採用の透明性の確保について
当方、政府関係の一部ですが、独立した機関です。昨今の教職の不正採用事件などをきっかけとして、採用試験の透明性について、手続きや基準を開示するか検討中です。採用試験の透明さ(開示)の考え方について、(一般企業などの考え方も含め)ご教示願います。
・まず、単体の機関(会社)の方針として、不採用者に対する情報の開示はそもそも必要でしょうか?または、会社の方針として、「一切開示しない」ということを肯定する考え方(より所)があるのか?
・考えられる開示項目として、筆記試験の概要、その模範回答、面接試験の判定基準、試験結果の個人への結果開示などがありますが、どこまでやる必要があるのか。
一切開示しなくても、法令に抵触するとは思いませんが、職員や周囲から「開示すべきだ」という意見も出始めています。今のところ、それを拒否し続ける根拠が見当たりません。昨今の企業情勢などとあわせて、考えておくべきことがあれば教えて下さい。なお、本質問は「新規採用」の項目で投稿しておりますが、中途採用を含む採用全般に関する質問です。
投稿日:2008/07/23 11:14 ID:QA-0013171
- *****さん
- 神奈川県/公共団体・政府機関(企業規模 1001~3000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
採用可否基準とプロセスの透明性
■応募者が不採用理由を問合わせるのは自由ですが、募集側には不採用理由の説明義務はありませんので、不採用通知だけで充分です。確か、「応募者が納得の行く理由」を伝えるといった趣旨の厚労省指導があったようですが、これも努力条件だったと記憶しています。
■然し、脇の甘さは将来における禍根の芽になりやすく、法的義務はなくても、不採用理由についても、次の点には留意しておくべきです。
▽ 選考の経過、採否決定のデータ等がいつでも明示できるよう整理しておく
▽「不採用」の理由を明確にしておく
■さて、ご相談の事案ですが、昨今の採用・不採用をめぐる事件は公的機関で突出しています。民間では、高齢少子化、根無し若年労働層に、ニート層の中年化などの労働社会に変化に対応して、徐々ながら確実に、必要に応じた不採用事由の開示も進んでいますが、目に見えて採用企業が増えているわけではありません。
■職員や周囲から「開示すべきだ」という意見が出てくるのは、「何を今更」という感無きにしも非ずというところです。開示を制度化する必要はないと思いますが、胸を張って開示できるような選考基準の設定とプロセス記録は、透明性を高める上で、欠かせないものと考えます。
投稿日:2008/07/24 12:56 ID:QA-0013187
プロフェッショナルからの回答
- 荒川 大
- 株式会社ENNA 代表取締役
「個人情報保護法」遵守を根拠にして
選考結果に関する報告については、結果そのものだけではなく、応募の事実でさえ「個人情報」に当たるため、本人以外には開示できません。
また、採用活動は「相対評価」ですから、「選考結果」は試験などの「絶対評価」に基づくものとは異なります。
ここがポイントになると思います。
本人からの問合せに対して回答する「努力」は必要かもしれませんが、「相対評価」である以上、「他の選考者の結果を開示できない事実」から考えて、広く選考結果を開示する必要はないと考えられます。
もっとも、公務員でも銀行員でも、現在でも「縁故採用」は日常的ですし、社内で回覧板が回って名前を明記するということをやっているところも多数残っていますので、あまり過敏にならなくてもよろしいかと思います。
あくまでも、選考結果の開示は、受験者に対して一対一の対応ですし、選考の前にテスト結果は開示できるけれども、面接結果は「選考を受けている他者の個人情報に触れる恐れがあるため開示できない」とするのがよろしいかと思います。
最後に、選考結果を知りたいと思うのは、「選考から落ちた方」です。
その方に対しては、選考結果を克明に伝えるという意識で考えるのではなく、他の面接で活かせる内容をかいつまんでお伝えするのがよろしいかと思います。
どれだけ優秀であったとしても、現在勤務されている方と同等のキャリアを持っていれば採用を見送ることは普通にあります。そのような判断基準は、社内の人材の個人情報にも関わるので、開示できるものではありません。
よって、わが社の方針ではなく、個人情報保護法の趣旨に従い、他者の個人情報の不開示に基づく措置とすることで対応してみてはいかがでしょうか。
投稿日:2008/07/25 03:56 ID:QA-0013199
相談者より
投稿日:2008/07/25 03:56 ID:QA-0035276参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
採用可否基準とプロセスの透明性 P2
■《選考基準と手順》と《適正な運用》は、「ルールブック」と「ルールに則った実行」、いわば、車の両輪の関係にあります。ご引用の不祥事は、地位を悪用した、後者の《適正な運用》面における犯罪行為です。政治的コメントをする積りはありませが、直近の監督機関が検討中と報道されているネット経由の合否公開や第三者による採点などの対応策と、個人別情報の公開の是非は別問題だと考えます。
■然し、現実の世論や特定集団の開示要求には、別問題であるとの冷静な区分判断は求め難いものがあります。更に、マスコミによって増幅されることもしばしば見受けられます。反論は勿論、相手さえ特定できないといった困難に直面することもあり、それが、公表・開示に否定的なご意見につながっていると思います。この点における民間企業との相違はよく理解できます。
■現時点で最もホットな社会問題の一つになっていることなので、監督機関や上層部から、対応指示はあるかと思いますが、結果は別として、ご担当者の立場としては、『選考基準と手順に関しての公開には異論はないが、適正に運用されている限り(個人情報としての)個人別合否結果の開示の必要はない』と意思固めをされないと、不安定な気持ちは解消できないのではないでしょうか?
■蛇足ながら、選考基準と手順に関しての公開には、それなりの意義が認められますが、問題の不祥事は、個人別情報の開示によって防げる性質のものではない、その本質は別の局面にあるのではないかとかとも考えています。
投稿日:2008/07/25 11:07 ID:QA-0013206
相談者より
当方のような特定の機微な問題に対して、ご理解いただいた上での適切なアドバイスに感謝いたします。大変参考になりました。
投稿日:2008/07/25 12:01 ID:QA-0035277大変参考になった
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