現状、転勤打診は可能か?また会社がすべきことを教えて下さい。
要転勤の案件を受託したため、会社初、従業員の転勤を検討しています。
質問が3点ございます。
就業規則には「転勤あり」と明記はないのですが、「転勤の場合●日休暇を与える」と「転勤時の貸与品の返還」の条項 " だけ " はあります。
ただ、残っている過去の求人を見る限り、ここ5年間の求人には「転勤なし」と明記されており、ここ2年間で採用された従業員の労働条件通知書にも「転勤なし」と明記されています。
質問1:採用時、転勤には触れたことが無いが、勝手に転勤のない会社と認識している10年以上在籍の従業員に対して、および、転勤なしの求人により入社した従業員に対して、現段階で、転勤の打診をすることはできますでしょうか。
質問2:これから就業規則に「転勤の可能性あり」と明確に記載をすれば、質問1に記載の従業員らに対しても、転勤を打診もしくは命ずることはできると考えておりますが、不利益変更になりますでしょうか?
元々就業規則で転勤なしとは謳っていないので、不利益変更には当たらないと考えており、労働者代表と決定後労基に提出し、その後全社員に周知の流れで考えています。
ただ、転勤なしで入社した若干名の社員にとっては不利益変更になる可能性も懸念しています。
どう捉えてどう対応するのがベストか教えていただけますでしょうか。
質問3:転勤を実現する場合、会社がマストで整備しなくてはならないものにはどのようなものがありますでしょうか?
考えているのは、帰省手当や移転時の会社負担額等について給与規定に明記することなのですが、これらは追って規定する方向で考えており、打診時は、後々条件等詳細を詰めましょう、で進めたいと考えています。これでも大丈夫でしょうか?
また、就業規則や給与規定以外にも定めておくべきマストなものがあれば教えてください。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
投稿日:2021/10/10 21:26 ID:QA-0108410
- マナカさん
- 東京都/コンサルタント・シンクタンク(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、質問1につきましては、明確な規定がなく労働条件通知書でも示されていない以上、転勤を強制する事は困難ですが、打診される事は差し支えございません。
質問2につきましては、労働条件通知書で明示されていない事から不利益変更には該当するものといえます。但し、文面内容からしますと、特に重大な不利益変更であるとまでは言い難いですので、労働者側に事情を丁寧に説明される事で変更内容は有効になるものと考えられます。
質問3につきましては、やはり転勤時の費用負担及び転勤後の手当支給が挙げられます。一般的な転勤規程であれば、ネット検索等でサンプルも多数確認出来ますので、御社事情も踏まえながら参考にされるとよいでしょう。
投稿日:2021/10/11 09:47 ID:QA-0108420
相談者より
ご回答ありがとうございました。不利益変更と声を高らかにされぬように動く必要性や、『労働者側に事情を丁寧に説明する事で変更内容は有効になるものと考えられる』という点、大変参考になりました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました!
投稿日:2021/10/11 16:44 ID:QA-0108470大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
先ず、転勤規程の制定を
▼転勤に関する現状は極めて不完全ですね。質問1~3を通じて、具体的な転勤事案が出てからんドタバタ議論ですね。
▼先ず、就業規則に「転勤あり」に明記すること、次に、その付属として転勤規程を作成することが必要です。
▼ネットで「転勤規程」「雛型」をキーとして、幾つかの実務的事例を参考に機規定化し、それに基づいて、ご相談の案件を検討することお薦めします。
投稿日:2021/10/11 10:28 ID:QA-0108423
相談者より
ご回答ありがとうございました。
「転勤規程」という言葉にハッとしました。
別途作成が必要だ...と我に返ることが出来ました。
ありがとうございました!
投稿日:2021/10/11 16:46 ID:QA-0108471参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
1.打診は話し合いであり、命令ではありませんので、高圧的な命令と取られない限り問題ありません。
2.不利益変更かどうかより大事なことは社員が行ってくれるかどうかです。何より会社として真摯な説明とお願いを丁寧にすることが最優先です。これまで一度もない転勤を一方的命令で実現するのは限り無く乱暴なことで、本人が少しでも納得いくような話し合いが何より重要です。
3.細かいことは書き切れませんが、要は転居という会社命令での生活の激変ですから、本人に責のない負担をさせないことです。ゼロにするのは無理でも、そのための支度金やら転居費用その他、本人持ち出しを限り無く減らすこと。現在の住居をどうするかのケアなど、転居条件・状況によっても大きく変わります。
投稿日:2021/10/11 10:54 ID:QA-0108428
相談者より
ご回答ありがとうございました。
『不利益変更かどうかより大事なことは社員が行ってくれるかどうか』という言葉に、何度も相槌を打ってしまいました。
社員の中に、過剰に正義感が強く、ちょっと調べて出てくる程度の情報で訴えると大騒ぎする者が2名もいるため、非常に慎重に動きたいと思っていたため、不利益変更にびくびくしていた次第です。基本の目的を忘れないよう定丁寧に動きたいと思いました。ありがとうございました!
投稿日:2021/10/11 16:50 ID:QA-0108472参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1.転勤の強制はできませんが、打診をすることは可能です。
2.既存の社員に対しては、不利益変更となる方もいますので、丁寧に理由を説明し、
合意を得られるよう努めてください。
当面は、転任者には本人の同意を取るようにしてください。
転勤なしの条件で入社した社員につきましては、個別に確認し、NOの社員については、
雇用契約が優先されますので、勤務地限定社員として、転勤なし継続となります。
3.就業規則、給与規定の他、転勤に伴う住居、家族帯同、支度金について、
転勤規程の作成も検討して下さい。
投稿日:2021/10/11 11:16 ID:QA-0108436
相談者より
ご回答ありがとうございました。
『勤務地限定社員』という言葉で、やはり...と思ってしまいました。その枠を作成するか否かで、かなり経営陣は悩んでいる状態です。
個々の事情は分かるのですが、会社側としてみれば、会社の為に転勤を受け入れてくれた社員より、転勤を拒んだ人が得をするとか楽が出来るということになっては、会社としてはいたたまれないと考えております。とはいえ、エリア職と総合職を作れるほど案件が多いわけでも無く...。この部分についてはまた経営陣と揉みたいと思います。ありがとうございました!心より感謝申し上げます。
投稿日:2021/10/11 16:55 ID:QA-0108473大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
転勤を命ずるためには、①労働協約および就業規則に、業務上の都合により従業員に転勤を命ずることができる旨の定めがあり、②現に全国転勤を頻繁に行っており、③採用時に勤務地限定の特約も存しない場合において、使用者は、個別の同意なしに転勤を命ずる権限を有する(東亜ペイント事件 最高裁二小 昭61.7.14判決)としており、これが転勤に関するリーディングケースとなります。
つまり、使用者が労働者に転勤を命じる根拠は労働契約にあり、その契約に基づいて命令する権利が発生し、労働者にはこれに従う義務が生じるわけですが、就業規則に根拠となる旨の規定がなければ転勤を命じることは出来ず、労働者の同意を得て転勤を実現することになり、そのため、実務上、上手く配転・転勤を実現するためには、命令よりも労働者の同意を得て行うことが適当であるといえます。
ただし、これでは実務は回りませんので、裁判所は、使用者が就業規則を一方的に変更出来ることを認めており、就業規則の変更に合理性があれば、労働者は変更後の就業規則の適用を拒否できないともしています。(秋北バス事件 最高裁大法廷 昭48.12.25判決)
質問1:転勤を命ずる根拠規定がなくても打診をすることは自由です。本人が同意すれば問題はありません。
質問2:就業規則に新たに転勤に関する規定を設けるとなると、基本的には不利益変更にあたると考えられますが、裁判所は、使用者が就業規則を一方的に変更出来ることを認めており、就業規則の変更に合理性があれば、労働者は変更後の就業規則の適用を拒否できないとしています。(秋北バス事件 最高裁大法廷 昭48.12.25判決)
質問3:転勤規程の整備は欠かせません。
転勤時にかかる諸費用や賃金、労働条件等を明確にしておく必要があります。
条件等詳細は後々に詰める体で打診するとして、本人が条件提示もない段階で転勤に同意するか否かがポイントになります。
投稿日:2021/10/11 12:34 ID:QA-0108447
相談者より
非常に細かく判例までいただけて、大変参考になりました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました!(ありがとう以上の言葉がなく残念なほど心底感謝・感激しております。)
投稿日:2021/10/11 16:41 ID:QA-0108469大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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