効率的な日本法人統合方法
本国より日本に散在している5社の法人を1社に統合するよう指示が出ております。この際、合併・営業譲渡・会社分割などの手法があるかと思いますが、最も手間と費用のかからない方法をご教示ください。現在、考えておりますのは、各法人を新設法人が吸収合併し、統一的な労働条件で5社の社員を包括的に(=個別同意無しで)転籍させるのが効率的かと思っております。問題点、注意点と併せてご教示いただければ幸いです。
投稿日:2008/07/23 13:56 ID:QA-0013177
- supersalarymanさん
- 東京都/輸送機器・自動車(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 荒川 大
- 株式会社ENNA 代表取締役
1社を存続会社とする、吸収合併でしょう。
もっとも手間と費用がかからない方法とのことですので、以下の通りと考えます。
「1社を存続会社とする、残り4社の吸収合併」
※ただし、法人に属する財産の観点から見た判断であり、会社の文化や風土、社員の心情はまったく無視しております。
主な理由は3つです。
1. 新設会社が営業譲渡により5社を吸収する場合、それぞれのハード・ソフト両面での資産の評価が必要であり、金額の算定に手間がかかります(グループ会社内であればこの手間がかなり省けます)。また、評価により利益相当額が発生した場合法人税の対象となるので注意です。
2. 新設会社が営業権の譲渡を受ける場合、許認可(法人単位での申請)等の引継ぎができず、新たに許認可の申請が必要となります。
これは上場企業を例に取れば理解しやすいかもしれません。非上場の会社が上場企業を吸収しても、買収した側の非上場企業は即上場はできません。別途上場申請を行わなければなりません。
医薬業界とのことですので、この許認可の扱いが一つのポイントになると思われます。
3. 新設会社に吸収する場合、旧来の5社は解散になると思いますが、その場合、新たな会社での雇用について雇用条件の提示が必要となります。
吸収合併の場合は、合併に伴う基本給の過度な減額等「不利益変更」とみなされるものは移行措置が必要となりますが、個別同意は不要です(新会社との雇用条件通知は発行した方が良いと思われますが、この場合は労働契約ではなく人事発令で対応可能です)。
最後に、吸収合併は吸収した側とされた側に心理的な壁を残します。その点については人事部門が新たな人事制度・評価制度を導入し2~3年の運用と効果的な人事異動をもって組織の混合を図らなければ吸収された側からの退職者を発生させる恐れがあります。
組織変革や組織文化というキーワードで文献などを検索して頂いて、事前に準備して頂ければと思います。
投稿日:2008/07/24 00:13 ID:QA-0013183
相談者より
投稿日:2008/07/24 00:13 ID:QA-0035271大変参考になった
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