退職金規程・給与規程変更時の対応
4月から退職金規程および給与規程を変更する予定ですが、職員にはまだ何も通知していません。
退職金規程の変更内容は、現時点までの旧規定退職金は保証した上で4月以降は中退共制度を利用し、勤続年数に合わせた積立金で支給される退職金のみで賄う方法です。
顧問の社労士に相談したところ、職員が損をするような変更ではないので事前に変更を知らせる必要も無く、了承をとる必要も無いとのことで、さらに職員の過半数を越える加入者がいる労働組合がありますが、こちらも全職員の3分の2を越えていなければ話し合う必要は無いとのことでした。
また、給与規程で通勤費の条項が変更され、これまで全額支給だった通勤費が5万円までとなりました。
現在、5万円を超える通勤者が何名かおり、規程変更により数万円の自己負担が発生することになります。
給与そのものの変更ではないとはいえ、実質的には給与が削られるも同然ですが、これについても社労士は気にする必要は無い、というようなことを言っています。
本当にこれで大丈夫なのでしょうか?
このご時世に甘いと思われるかも知れませんが、職員に過酷な条件を強いるのは本意ではありませんし、これを切欠けに労働基準監督署にでも駆け込まれては大事になってしまいます。
よろしくご教授のほどお願いいたします。
投稿日:2017/03/29 15:43 ID:QA-0069898
- 回転木馬さん
- 東京都/その他業種(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、まず退職金制度の変更につきましては、利用する制度が中退共に変わるだけで将来受け取る予定の退職金額も含めまして何ら従業員に損害が発生しないという事であれば、労働者の同意を得たり労働組合と協議する事なく変更は可能といえます。そうではなく、例えば同じ勤続年数で将来受け取る退職金額が現行よりも減るような場合ですと、明らかに条件次第では損害が出ますので、原則労働者側の同意が求められますし、3分の2以上のみならず過半数の従業員で構成された労働組合との交渉も必要となります。
一方、通勤費に関しましても、通常であれば労働基準法上の賃金に該当しますので、これを一方的に減じる事は当然ながら重要な労働条件の不利益変更として認められません。
但し、御社としましても何らかの事情があって変更措置をお考えのはずですので、労働者側に変更事情をきちんと説明された上で真摯に協議し、多少の調整措置も加えながら双方納得の上で変更される事でトラブルの防止は可能といえるでしょう。
投稿日:2017/03/29 17:42 ID:QA-0069904
相談者より
ご回答ありがとうございました。
「将来受け取る予定の退職金額も含めまして何ら従業員に損害が発生しない」という部分の考え方について追加してお伺いします。
当社では、現行の退職金規程ですと、職員の退職の際、退職時の基本給×勤続年数が支給されています。そして、退職金規程変更後はこれに加えて勤続年数に応じた積立金を中退共にしていくことになります。
(例)は下記の通りです。
現在の基本給20万円 現時点での勤続10年 定年まであと15年の場合
【現規程】
①24万5千円×25年=6,125,000円
(基本給が毎年3千円昇給したとしてシュミレーション)
【新規定】
①20万円×10年=200万円(現時点での退職金を保証)
②中退共積立金(5年ごとに掛け金増額)
11年~15年 掛け金 1万円×5年間
16年~20年 掛け金 1万8千円×5年間
21年~25年 掛け金 2万6千円×5年間
上記を積み立てた結果、中退共から支給される退職金3,449,040円
新規定での退職金予想額①+② 5,449,040円
こうして見ますと【現規程】より【新規定】の方が退職金が低くなるため「損害が発生している」と思われますが、当社の社労士の見解によると【現規程】のシュミレーションで将来の昇給を加味する必要は無く、現時点での基本給20万円で考えるべきとの事でした。
そうすれば、【現規程】での退職金予想額は20万円×25年=5,000,000円となり、【新規定】に変えることで「損害が発生している」とは考えられない、とのことです。
しかし、これまでの当社の経緯では毎年僅かながらも昇給をしており、その平均が約3千円です。
確かに社労士の言うとおり今後15年間絶対に昇給がない、と考えれば「損害が発生している」ことにならないかもしれませんが、もし、この職員の基本給が退職時に22万円を越えていたら【新規定】に変えたことにより「損害が発生している」事になってしまいます。
昇給の実績があるにもかかわらず昇給がないことを前提にするのは、こちらとしても職員に説明するのに無理があるように思え、職員側も少し考えればその矛盾に気付くのではないでしょうか?
社労士の言う考え方が社会通念上まかり通るものなのか、ご回答いただければ幸いです。
投稿日:2017/03/30 23:41 ID:QA-0069927大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして感謝しております。
ご質問の件ですが、確かに顧問社労士の方の言われる通り、昇給がなければ将来も損害は発生しませんので、その意味では現行上の確定金額が保証されておりそれ故協議する必要がないという考え方も間違いではございません。
但し、たとえ直ちに違法性がないとしましても、昇給が無いという殆ど可能性がない状況でのシミュレーションですし、一方的に説明もなく変更されたのでは労働者側の不信感を招きかねません。
通勤費の件もございますし、いずれにしましても労働者側に丁寧に変更事情を説明されることが重要であり、逆にそのような真摯な対応をされることこそが今回の件に限らず労使間の信頼関係を醸成し会社運営に取りましてプラスになると考えるべきというのが私共の見解になります。
投稿日:2017/03/31 09:58 ID:QA-0069931
相談者より
ご回答ありがとうございました。
ご回答いただいた内容をもとに職員と交渉しようとしていたのですが、交渉が決裂し、職員側に労働組合を結成されてしまいました。
と、いいますのは、実は私の会社は少し特殊で、協同組合です。
そして、理事長や役員が2期ごとに変わります。
私はその協同組合で人事を担当しているのですが、退職金規程変更の説明会の際に同席した役員(最近、変わったばかりです)が真摯な対応を取らなかったため職員側が激怒し、今回の規程変更を「不利益変更」だとして徹底抗戦の構えです。
このままでは規程変更ができないどころか、裁判沙汰になる可能性もあります。
職員側の主張は、私が心配した通りで、
1.これまで一定の昇給があるにもかかわらず、将来1円も昇給がない事を前提にしたシュミレーションは無効であり、職員に不当な損害を与えるものである。
2.協同組合の業績が悪いわけでもないのに、「将来どうなるかわからないから」などという理由で(もともと規程変更は、説明会に同席した新参の役員が言い出したことです)、今、規程変更をする必要性があるとは思えないし認められない。(事実、協同組合の実績は右肩上がりです)
こうなっても、顧問社労士はこれまで展開してきた通りの理屈を繰り返し、絶対に大丈夫だと言っていて、役員もそれを信じているようです。
この状況で労働組合の承認も得ずに規程変更などできるのでしょうか?
そもそも、顧問社労士の理屈は、労基署が出てきたり、裁判沙汰になった時に通用するのですか?
何度も申し訳ございませんが、お知恵をお貸し下さい。
投稿日:2017/04/04 12:14 ID:QA-0069972大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして有難うございます。
職員側が労働組合を結成し抗議されるようですので、今後労使間でのトラブルとなるのは不可避と考えます。社労士の方の見解には特別な理由があるのかもしれませんので具体的な当否については判断しかねますが、一般的に見ますと状況を軽視している感は否めません。
このような重大な局面になりますと、詳細事情を精査した上で慎重に対応する必要がございますし、もはやネットの掲示板で回答出来る範囲を超えているものと判断しております。
詳しい状況を把握しえない当方が軽率に対処法を示す事は出来かねますので、今後の対応につきましては、費用はかかっても直接労働問題に精通した弁護士に直接ご相談される事をお勧めいたします。安易な対応だけは避けるべきと考えることが大切です。
投稿日:2017/04/04 22:27 ID:QA-0069979
相談者より
いろいろとご相談に乗っていただきながら、回答が遅くなりまして申しわげございませんでした。
規程変更を巡って社内が混乱を極めており、収拾がつかない状態です。
もともとあった職員の3分の2を占める労働組合に加えて、そこにさらに別の労働組合(かなり過激な方の)も立ち上がってしまい、言いたくありませんが当社の社労士がまともな準備もなくいい加減な助言を上司にしてくれたおかげで大変なことになってしまいました。
職員からは恨まれるし、上司には責任を押しつけられるしで散々です。
退職金や給与の規程変更の際に対応を間違えるととんでもない事になるといういい例だと思います。
あとはもう、いい加減な仕事をした社労士に対応してもらいます。
丁寧で真摯なご回答をありがとうございました。
投稿日:2017/04/21 12:11 ID:QA-0070236大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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