2012年10月、「一般社団法人 人材サービス産業協議会」が設立
―業界4団体が連携して取り組むプロジェクトとは―
労働市場の現在・過去・未来を見据えて着目すべきは「有期雇用者の増加」と「労働市場の非流動性」
人材サービス産業協議会が取り組む課題についてお伺いする前に、日本の労働市場の現状を教えてください。
着目すべき点は、大きく分けて二つあります。一つ目は、「有期雇用者」が想定していた以上に増加していることです。1985年から2010年までに、雇用者数は全体で1112万人増加しました。その間にはバブル崩壊やIT不況などもあり、2007年をピークに減少していますが、それでも、これだけ増えています。正社員と非正規社員を比較してみると、正社員は1997年をピークに減少。1985年から2010年では12万人の増加に留まりました。一方、非正規の労働者数は657万人から1755万人に達し、1000万人以上増加しました。割合で見てみると、1985年に8割を超えていた正社員が、2010年は約6.5割に減少。逆に言えば、非正規の有期雇用者がいかに増えているかがお分かりになるでしょう。
二つ目は、労働市場における人材の流動性が、いまだに高まっていない点です。これは、「内部労働市場」の強さ、言い換えれば、日本特有の雇用モデルの根強さを表しています。
「内部労働市場の強さ」については、多くの有識者の方々も着目し、新卒一括採用、終身雇用、年功制、職能資格制度、解雇規制の見直し、あるいは、労働市場を活性化させるための施策や、健全な労働市場を作るための法的規制緩和と自由競争の促進の必要性など、さまざまな意見を表明しています。
「失われた10年」、あるいは「20年」といった言葉もありますが、労働市場に関しても同様で、今の状態があと10年続くと、日本の産業の生産性はより低いものになるでしょう。