、後者が危惧すべき点かと存じます。
 
 専務、常務が交渉議題の現状を把握されていない場合は、会社側も事情を
 把握されている方を参加者に選出なさった方が宜しいかと思います。
 
 あくまで組合の指示に従う必要はありませんが、参加者については組合側と
 協議の上、決めることで、不誠実団交、不当労働行為の問題は生じません。                
投稿日:2025/06/06 16:51 ID:QA-0153645
相談者より
お忙しいところご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/06/13 11:43 ID:QA-0153929大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
                むしろ逆の考え方です。
 使用者が、決定権限のない者だけ(部長等)を出席させる場合、
 不誠実団交、不当労働行為としてとみなされるおそれがあります。
 
 当該交渉事項について、
 決定権限を有する法人役員(専務、常務)が出ているのであれば、
 問題はありません。                
投稿日:2025/06/06 17:08 ID:QA-0153646
相談者より
お忙しいところ、ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/06/13 11:43 ID:QA-0153930大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
                ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 次の通り、ご回答申し上げます。
 
 1. 労働組合が使用者側の参加メンバーを指定することは通常あるのか?
 労働組合が、団体交渉に出席してほしい使用者側メンバー(例:部門責任者)の出席を求めることは、実務上しばしばあることです。特に、個別の職場環境や業務運用に関わる課題を議題とする場合、直接の責任者の意見や説明を求めるのは、労組としても交渉を実質的・建設的に進めたいという意図に基づいています。
 したがって、「指定してくること自体」は特段異常なことではありません。
 
 2. 指定されたメンバーが出席しないと「不誠実団交」=「不当労働行為」にあたるのか?
 これは以下の点を踏まえて判断されます:
 〇不誠実団交とされる場合
 以下のような状況があると、「不誠実団交」として不当労働行為と判断される可能性があります。
 交渉を形骸化させるような対応(例:回答を一切しない、議題に関して説明責任を果たさない)
 組合の要求事項に関し、実質的な判断権限を有する者が出席せず、交渉が成立し得ない状態を継続する
 出席を求めた合理的理由(特定の職場の問題に関する議論など)があるのに、明確な理由なく拒否し続ける
 
 〇不誠実団交とされにくい場合
 一方で、以下のような事情がある場合は、不誠実団交とはされにくいと考えられます:
 出席を要請された者が体調不良や業務上の都合で一時的に出席できない
 出席しないことに代えて、法人側が実質的に対応可能な情報提供や調整を行っている
 法人役員が十分な説明・回答をしている
 時期や回数に応じて必要なメンバーの参加を調整している(硬直的に拒否していない)
 
 3. 実務上の留意点と対応例
 原則:誠実に対応し、必要に応じて柔軟に出席調整
 労組の指摘が合理的(たとえば職場環境や配置転換など部門単位の問題)であれば、当該部門の責任者の出席を検討する姿勢が重要です。
 難しい場合には、「次回は調整する」「書面で説明を補足する」など、代替的な手段で誠実さを担保できます。
 出席が困難な理由は記録しておく
 「体調不良」や「業務上の緊急対応」など、部門責任者が出席できなかった正当な理由を議事録等に残しておくと、後日のトラブル防止になります。
 
 4,結論
 (1)労組側が部門責任者の出席を求めることは、特に問題ある対応ではありません。
 (2)しかし、それに応じないことが 直ちに不誠実団交・不当労働行為にあたるとは限らず、その交渉の内容・態度・理由等によって判断されます。
 (3)法人側としては、誠実に交渉に応じる姿勢を保ちつつ、可能な範囲で部門責任者の出席を調整することで、リスクを最小限に抑えることができます。
 (4)必要に応じて、交渉前に弁護士(労働問題に精通した)へ相談し、対応の妥当性について事前確認することも有効です。
 
 以上です。よろしくお願いいたします。                
投稿日:2025/06/06 21:15 ID:QA-0153648
相談者より
お忙しいところ、ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/06/13 11:44 ID:QA-0153931大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
                一般論で申し上げれば、重要なのはメンバーの数ではなく対応能力でしょう。
 いくら現場責任者だとしても、実質的な権能の無い人間が出ても意味はありません。逆に取締役であれ社長であれ、実態に詳しく対応も現実的なものであれば問題はないはずです。
 交渉過程で能力的に十分対応できているのであれば問題ないはずですが、そうでない状況があるとすれば、メンバー構成より対応への不満や不信なのではないかと思います。                
投稿日:2025/06/07 00:19 ID:QA-0153651
相談者より
お忙しいところ、ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/06/13 11:44 ID:QA-0153932大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
団体交渉における使用者側出席者について
                団体交渉における使用者側出席者は、使用者側が自ら決定するものですので、組合からの要求に応じる必要はございません。
 
 使用者側出席者の決定にあたりましては、団交要求事項(団交の議題)について誠実交渉ができる知識、経験、能力を有した者を指名して交渉権限を与える必要があります。
 
 上記のとおり、使用者側出席者は誠実交渉義務を履行できる者で交渉権限を有する必要がありますが、最終的な決定をし、労働協約を締結する権限までは必要ではないというのが中央労働委員会及び裁判所の考え方となっています。(日本アメニティライフ協会事件 中労委令和3年2月3日、トクヤマエムテック・トクヤマ事件 東京地裁平成27年2月27日判決)
 
 「各部門の状況等もふまえてこちらでは交渉したいのにそれができない」との意見が組合側から出ているとのことですが、団交の議題について使用者側出席者に具体的で十分な討議をする知見、能力が欠けているとすれば、誠実交渉義務違反となり得ると思われます。                
投稿日:2025/06/07 08:18 ID:QA-0153652
相談者より
お忙しいところ、ご回答ありがとうございました。判例なども含め参考にさせていただきます。
投稿日:2025/06/13 11:44 ID:QA-0153933大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
                ご利用頂き有難うございます。
 
 ご相談の件ですが、団体交渉の効果が得られる上で、議題に関しまして決定する権限を有する立場の方の出席が必要とされます。
 
 逆にいえば、現場事情をよく知っている方であっても、そうした権限を有していなければ問題がございます。
 
 従いまして、組合側が参加者を指定される事は珍しい事ではございませんが、上記観点で問題がなければそうした要望に応じる義務まではないものといえます。法人役員であれば、各部門の責任者より上位の方で通常であれば決定権を有しているものといえますので、誠実に交渉をされていれば不当労働行為の点で問題はないものといえるでしょう。
 
 しかしながら、組合側の視点に立ちますと、やはり直接事情に通じた方の参加を求めるのは理に適っているともいえますので、事情を説明された上で業務スケジュールの調整等も検討され参加の線で努力されてみるのが望ましいでしょう。
 
 ちなみに、話は少しそれますが、もし当人の体調に問題有りという事でしたら、本件に限らず部門責任者としての業務対応に支障が生じかねませんし、健康配慮の観点からも一時権限を次位の方等に委ねられる等の措置を検討されてよいものといえるでしょう。                
投稿日:2025/06/07 22:40 ID:QA-0153656
相談者より
お忙しいところ、ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/06/13 11:45 ID:QA-0153934大変参考になった
    回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
    回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
    ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
    
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