コンサルタントを本気にさせる、求職者の姿勢とは
求職者も「本気度」を見せるチャンス 相談に「来てもらう」ことの大切さ
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転職への熱意が、コンサルタントを動かす
逆に、非常に多忙にもかかわらず、わざわざ事務所まで来てくださる方もいる。とあるIT企業のエンジニアとして働くGさんがそうだった。
「この面談が終わったら、また仕事場に戻って続きをやります」
そう言って笑っている。面談の開始は19時。終わるのはおそらく20時過ぎになるだろう。そこから会社に戻って仕事を再開するというのである。
「大変ですね。おっしゃっていただければ、会社の近くまでうかがったのですが…」
するとGさんは、慣れていますから大丈夫です、と答えた。
「それに、人材紹介会社に出向いた方が案件をたくさん見せてもらえるでしょう? 実際に転職活動をするとなったら、企業への面接など、出向かないといけない場面も増えますから。その予行演習だと思っています」
Gさんのこの言葉は、人材紹介会社のコンサルタントを感激させるものであった。確かにそうなのだ。忙しくて転職相談にも来られないような状態では、仮に書類選考を通過したとしても、面接当日に紹介先の企業へ行けるのか心配になってしまう。また、社外秘の求人も多いので、事務所内でしか求人票を見せられないというケースも確かにある。
「そう言っていただけると、私どもも力が入ります。今日は短い時間ですが、有意義な情報を持って帰っていただけるように頑張ります」
私も思わず本音が出てしまった。人材紹介が「人を介した転職支援」である以上、コンサルタントをその気にさせるというのは、実はとても大事なことなのである。コンピューターのシステムを使った機械的なマッチング以上のものを引き出そうとするGさんの姿勢は、まさに人材紹介サービスをうまく利用しているお手本だといえるだろう。
そういえば、ある人材紹介会社の経営者がこんなことを言っていた。
「弊社は外部面談を一切行いません。すべての求職者に来社してもらいます。しかも、平日の昼間だけ。本気で転職しようという人なら、なんとか仕事のやりくりをして来てくれますよ」
一般的には、終業後の夜に面談を行ったり、土曜や日曜も対応したりしている紹介会社が多いが、この会社は転職希望者の「本気度」を、平日の昼間に来社できるかどうかではかっているのだという。
そこまでできる人材紹介会社は少数派だろうが、「来社してもらってこその転職相談」の大事さを表す一つのエピソードだといえるだろう。人材が本気で転職に取り組んでいれば、紹介会社のコンサルタントにもその熱意は伝わるのだ。
Gさんにいくつかの案件を紹介しながら、私は「なんとかこの転職を成功させたい」と本気になっていた。
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