企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】エンコサイヨウ 縁故採用

企業が求職者を雇用する場合、求職者本人にその企業との何らかの縁故(コネ)があることを採用の条件とすることを「縁故採用」あるいは「コネ採用」といいます。縁故には、企業・業界に影響力のある人物の紹介、現職社員やOB、取引先との縁戚関係などがあります。機会の平等に反する不公正な慣習というイメージが強いものの、現状では法律上の明確な規制などはありません。
(2012/8/10掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

縁故採用のケーススタディ

紹介状を手に入れること自体が選考の一環
“フェアなコネ採用”で志望度の高い人材を

2012年1月、出版大手の岩波書店が13年度定期採用の募集要項を、自社のウェブサイトに公開しました。その際、応募資格の要件として「岩波書店社員の紹介あるいは岩波書店著者の紹介状があること」を告知したため、事実上の「コネ採用宣言」と報道されて物議を醸し、厚生労働省も調査に乗り出すなど波紋が広がりました。岩波書店側は「あくまでも応募の際の条件であり、採用の判断基準ではない」と主張し、「縁故採用」という報じられ方に不快感を示しました。事実関係を確認した厚労省も「現時点では問題ない」との判断を下しています。

では、なぜ岩波書店はそうした応募資格を定め、公にしたのでしょうか。岩波側は「当社への志望度が高く、熱意のある学生をじっくり選考する」のがねらいと説明しています。大学生ならゼミの先生に紹介してもらうなど、自分で考えて行動を起こせば、何とかして同社の社員や著者にたどりつく方法は見つかるでしょう。本当に入社したい志望者には、「紹介状を手に入れること」自体が1次選考だと考えて、本気度をアピールして欲しいというわけです。

実は同社が“紹介者必須”の採用を導入する前は、わずか数人の枠に1,000人以上が殺到し、「岩波の本を一冊も読んだことがない」という応募者も目立ったといいます。前述のようなハードルを設ければ、興味本位の応募者が減り、本当に意欲的な質の高い応募者に絞られるので、選考がスムーズに進められるのは確かでしょう。さらに同社は、努力が実らず、社員や著者にたどりつけない学生には採用担当者に相談して欲しいと呼び掛けており、実際に担当者の電話番号をウェブサイトに公開しています。

こうしてみると、岩波書店の採用手法は単なるコネ採用と同列視できないのではないでしょうか。“紹介者必須”というハードルは高くても、それを打開しようとする応募者本人の努力が最大限認められているからです。現に雇用・労働分野の識者からは、同社を支持する声が少なくありません。

かつては縁故採用、コネ採用というと、地元の政治家や取引先の有力者の子女を、採用基準に満たないにもかかわらず入社させるといったイメージでした。しかし現在は、アンフェアな縁故採用は減少し、紹介後に選考を課すケースが増えていると言われます。採用する側のメリットとしては、信頼のおける紹介者を通じて質の高い応募者を集められること、人数が絞られて採用コストを抑えられること、紹介者への配慮から離職しにくく社内で問題を起こすことも少ないことなどが挙げられます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

スクラム採用
「スクラム採用」とは、全社員が一丸となって取り組む採用方式のことをいいます。スクラムとは、ラグビーにおいて両チームのフォワード選手がボールを間に肩を組み押し合うこと。転じて、全員が共通のゴールに向かって力を発揮することを意味するようになりました。採用売り手市場が続く中で、人事だけでなく全社員で候補者...
リファラル採用
「リファラル採用」とは、社内外の信頼できる人脈を介した、紹介・推薦による採用活動のことです。リファラル(referral)は「委託、紹介、推薦」といった意味で、具体的には自社の経営者や優秀な社員からの紹介、外部の専門家や著名人からの推薦などを指します。人材紹介会社や求人サイトなど既存の採用チャネルに...
カジュアル面談
「カジュアル面談」とは、選考に影響しないことを前提に、本選考前や採用選考の途中で企業と応募者が相互理解を深めるために設けられる場のことをいいます。ミスマッチによる内定辞退や入社後の早期退職を軽減することを目的に中途採用でよく使われる手法ですが、近年は新卒採用でも実施する企業が増えています。相互理解が...

関連する記事

希少人材を採用するために企業がとった 「なりふり構わぬ」手段とは?
ITや通信をはじめとする技術革新は、ますますそのスピードを速めている。企業は生き残りをかけて、最新技術に対応できるエンジニアを採用しなくてはならない。
2011/03/07掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
人材不足の中で繰り広げられる採用合戦 「優先紹介」は可能なのか――?
「人手不足」がニュースになっています。特に建設関係の技術者や技能者、飲食・サービスの店舗スタッフなどの不足が話題になることが多いのですが、こうした職種を扱う人材紹介会社は限られています。人材紹介の業界では、この数年間、スマートフォン分野のITエンジニアやゲーム...
2014/09/01掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
6割以上の採用担当者が、学生に直にアプローチできる採用手法を検討 ~「2016年卒採用」における、スケジュール後ろ倒しの影響とは?~
2016年卒から新卒採用の時期を繰り下げる「採用選考の指針」が日本経済団体連合会(経団連)によって発表されました。これにより、「広報開始」が2015年の3月以降、「選考開始」が8月以降と後ろ倒しになります。スケジュールの変更に伴い、採用計画の見直しを迫られる企...
2014/11/26掲載編集部注目レポート

関連するQ&A

募集人数と採用人数について
新卒採用活動中です。 募集人数を50名程度とした際に、実際に採用した人数が10~20名とかけ離れていた場合は何か問題があるのでしょうか?採用したい学生が少なかった場合は、10名しか採用しなくても特に問題はないでしょしょうか。 ご教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【2010年度入社】 新卒の採用単価について
2010年度新卒採用における一人当たりの採用単価の相場はどのくらいでしたでしょうか? また2名採用の場合、どんな採用手法が適切でしょうか? よろしくお願いいたします。
新卒採用を行うメリットとは
当社では現在中途採用のみ行っております。 新卒採用は行っていないのですが「新卒採用を行うメリット」や最近の動向・データなどをお教えください。
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 採用 ]
新入社員研修の種類や企業事例、「新入社員研修」サービス

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

求める人材を確実に採用する視点 働くパパママ育休取得応援奨励金

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


「2020年度 新入社員育成」ソリューション特集

新入社員研修の種類やカリキュラム例、企業事例、おススメの「新入社員研修」サービスをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


会社の未来を拓く 強い管理職のつくり方~アセスメントツールを“人材育成”に活用する、効果的な手法とは?

会社の未来を拓く 強い管理職のつくり方~アセスメントツールを“人材育成”に活用する、効果的な手法とは?

長期的な不況が続き、グローバル化が進むなか、この時代を企業が生き抜くた...