懲戒対象行為の疑い
役職者が部下相手に物品購入を斡旋しているようです。ねずみ講の疑いがあり、取り扱い品も複数ありますが、その中に健康食品等消耗品もあるようです。
このことを知りえた発端は、しつこく勧誘を受けている社員が同部署の中堅社員に相談したことから始まりました。
その社員は、とりあえず適当な理由をつけて断っているというより逃げている状況のようです。どう断れば当たり障りないかとの断り方の相談を受けたそうです。
相談を受けた社員が他の人の様子を探ったところやはり100万円近い買い物をしている人もいたそうです。購入間もなかったらしいのでクーリングオフも勧めたらしいのですが、買った本人は「納得の上での購入」と言っているそうです。
その他にも最近、正直腑に落ちない理由で退職した派遣社員がおりますが、当人は「人事や上には黙っててほしい」と言うことで仲のよかった社員に本当の退職理由としてこの勧誘が苦痛であったともらしていたそうです。
勧誘を受けている人のほとんどが入社数年の若手や派遣社員等で、況して相手が上司であるとなると大事にはしたくないと言うのが本音のようです。
ただ、やはり斡旋して報酬を受けているとなると就業規則違反にもなりますし、勧誘を受けて苦痛に感じている人もいる、(購入したことが判明している人は納得していると言うのであえて除きます)、実際それが原因での退職者も出ている等ことを考えると、相談を受けた社員も、私・人事担当もなんとかしなくてはと思いますが、害を受けている人たちが大事にしたくないという、とてもデリケートな問題なのでどのような対応をとればいいか、どのレベルで上司へ報告すればいいのか未熟者人事担当なので、困惑しております。
先生方のご経験やご知識の中で、相談を受けた者、また人事担当者としてとりあえずどのようなことをすべきかアドバイスいただきたく、お願いいたします。
投稿日:2007/09/26 00:45 ID:QA-0009863
- *****さん
- 茨城県/その他業種(企業規模 31~50人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、ねずみ講・マルチ商法等に該当するのであれば就業規則違反は元より犯罪行為にもつながることですから、放置する事は許されません。
仮にそこまで悪質な販売行為でなくとも、文面内容が事実とすれば職場の風紀・秩序を乱し業務に支障をきたしている事は明白ですので、会社として当該上司にも事情を聞いた上で就業規則に基き必要な懲戒処分を下さなければなりません。
とはいえ、貴殿は人事権限をお持ちで無いように思いますので、まずは人事担当の責任者に相談し、配置転換等による再発防止も含め、会社としてきちんとした対応を取ってもらうよう進言すべきです。
明らかな違反行為を人間関係への気遣いから見逃す以上の愚策はないものとお考え下さい。
投稿日:2007/09/26 11:47 ID:QA-0009871
相談者より
賢明なご回答、ありがとうございました。
おっしゃられる通り、見逃すことのできない事態ですので、責任者にも報告を致しました。
おそらく、現状確認の上、事実であれば重い処分となると思います。
また、こちらで色々と相談させていただくことになるかもしれませんが、その際はよろしくお願いいたします。
投稿日:2007/09/26 17:44 ID:QA-0033947大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
服務規律違反の排除と処罰
■個別問題自体をどんなにいじくっても「こちら立てればあちら立たず」と混乱の度が増すばかり、といったことはよく目にするケースです。問題の現象面より一段高い目線でその本質を捉え、基本的に遵守すべきことを明確にした上で、問題を見直すと解決の筋道が見えてくる場合が多いものです。一寸次元が違うかも知れませんが、「木を見て森を見ず」という格言を裏返したものと理解してください。
■企業は組織体ですから企業秩序を維持するために、労働者の行動を規律する職場規律に関するルールが必要で、通常、就業規則に服務事項や禁止事項として、かなり詳細に列挙されているもです。
大きくは次の5項目から成っています。
① 労働遂行に関する規律(職務専念規定、服従義務、服装規定、欠勤・遅刻・早退規制など)
② 職場における秩序の規律(秩序風紀の保持、政治活動・組合活動の規制など)
③ 企業施設の管理保全(社品の保全規制、企業施設利用の制限など)
④ 企業外の行動の規律(企業の信用・名誉の保持、兼業規制、秘密保持義務など)
⑤ 職権や地位の乱用禁止(セクハラ・パワハラなど)
■ご相談の件は上記 ② に該当する行為だと判断されますので、その行為ないし行為者を排除することが会社組織のため必要で、それが渦中に巻き込まれた社員の救済につながるという構図になります。
■しかし、事実関係の把握・確認、排除の具体策、規程違反に対する処罰、責任のない社員へのバックファイアーの防止などは、然るべき委員会の設置を通じて公正な手順を踏んで行うことが欠かせん。「どのレベルで上司へ報告すればいいのか」など段階ではないと思います。「報・連・相」の基本行動ができないようでは駄目です。直ちに上司に報告し指示を仰ぐアクションが必要です。
投稿日:2007/09/26 13:22 ID:QA-0009874
相談者より
賢明なご回答、ありがとうございました。
先のコメントにも触れましたが、早速責任者にも報告致しました。
「もっと早く言え」と叱られました…。
事実確認(本人面談含む)を進め、事実であれば重い処分となると思います。
続けて質問させて頂きたいのですが、川勝先生のおっしゃられる②にもちろん該当すると思いますが、その他にも報酬を受けているとなると、①にも該当するのではないかとの見解が曖昧な部分としてあります。
自分が代理店の形になっている(自営業)、もしくはその代理店の店員となっているのであれば、兼業として職務専念違反となり懲戒解雇の対象となりますが、代理店を紹介してマージンをもらっているとなる場合、”雇用”関係にはならず単なる一時的な収入程度に扱わなければならないでしょうか?
”雇用”の定義等、ご教示いただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2007/09/26 18:00 ID:QA-0033949大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
服務規律違反の排除と処罰 P2
■前回の回答は採るべき第一段階のステップについてのコメントです。次のステップは「①にも該当するのではないか云々」の前に、労働契約の特性を頭にいれておくこと、その上で、足元の御社の就業規則の服務事項や禁止事項をチェックすることが必要です。
■労働法というのは、契約当事者の対等原則に基づく民法に対し、労働者の立場保護を嵩上げしたものです。従って、会社秩序の維持のために労働者に課する服務規律や処罰対象となりうる禁止事項は、全社員に適用される労働契約条件である就業規則に明記されていなければなりません。
■民法では、当事者双方が対等の立場にあるので、履行遅滞・履行不能・不完全履行などの債務不履行は、直ちに、契約解除や損害賠償請求などのアクションに直結します。労働者の立場保護に基づく労働法に下では、前回回答のアクション開始に先立ち、会社の足元(認識と規則)を余程シッカリさせてからのぞむことが必要だと申し上げているのです。
■その上で、ご質問です。(いささか堅苦しい表現になります)
▽「雇用」は、当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し、相手方がこれにその報酬を与えることを約するに因りてその効力を生ずすことを言います。(民法第623条)
▽自由で対等の立場にある人格者相互間の関係を前提とする民法上の当事者である弱者である労働者を保護するため、民法の特別優位法として「労働基準法」等が制定され、雇用契約に一定の規制が加えられている。
■なお、職務専念義務や兼業禁止などは、先刻申し上げたとおり、就業規則における記載の有無によって、アクションを変更しなければならないこともありえます。まずは、足元固めを行って下さい。
投稿日:2007/09/27 10:37 ID:QA-0009883
相談者より
投稿日:2007/09/27 10:37 ID:QA-0033951大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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