企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】カウンターオファー カウンターオファー

「カウンターオファー」とは、本来は契約交渉に関する言葉で、売り手の条件提示(オファー)に対して、買い手が条件修正の申し込みを行うことをいいます。それが転じ、人事用語として使われる場合は、退職を希望するビジネスパーソンに対して、会社が「昇給」「仕事内容の見直し」などの新しい条件を提示し、退職・転職を思いとどまらせようとする引き留め交渉を意味します。
(2016/6/10掲載)

カウンターオファーのケーススタディ

昇給や異動を提示する退職引き留め交渉
上司が知るべき「成功率2割」の理由とは

厚生労働省が先日発表した2016年4月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と比べて0.04ポイント上昇の1.34倍。熊本地震や円高の進行など、企業が採用を抑制する要因があったにもかかわらず、24年5ヵ月ぶりの高水準を記録しました。史上初めて47都道府県すべてで1倍を上回り、東京では2.02倍と、実に1974年6月以来の2倍超えとなりましたが、その反面、深刻化する人手不足などがかえって景気の足を引っ張りつつあるという見方も出ています。

企業側からすれば、採用市場は新卒、中途ともに完全な売り手市場。経営戦略の実現に向けた人材の確保にあたっては、外部からの新戦力獲得に苦戦を強いられるだけでなく、社内からの既存人材の流出にも神経を尖らせなければなりません。売り手市場に乗じて、社員が退職・転職を検討している場合、本当に優秀で自社に必要不可欠な人材であれば、その人材の流出を防げるかどうかが、人事戦略上の大きなポイントとなるからです。そこで注目されているのが、「カウンターオファー」。退職を申し出た社員に対し、上司が昇給や異動などの新条件を提示して、引き留め交渉を行うことをいいます。

エン・ジャパン株式会社が運営する転職情報サイト『ミドルの転職』では14年8月、30歳以上のサイト利用者388名を対象に「カウンターオファー」についての実態調査を実施しました。それによると、調査に協力した転職希望者の32%が、実際にカウンターオファーを受けた経験があると回答。引き止め交渉の際、どのような条件提示を受けたかについては、最も多かった答えが「昇給」の提示、次いで「特に条件なし(上司からの引き留めのみ)」、3番目が「他部署ヘの異動」の打診でした。

興味深いのは、「転職の際に、カウンターオファーを受けたいか」という問いに対する回答結果で、65%が「受けたくない」と答えています。その理由としては、「カウンターオファーを出すくらいなら、その前から昇給してほしい」「転職理由は会社自体への不信、不満が要因なので、条件提示では心変わりしない」といった意見が多く、転職希望者は、いざとなって引き止めにかかるくらいなら、その前にしっかりと向き合って、話を聞いて欲しいと考えているようです。そうした気持ちは、カウンターオファーの成功率にも表れています。引き留めを受けたことがある人のうち、それが理由で次の転職先を断ったことがある人は24%しかいませんでした。まさしく「時すでに遅し」。優秀な人材を組織にひきつけておくために何よりも大切なのは、上司と部下の日々のコミュニケーションなのかもしれません。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

円満退社
「円満退社」とは、会社に就業していた労働者がその職を退く際、使用者との労働契約を双方の合意のもとに解除することをいいます。本来、そうした労働契約解除の形態を指す言葉ですが、より一般的な解釈としては、これまで勤めてきた職場の上司や同僚などにも納得・理解を得た上で、円滑な職務の引継ぎを経て、わだかまりな...
ジョブ・リターン制度
「ジョブ・リターン制度」とは、結婚・出産・介護などを理由に退職した社員を、本人の希望により再雇用する制度。働く側はキャリアを活かして復職、企業側は即戦力の確保と労使双方に大きなメリットがあります。
スクラム採用
「スクラム採用」とは、全社員が一丸となって取り組む採用方式のことをいいます。スクラムとは、ラグビーにおいて両チームのフォワード選手がボールを間に肩を組み押し合うこと。転じて、全員が共通のゴールに向かって力を発揮することを意味するようになりました。採用売り手市場が続く中で、人事だけでなく全社員で候補者...

関連する記事

内定が出ても「転職成功」まではまだ半分 求職者が越えなければならないハードルとは?
在職しながら転職活動を行う場合、今勤めている会社を円満退職できるよう、準備を進めておく必要があります。即戦力として期待される中途採用の場合、新しい職場では出社を首を長くして待っているのが普通。退職交渉、引継ぎなどにあまり時間がかけられない状況の中で、思わぬアク...
2012/07/09掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
「退職届」「退職願」の法的整理と撤回等をめぐるトラブル予防策
昨今の世界同時不況下、希望退職制度などを実施する中で、退職届の取り消しや無効をめぐり、労働者とトラブルに発展するケースも少なくありません。今回の記事では、企業・人事担当者として知っておきたい、退職届の取扱いに関する社内ルールや、留意すべきポイントについて、紹介...
2009/07/13掲載人事・労務関連コラム
年度末における転職模様
在職者は、いつでも好きな時に転職できる訳ではない。特に責任あるポジションを任されている場合などは、「転職するので辞めます」と途中で仕事を投げ出すわけにいかないことも多い。そんな転職希望者にとって、「年度末」は仕事の区切りがつけやすく、ある意味で転職の絶好機と言...
2015/03/02掲載人材採用“ウラ”“オモテ”

関連するQ&A

退職日前の退職金一部(または全部)支払について
3月末付で退職予定の従業員に対し、通常は翌4月中に退職一時金の支払いをしておりますが、3月中の支払いができないかとの問い合わせがありました。退職所得として課税するにあたり、支払日は退職後であることは必須でしょうか?
退職日
当社は退職の申し出があった者に対し、退職届(退職願)を提出させています。 この際、退職日を確定するのですが、退職日は当社の営業日としています。 1.これは合法でしょうか。 たまに、退職日は●月末日と申告してくる社員がいます。 2.これは正式な届出としては認めなくてよいでしょうか。何日ときちんと日付...
希望退職募集の場合の退職金
経営がかなり逼迫している状況で、希望退職を募る場合、退職金の上乗せはどれくらいが妥当でしょうか?
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 雇用 ]
分類:[ 就業管理 ]
分類:[ 報酬 ]

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

タレントパレット 仕事と家庭(育児・介護)』の両立支援 「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


Employee Experienceを企業競争力の源泉へ<br />
リクルートが本気で取り組む「エンゲージメント型経営」

Employee Experienceを企業競争力の源泉へ
リクルートが本気で取り組む「エンゲージメント型経営」

リクルートホールディングスでは2015年から、働き方変革を推進。グロー...